世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

菅政権:危険度増す軍事・「防衛」政策

菅政権:危険度増す軍事・「防衛」政策_f0166919_1205828.jpg

           
       横須賀を母港とする米原子力空母「ジョージ・ワシントン」



「自民」との違いは一体どこに?

                                    山上 真

 参院選で大敗を喫した菅政権・民主党は、去年発足した鳩山政権の基本理念まで放棄して、「平和憲法」の不戦・平和擁護原則に背く政策を公然・隠然たる形で押し進めようとしている。それは,主として、米国政府及び日本財界の要請に基づくものであり、昨年の衆院選圧勝を利用した、強引な政策展開の一部を成す。

 民主党政権がその当初の「公約」を踏みにじった例、更には、自民党政権時代より踏み込んだ「防衛」関係政策を列挙してみよう.

* 普天間・「辺野古」自民案・復活で「沖縄米軍基地」固定化表明


菅政権:危険度増す軍事・「防衛」政策_f0166919_129075.jpg



* ソマリア・ジプチ空港に対「海賊」軍事拠点構築 ー 哨戒機P3C2機の整備基地(7月14日 産経新聞)

* NATO の要請を受けて、ソマリア沖で海賊に対峙する各国艦船に洋上給油する為の補給艦派遣を検討(7月24日 時事通信)

* 「対空迎撃ミサイル」海外輸出許可の方向(7月25日 共同通信)

* 「中国海軍」の動きに備えて」宮古・石垣、更には与那国島に段階的に「自衛隊」駐留(7月29日 共同通信)



 上に掲げた軍事・「防衛」関係政策が国会の場で殆ど討議されず、恰も既成事実であるかのように、実施の方向に向かっているのはどういうことか。

 民主党政権内で、このような危険な動きを先導しているのは、親米・財界寄りで急先鋒の前原、北澤、それに岡田、直嶋、仙谷などの面々である。

 イラク・アフガニスタンでの戦争に米国に追随して参戦したNATOに肩入れすることは,取りも直さず真正面から「テロの脅威」に晒される覚悟がなくてはならず、米国・NATOに対して反感を抱く中近東・アジア諸国民の悪感情をかき立ていることになることは間違いない。
 また、今こそ平和愛好国としての日本をアピールするべきなのに、軍事的手段に訴えることは、一部軍需産業を利するばかりであり、中国を始めとする多くのアジア諸国民に「軍国日本」を想起させる契機となることだろう。


菅政権:危険度増す軍事・「防衛」政策_f0166919_1233014.jpg


            7月25日 日本海 「米韓軍事演習」



 日本の周囲の平和的環境がこのところ著しく脅かされているのは、何も「北」朝鮮の問題ではなく、未だに原因不明瞭な「韓国艦爆沈」事件を利用したと思われる米韓両国の「対抗措置」、即ち日本海での米韓軍事演習による緊張増大である。この挑発的軍事行動は、「北」ばかりでなく、中国が、極東に於ける緩和に逆行するものとして、厳しく抗議している。日本の場合特に問題なのは、オブザーバーとして初めて自衛官が、横須賀から出航した米原子力空母「ジョージ・ワシントン」に乗り合わせていることである。これは,当然のことながら、菅政権承認の下に行われた「重大事件」である。
 今後は、米・韓・日という事実上の「三国軍事同盟」にでも発展する動きが懸念される。こうなれば、朝鮮半島での軍事衝突が、直接的に日本本土にも及ぶ事態となるのだ。中国とも激しくやり合っている「民主党・岡田外交」は、この辺の所を明確に説明しなければならない。

 なお、極東アジアに於ける、最近の一連の米国政府の動きは、全て米軍「沖縄基地」の問題に繋がっていると見ることが至当である。米国はいつの間にか、あれ程熱を入れていた「北」の核武装阻止の為の「六か国協議」への関心を離れて、徒に「北」脅威論を煽り立てているのは、日本、特に沖縄の「反米軍基地」感情を逸らそうとする「無益な努力」と看做していいだろう。
 結局のところ、オバマ政権は、「世界の警察官」たらんとする米国の伝統的な「帝国主義的」世界政策を踏襲していることを今や自ら暴露している。米国が「沖縄」に飽くまで踏みとどまろうとするのは、究極的ターゲットが、脆弱な「北」ではなく、中国大陸だと看做しているからに外ならない。将来、仮に台湾問題で米中両国が交戦する事態が起これば、「中国出撃」可能な多くの米軍基地を擁する日本は、必然的に戦争に巻き込まれることを覚悟しておかねばならない。

 日本が未来永劫にわたって「核戦争」などの戦禍を遠ざけようと願うならば、一日でも早く「米国の傘」から脱して、「独立・平和・中立」の日本を確立しなければならない。

                           (2010.07.30)
 
 
<写真・資料> 「森かつみの活動報告」、産経新聞、The Morning Star (uk)
by shin-yamakami16 | 2010-07-30 12:10