オバマ「アフガン戦略」転換か?
2009年 03月 08日
大統領専用機上で
タリバン穏健派との交渉可能性示唆
山上 真
再び記事出所は『ニューヨーク・タイムズ』紙であるが、3月8日付の同紙に依ると、オバマ大統領は米国がアフガン戦争に勝っていないことを率直に認め、「タリバンの ‘moderate elements’ (穏健派)に手を差し伸べるような和解過程への門戸を開いた」ことを明らかにした。
それはイラクで、強硬派のアルカイダ勢力から、イラク・スンニ派武装勢力を引き離すことに成功したDavid H. Petraeus 将軍の戦略と同様のものとされる。
このオバマ表明は、6日に大統領専用機’Air Force One’ 機上での『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタヴューを受けた際に行われたものである。
このインタヴューでは、米国の抱える経済、環境問題などもテーマになったが、興味深い発言として、オバマ氏が米国を「社会主義に向かわせようとしている」という保守派の非難に反論し、
「私の諸政策は全く自由市場原理に則っており、市場への政府の大規模な介入と社会福祉計画はブッシュ政権の下で開始されたものだ」と語った。
オバマ大統領は、アフガニスタンへの17,000人の兵力増派を発表したばかりだが、この2週間内に、10人近くの英国、カナダ、そして米国の兵士が相次いで戦闘及び、路傍敷設爆弾などで死亡している。
一方、パキスタンのアフガン近隣Swat Valley では、タリバンとパキスタン軍が独自に和平を実現し、米国政府など西側を当惑させている。
親タリバン派聖職者たち
オバマ氏としては、極めて複雑かつ困難なアフガン情勢を確認した上で、これまでの「甘い」認識を改めて、新戦略を打ち出す必要に迫られている。彼にとっては、「恐慌」下で、何よりも国内経済政策を成功させることが至上命題である以上、戦費浪費の余裕はない筈だ。他の西側諸国も、厭戦気分が漲っている。
要は、如何にアルカイダ勢力を封じ込めることが出来るかという事にかかっている。彼らからタリバンを引き離す方策が得られれば、米国などの「テロ根源排除」の目的は達せられる。今度の動きが、その第一歩になるかどうか、注目される所だ。 (2009.03.08)
<写真> The New York Times 掲載のもの
by shin-yamakami16
| 2009-03-08 22:24