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by shin-yamakami16

「右」に傾く菅新政権ー「参院選」大敗か?

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カナダ・トロントのG20会場近くで、「貧富格差」を世界的に拡大する「グローバリゼイション」に抗議するデモ参加者



庶民よりも「財界」サービスに熱を入れる「民主」党

                                 山上 真

 
 鳩山前政権は、結局のところ、「普天間」問題で、沖縄民衆の願望よりも米国政権との「約束」を優先させて、社民党を脱落させた挙句国民大方の怒りを買い、墓穴を掘るという痛ましい終焉を迎えた。
 次なる、菅直人氏を首相として戴く「民主・国民新党」連立政権は、「普天間」を前政権の形のまま継承して背負い切れぬ難題を抱えた上に、「政権交代」ご祝儀の高い支持率を本物と勘違いして、「消費税10%引き上げ」という自民党案に組する愚策を発表した途端、急激に国民の支持を失うことと相成った。参議院選挙を迎えて、当初は,民主党・予想獲得議席が60に及んだのだが、今は50議席に届くかどうかという予測もかなりの説得力を持って受け止められるようだ。

 菅氏が一体どんな人物なのかということが、しばし巷間の話題に上ったが、現在進行中の事態を見る限り、「何の確たる政治信念もなく、ただ首相になりたかっただけ」という「通説」に落ち着きそうである。若くして市民運動家と評価された人も、毎日の生活の資にもこと欠く民衆の痛みへの配慮を持ち合わさず、「軍事基地」という存在物が今や民の苦しみの元凶でしかないことを、理解出来ない,或は理解しようとしない俗物「政治屋」であることを、日々証明しているのである。

 「民主」党政権が、臆面もなく財界べったりの姿勢に転換したのは、一つには、沖縄問題を巡って社民党を切ってしまったことに起因するだろう。新政権は、この契機を「プラスに転じて」、公約になかった「消費税引き上げ」を復活させ、直嶋財務相に「法人税引き下げ」を言わしめ、安全性を捨象した形で海外への「原子炉売り込み」を図り、インドの「核武装」問題を無視して技術協力などを行う「原子力協定」を結ぼうとしている。自民党政権当時より無原則的「大企業・財界寄り」政策を推し進めているのである。更には、「社民」反対で「停止」していた憲法「改正」の為の「審査会を開始する」ことを枝野幹事長が表明している。正に「右寄り」政策の連続である。

 財界が後押しするマス・メディアの「鳴り物入り」大宣伝にも拘らず、国民一般の「消費税引き上げ」反対の声は、このところ高まるばかりだ。最近の「毎日新聞」では、過半数が「反対」であり、NHK調査では、27% 対38% で反対が圧倒している。幾つかのインターネット調査でも、早くから「消費税引き上げ反対」の声が6割に達していた。
 参院選公示前から、国民の6割は「賛成だ」と嘯いていた民放TV各局・「読売新聞」、それに最近の調査で「やや賛成派が多い」とする「朝日新聞」などは、どういう調査をやったのだろうか。

 「消費税引き上げ10%」で一転「民主」支持に回っていたマス・メディアも、ごく最近の各種世論調査での「民主急落」の結果を受けて、やや客観報道にもどりつつあるようだ。とんだ恥をかいたものだ。

 財政赤字を理由に「消費税引き上げ」をやる前に先ず、現代では「無駄」に限りなく近く、にも拘らず膨大な「防衛費」を大幅に縮小し、少なくない「皇室費」も「仕分け」の対象とし、議員「歳費」を大きく減らすことなどこそ、手をつけるべきだ。
 
 一億円から10億円近くまでの所得を手にする民間企業役員が280人(7月1日『朝日新聞』)も居る一方、国民の多くが辛酸を嘗める生活に追いやられていることを「当然」とする「グローバリゼーション」謳歌の政治を、何としても「投票行動」によって阻止しなければならないだろう。「拝米・右派」政策で、「民主」が「自民」の先を行くかも知れぬことが明らかになりつつある今日、我々はこれら「新・旧」保守を超えるべき新たな選択をしなければならない。
                   
                                 (2010.06.30)
 

<追記> 今晩(7月1日)偶々TV朝日の『ニュース・ステーション』冒頭で、菅首相を招いたインタヴューを見たが、古館君が一方的な口調で、議員定数削減を要求し、「社民,共産」は反対しているけれども、是非実現して欲しいと言っていたが、この古館君は、民主主義の原理が「少数意見」を十分に反映することによって成立つことを知らない「無知」ぶりを露呈した。もし今の制度で定数減をやるならば、少数政党はほぼ全ての議席を失うであろう。如何にも「2大政党制」支持らしい古館君の意見であるが、少数政党「切り捨て」の発言は、公的メディアの司会者としては、不適格だ。日本の国会議員が特に「多過ぎる」ということが事実でないのは、民主党も「模範」としている英国の場合を見れば分かる。日本の衆議院(定数480)に当たる英国下院定数は650、日本の参議院(定数242)に当たる上院は、742である。しかも、英国の人口は,日本の半分に近い。議員経費削減を言うならば、高額過ぎるとされる「歳費」を減らすのが常識というものだ。
 このような横暴極まる「古館発言」に対して、菅首相が「定数減」を実行したいと応じていたが、目障りな「少数意見」を圧殺したいという願望でもあるのだろうか。今後の出方を注視して行きたい。
       (2010.07.01)



<参考資料>
 菅政権は、「逆進性」の強い消費税を引き上げる一方、日本の法人税が高過ぎるとして、「国際競争力を強める為に企業体法人税を25%に引き下げる」ことを方針としているが、現実には、「優遇措置」で法人税が実質的に引き下げられていることを示す資料をここに紹介しておきたい。



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        一億円以上の高所得者の税負担が軽くなっていることを示す




<資料> kojitakenの日記,『東京新聞』、日本共産党『赤旗』、Le Monde
by shin-yamakami16 | 2010-06-30 19:14