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by shin-yamakami16

再喚問されたブレア元首相

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         1月21日「チルコット委員会」で証言するブレア元首相



懲りない「好戦」姿勢に反撥する英国世論

                             山上 真

 今日1月21日、ロンドンで開催された「イラク参戦経緯調査」の為の「チルコット委員会」で、ブッシュ前大統領と共に英国をイラク戦争へと導いたトニー・ブレア元首相が再び証言席に座って、各委員からの厳しい質問を浴びた。これは、前回の証言(2010.01.29)での同氏の主張の矛盾点を糾す為のものである。


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         この日、デモを避けて未だ暗い時間に着いたブレア氏


 焦点は、当時の法務長官ゴールドスミス氏の、「イラク参戦は国際法に違反する恐れがある」という指摘に対して、ブレア前首相がどのような対応を行ったかにあった。結局、今日の証言では、ブレア氏は、米国との「共同歩調」を取ることを至上命題として、戦争という選択肢を遠ざける「ゴールドスミス勧告」を無視したということだ。


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            会場前の「イラク反戦』デモ

 この日のBBC Radio 5 は「ブレア証言」を午前11時過ぎから同時中継していたが、当初、矢継ぎ早の質問に答えるブレア氏の声は、やや上擦っていて、「当惑の様子」が聴いていて分かる程であったが、聴聞が進むにつれて、次第に落ち着きを取り戻していたようだ。

 ブレア氏は、「反省・悔恨」の言葉を発することは避けて、現代に於ける「イスラム過激派」の脅威や、イラン「核問題」にまで言及して、軍事行動を正当化し、自らの「イラク戦争責任」を回避する姿勢に終始した。


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 しかしながら、この「ブレア証言」を見守る英国言論界は、左右を問わず一様に厳しい目を向けており、特に近年は、米国の「ユダヤ社会」などを始めとして世界中で講演旅行をして回り、「大金を稼ぎまくる」同氏の生き方を冷たく見ている。   (2011.01.21)



<追記> ブレア氏は昨日の証言の後半で、「多くの生命の損失を深く悲しむが、あの戦争は正しいものだった」と述べて、傍聴席の憤激を買った。                                                           (2011.01.22)


<写真> The Independent, The Daily Mail, BBC News
by shin-yamakami16 | 2011-01-21 21:49