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by shin-yamakami16

「辺野古」・対米再交渉を

米軍基地問題:明確になった国民世論

                                   山上 真

 12月16日付『朝日新聞』は注目すべき世論調査結果を発表した。この面接調査は全国3,000人の有権者を対象にしており、回答率は67%という信頼性の高いものである。

 米軍普天間基地を名護市辺野古に移設するとした「日米合意」については、「見直して米国と再交渉する」という意見が59%に上り、管政権の方針通りにそのまま進めるというものは30%に留まったという。米軍基地についての今後の方針については、「国外に移転する」が51%と最も多く、「沖縄県以外の国内」が32%、「沖縄県内の別の場所」が12%だったという。この結果は、管政権が目指す「辺野古移転」が如何に国民の求めるものと「乖離しているか」を如実に示している。

 この際管政権は、国民世論の「真実」を率直に受け止め、改めて米国政府に対して「再交渉」を求めることが「民主主義」の原理を生かす唯一の道であることを自覚するべきである。

 なお、この世論調査公表については、『朝日』が紙面で示した「配慮」の点で、若干気になることがあるので触れておきたい。

 筆者がこの世論調査の件を初めて知ったのは、同紙の電子版であったが、詳細を知ろうと紙面を見ると、最初はどこにその記事があるのか定かでないくらい「慎ましい」扱い方であった。このような記事は、「事の重大性」からして、第一面トップでもおかしくないのだが、その面の下の方に小さく掲載されていた。末尾には、「詳細は24日付の朝刊に掲載予定」とある。

 やや意地悪かも知れぬが、推測してみると、『朝日』論陣は、この世論調査の「意外な結果」に驚いたのではないか。昨今の「朝鮮半島情勢」をめぐる緊張が国民意識に影響を及ぼし、例えば、「現状肯定・日米協調」が色濃く示される様な、もっと違った結果が出ることを「期待していた」のではないか。それが覆って、「現状打破」を厳しく求める結果となって表れたのに対し、殊に最近では「親米基調」の同紙論説陣が「たじろいだ」結果が、紙面の「不思議な扱い方」となったように思われてならない。いずれにせよ、24日朝刊の同紙「詳細」が待たれるところだ。    (2010.12.17)


 
<追記 1> 12 月 24日付『朝日』第10面に既述の世論調査結果「詳細」が掲載されたが、日米両国民の「安保」観などと一緒に編集されていて、現今、焦点となっている「普天間・辺野古」問題の重大性を弱める内容となっている。ただ、コメントしている立大教授李鐘元氏の「60%以上の国民が米国との再交渉を求めている」という指摘が唯一「救い」となっている。                                (2010.12.24) 


<追記 2> 菅政権は先日、保留にしていた沖縄・名護市への「交付金」16億円を、「辺野古」への基地移転への「非協力」を理由に、支給しないことに決めたと言う。これは、民主的手続きで選出された地方行政への「無謀な弾圧」と言うべきであり、「民主」党の名が泣く事態だ。こうした民主党の「自民化」が進むに連れて、同党への支持率が下降していることは明らかだ。 (2010.12.27)
by shin-yamakami16 | 2010-12-17 12:13