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by shin-yamakami16

「軍事傾斜」の菅政権

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          10月24日朝霞での「観閲式」で満足げな菅首相        



「思いやり予算」・「尖閣」利用の軍拡を許すな

                            山上 真

 各紙によると、24 日(日)に自衛隊「観閲式」での演説で菅首相は最近の「尖閣」問題をめぐる中国の出方に触れ、事実上自衛隊強化の必要と「日米同盟の深化」を強調したという。

 元来、民主党は寧ろ極東アジアの軍事緊張を高めることに批判的であり、その為にこそ、鳩山前首相が「東アジア共同体」構想を打ち出し、小沢一郎氏が「日中友好」の為の様々な努力を重ねて来たのであった。そうした脈絡から見ると、いかに「尖閣諸島」問題が起こったとは言え、菅氏の言動は行き当たりばったりの無責任かつ危険なものと看做す外ない。

 「観閲演説」は、恐らく、最近の管政権が表明している「軍事関係」政策と無関係ではなさそうだ。
 「武器輸出3原則」の緩和の動き、米軍への「思いやり予算」では自民党政権時代より先を行っている。

 前者では、米国以外の国との軍事装備品の共同開発・生産を可能にする方向であり、これは軍需産業界を中心にした財界の要請及び米国政府の意向に沿うものである。手段を選ばず経済復興を狙う余り、今後の大々的な「武器輸出」に繋がる危険な動きだ。今の「民主・国民」連立政権は、「平和憲法」の制約など、まるで顧慮していないようだ。

 後者では、政権発足当初は大幅減額を目指していた筈であるが、「米側と折り合わなかったため」断念、1881億円という巨額な予算を「現状維持」のまま認めることになった。
 菅氏が日頃訴えている「財政再建方針」の「絵空事」は、この一点に象徴されている。

 現在、西欧などの諸国は、軍事支出の重荷に苦しみ、その削減に四苦八苦しているところだ。

 例えば、巨額の財政赤字に苦しむ英国では、キャメロン政権が今後4年間で実質8%の「防衛予算」削減を発表している。「イラク・アフガン戦争」への加担のツケが応えているのだ。
 
 ドイツでは兵員を25万から15万人に減らして、軍事予算・13億ドル削減を打ち出している。
 
 フランスでは同じく、前年度比15%、61億ドル、スペインでは9%、7億ドル以上、イタリアでは10%、17億ドル以上の軍事予算を減らそうとしている。

 このような欧州の動きに対して、米国政府は深刻な懸念を抱いているという。
 北大西洋条約機構 (NATO) で「主役」を担って、最近では「イラン」で事を構えようとし、その軍事費が既に6600億ドル(53兆4600億円)に達しているアメリカにとっては、極めて深刻な事態なのだ。

 日本「防衛省」は、このところ、一機当り40億円以上もする「無人偵察機」3機の米国への発注、数隻の警備用艦艇建造などを企てているという。
 日本は、確かに欧州諸国と較べて、「優等生」として米国には映ることだろう。しかし、その「立派さ」を演じる為に、「消費税」増税などを唱うことは許されない。
 
 今日24日の衆議院議員補選「北海道5区」選挙結果を見ても分かる通り、民心は急速に「民主」を離れている。「自民」がいいからでなく、「先ず国民生活を」という初心を失った「民主」政権に失望した大方の選挙民が、棄権という「選挙忌避」の行動に出ている為なのだ。 (2010.10.24)



<写真> 東京新聞より
by shin-yamakami16 | 2010-10-24 22:57