世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

財界「侍女」に堕ちた「大」新聞




「新しい日本」の為の大胆な「提言」

                            山上 真
 元日の新聞「社説」を見て、これほど呆れたことはない。
 各社揃って、例のTPP、「消費税」増税支持のオンパレードである。

 一貫しているのは、日本の危機を救う為には、国際競争の為の「バスに乗り遅れる」という選択は日本にないという主張である。

 そして、日本農業がTPP加盟によって受ける打撃は、加盟せずに産業界が受ける打撃と較べれば、取るに足らぬ「微小」なものだという主張が続く。

 そこには、国民生活の根本を揺るがす「食料自給率」確保、そして「食の安全」保障という、国民の「生存権」への配慮の視点が全くない。

 あるのは、自動車・電器・機械工業など主要産業の輸出拡大を目指す財界への盲目的支持と、それを頼りにする菅政権への肩入れ姿勢だけである。

 勿論、消費低迷で購読率低下に喘ぐ新聞界は、「産業興隆」の結果齎されることが期待される「広告料」収入の増大に希望を繋ぐのは致し方なかろう。

 しかし、だからと言って、国民生活を直接的な危機に陥れるTPPなどという「米国農業救済・日本農業破綻」の愚策を支持して良いというものではない。米国肉牛の「狂牛問題」、「農薬汚染」問題に対処できるのかをはっきり言うのが責任ではないか。
 
 これら各紙が、外国農産物の「洪水的」輸入の齎す、日本農業の「壊滅的打撃」について全く語らないのは偶然ではない。この事実は、彼らが最も秘匿したい大問題であるからだ。

 新聞業界は、財界に殊更おもねって、管政権の「法人税引き下げ」に文句も言わず、米軍への巨額な「思いやり予算」にも反対せず、メキシコ・カンクンのCOP 環境会議での日本代表「京都議定書・裏切り」*にも不平さえ言わなかった。

 各紙「口を揃えて」賛成の「消費税」増税については、今後の「財政赤字」問題について、例えば英国での新聞がよく主張するようなことだが、
 庶民への増税を言う前に、何故世界で有数の規模となった「軍事支出」を減らせと言わないか?
 何故、膨大な皇室費を減額せよと言わないか?
 何故、「法人税引き下げ」の前に、約220兆円にも及ぶ企業「内部留保」を取り崩せと言わないのか?
 何故、銀行役員などの何億円というボーナスを減らせと言わないのか?

 ここで、「新しい日本」を築く発想として、次の諸点を「大胆にも」提起しておきたい。
 
 *工業製品の輸出に依存するシステムは限界があり、拡大を目指すべきでな  
  く、国内市場の開発・拡大を。 
 *大・小規模に応じた農業拡大・品質の高さによる輸出。
 *医療・介護従事者の大増員・システム規模拡大。 教育職員の大増員。  
  不定期・派遣雇用の解消。
 *中国・ロシア・南北朝鮮・東南アジアとの経済・文化交流を全面的に拡大。    
 *アフリカなど発展途上国への長期的な支援、経済協力拡大。 
 *領土問題の「国際的な場」での解決。憲法上、武力による解決を完全に放
  棄する。
 *「防衛・軍事」支出を半減させる。「敵」を作らない外交に終始する。  
 *「日米安保」の解消と、沖縄「日・米」軍事基地の全廃を具体化する。

 以上のような「原則」に基づいたジャーナリズムは、必ずしも「夢想」ではなく、戦後少なくとも暫時は生きていた筈なのである。    (2011.01.02)


<注> COP「京都議定書・裏切り」:11月30日、COP16(国連気候変動枠組み条約締結国会議で日本政府代表は、「米中などが加盟せずに地球温暖化を進めているのに、何故日本が条約に縛られなければならないのか」と述べて会場の顰蹙を買い、環境NGOは、交渉を後退させたとして「化石賞」に日本を選んだ。
by shin-yamakami16 | 2011-01-02 21:20