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by shin-yamakami16

大災害に弱い「原発」に無い未来

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             事故処理中の福島第二原子力発電所

先ずは「浜岡原発」の廃棄を

                             山上 真

 
 福島の原子力発電所の事故は深刻さを増すばかりだ。昨日は放射性「ヨウ素」131基準量の数千倍、今日は恐るべき「プルトニウム」検出といった具合だ。

 各国メディアは、日本技術者の「決死的な」努力にも拘らず、又、日本政府の「やや楽観的な見通し」にも拘らず、破滅的な結末へと確実に近づいていることを指摘している。


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 日本史上未曾有の「原子炉」災害は、広範な人々の生活全体を破壊し、地域農業、漁業に深刻な打撃を及ぼしており、更には、世界的と言っても過言でない海洋・大気汚染を引き起こすに至っている。このところ連日、アイルランド・西欧・米国西海岸などから、人工的「放射性元素」の検出の知らせが届いている。

 あれ程信頼され、珍重されさえしていた日本食品が、中国・ヨーロッパなどの海外市場で閉め出されている始末だ。電器製品など工業製品さえ、「放射能残留」を理由に、受け取りを拒否されるようだ。
 その損害は、文字通り量り知れない。
 

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 1970年代から『プルトニウムの恐怖』(岩波新書)などで「原発」の危険性を説き、その廃止の為に生涯を捧げた高木仁三郎氏のような存在は、財界・マス・メディアなどの「原発安全神話」という圧倒的宣伝の中で、一般社会では殆ど無視されて来た。青森県六ヶ所村・核燃料再処理事業に対する反対運動はかなりの盛り上がりを見せたが、2007年の「敗訴」で一区切りとなった。現在は、山口県「上関原発」建設・反対運動が地元民を中心にして闘われている。 しかし、近年「化石燃料」による「地球温暖化」問題が急速にクローズ・アップされた所為もあり、「核燃料の方が合理的」というデマゴギーが世界的に罷り通るようになるにつれて、「原発」反対運動は、被爆国日本でさえ、その正当な地位を与えられなかった。商業TVでは、「原子力の日」などというイカサマ宣伝が臆面もなく繰り返されて来た。公共放送機関NHKでも、「原発」の存在に「異を唱える」番組には、先ずはお目にかからなかった。数日前のBS1番組では、財界トップが主宰している「21世紀政策研究所」の澤某を登場させて、長々と「原発」肯定論を述べさせている始末だ。


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     3月20日渋谷での「反原発デモ」(筆者はBBC Radio 5で初めて知った)



 事故の危険性に加えて、「原発」の手に負えない側面は、「使用済み核燃料」をどう始末するかという問題である。この「放射性廃棄物」は大量のウラン・プルトニウムを含んでおり、数年間は「貯蔵プール」で冷却するしかない。大津波で冷却装置が破壊された「福島原発」でも、ここで問題が起こっている。この危険な「放射性廃棄物」問題が解決されないまま、各国で建設が進んでいるのが現状だ。

 日本の場合と較べて、早くから強力な「原発反対」運動の盛んなドイツ・英国・フランスなどでは、日本での「事実としての」大事故を見て、ますます運動は高揚しており、各国政府は軒並み、「原発推進」見直しを表明している。今のところ、「チェルノブイリ」に懲りないロシアだけが、何の変更もなく「原発推進」を宣言し、これまた「懲りない面々」の多い日本の財界を喜ばせている。

 この「福島原発」大事故・未処理の最中、定期点検中だった静岡「浜岡原発」3号機が操業再開を決めたという。ここは、想定されている「東海地震」の中心という地理的条件から見て、おそらく日本で最も危険な「原発」と言っても過言ではないだろう。その「原発」に操業を許す政府を許してはならない。
 管政権が「原発・見直し」と言うのであれば、先ず最も危険なものを排除してゆくのが当然ではないか。
 
 余談になるが、今日3月31日、急遽来日したフランス・サルコジ大統領が菅首相と会談したという。サルコジ氏が「空爆」で支えているリビア反政府勢力が、カダフィ政府軍の反撃に遭って「潰走」している最中という「只ならぬ」状況の中での同氏の「遠い国」への来訪は、恐らく「只ならぬ」動機からだろう。日本・管政権が、途方もない「原発事故」に狼狽して「原発見直し」の方向を示しているのを見かねて、全エネルギーの70%以上を原発に依存するフランスの指導者としては、「原発・放棄方針」は有り得ぬことを日本指導者に告げ、更には、「原発・維持」を説得したのではないだろうか。もし、日本が「原発離れ」の方向に行けば、フランスでも近い将来、確実に「原発廃棄」の世論が克つことになるからだ。こうなると、仏・産業政策は根本から変わらなければならなくなる。

 来年度予算の中で「原発・立地対策費」500億円を組んでいた菅政権が、今度の「原発」事故を契機にして、一転して「自然エネルギー」重視の方向を示唆したことは評価されるべきだが、エネルギー政策転換の為には、産業構造・商業活動・生活様式の根本的変革が欠かせないだろう。例えば、TPPに加入して自動車「輸出量No.1」を競ったりせず、商業TVなどの無駄に近い広告・「浮薄」番組などを止める一方、TV放映「休止・時間帯」を設けたり、無数の「電気食い」自動販売機をほぼ無くすといったドラスチックな「革命」が必要と思われる。 (2011.03.031)




<写真> The Times, The Guardian, Libération, Chinanews.com
by shin-yamakami16 | 2011-03-31 22:52 | Comments(0)