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by shin-yamakami16

黙殺されるカナダ兵士4人の死

 
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批難されるハーパー政権の言論封殺姿勢

                       山上 真

 先週3月20日、アフガニスタンでの、朝鮮戦争以来最大とされるカナダ軍作戦中に、いずれも路傍のIED(即製爆弾)の爆発で、4兵士が死亡、8兵士が負傷した。
 死亡したのは、Scott Vernelli 28歳、Tyler Crooks 24歳、Jack Bouthillier 20歳、Corey Hayes 22歳の諸氏である。8人の負傷者の名前は公表されていない。

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          3月20日に死亡したカナダ軍4兵士

 このニュースを知ったのは、偶々英国左翼紙『モーニング・スター』紙上に、英国・下院議員ジョージ・ギャロウェー氏が、3月末予定のカナダ・トロントでの反戦集会での演説の為に渡航申請を出していた所、カナダ政府移民長官が、同氏の入国を拒否したという記事が出ていたのが、きっかけだった。

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 その辺の事情を知るべく、カナダ・メディアを調べていると、‘NATIONAL POST’ 紙など2紙に、「ギャロウェー」関係と併せて、同国兵士の戦死を伝える記事に「遭遇」したのであった。その前に、英国、米国、フランス、日本のメディアを見渡していたが、「カナダ兵士の死」に関する記事を目にすることが全く無かった。

 ジョージ・ギャロウェー氏は、イラク、アフガニスタンでの戦争の不当性を英国議会内外で厳しく告発し、最近では、英国からの支援物資・運輸隊を組織して、イスラエルによる「ガザ侵攻」後のパレスチナ地区「140万ポンド援助」をやり遂げた人物で、よく‘maverick’ (一匹狼)議員と呼ばれている。英国のイラク参戦時には、下院議会で2時間近くの「反戦演説」をものしたことでも知られている。

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          ギャロウェー議員とパレスチナ自治政府・ハニア首相

 
 移民長官Jason Kenney氏が、国境保安官による「国家安全保障上」を理由とする「ギャロウェー入国拒否」を認めたことは、カナダ保守党ハーパー政権が、既に116人の戦死者を出している「アフガン参戦」が国民の反発を一層かき立てる可能性があるからだろう。
「ギャロウェー反戦演説」が、国民の間に少なくない影響を及ぼして、少数与党の政権運営を危うくすることを恐れたのであろう。

 こうしたカナダ政府の「異常な」姿勢に対して、新聞紙上などで、「自由な言論を抑圧するもの」とか、「民主主義の死」を齎すものという多くの批難が浴びせられている。当のギャロウェー議員は、「尊敬してきたカナダ民主主義にとっての悲しむべき事態」として、移民長官を告発する意向だ。

 しかし、「カナダ軍兵士の死」を伝えない世界のマス・メディアは、どうなっているのだろうか。ニュースのジャンルを見ていても、「カナダ」の項目が何処にあるのか分からない場合が多い。そこに「情報の陥穽」があるのだろうか。
いずれにしても、非常に心配な事態だ。     (2009.03.22)



<写真> NATIONAL POST, The Star, Daily Mail
by shin-yamakami16 | 2009-03-22 16:19 | Comments(0)