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by shin-yamakami16

チャールズ皇太子とジョゼ・ボヴェ氏

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「GMフード」反対の闘士たち
                            山上 真
 
 日本でも最近、アメリカから輸入している大豆が、遺伝子組み換え作物かどうかで、議論が高まっているが、米国で生産される大豆の92%が、このGMO( genetically modified organism ) であることが判明し、豆腐などの原料として輸入している日本にとって、大きな問題となっている。米国では、トウモロコシの80%、綿花の86%がGMOとなっている。最近では、中国も、このGMO大国に仲間入りしていることは,注目されるべきだ。(注参照)

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 虫害に強く、生産量が「飛躍的に増える」ことが、GMOの生産に傾く理由であるが、果たして安全性が確保されているのかは,依然として疑問符を付けられたままだ。GMOが除草剤への耐性が強い為、残留農薬の問題が生じること、アレルギー誘発物質の出現、そして、抗生物質に対する耐性などの問題が指摘されている。いずれにせよ、GMOを長期的に摂取した場合、予測出来ない健康への悪影響の可能性を排除することが困難とされている。

 更には、遺伝子組み換え作物が、周囲の環境に与える影響が深刻視されている。普通の作物が、GMOの花粉などによって「汚染され」、回復不可能な自然環境破壊に至る恐れがある。GMOを食べた虫類が死に、それらの虫を餌にしているヒバリなど鳥類が飢え死にしてしまう可能性も語られている。こうして、自然界の生態サイクルが大きく狂ってしまうことが、懸念される。

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                              (Greenpeace)

 現在、GMOを「種子」輸出の形で、世界的に展開させているのが、米国ミズーリ州セントルイスに本社を持つ多国籍化学メーカー「モンサント」社である。この会社は、商品 PCB と、ヴェトナム戦争中に米軍によって使用された、ダイオキシンを含有する「枯れ葉剤」で悪名高い。

 英国のチャールズ皇太子は、夙に「反GM フード」のチャンピオンであることが知られている。自ら有機農園を経営し、Duchy Originals などの食料品を売り出している皇太子は、「肥満問題の解決には、『マクドナルド』を禁止することが不可欠だ」と発言して物議を醸したこともある。

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 この皇太子が先日、インドのニュー・デリーで開催された「GM反対」講演会で披露したスピーチが、大きな反響を呼んでいる。
 「私がこの年で自分の主張に固執する理由は、自己の健康の為でなく、もし我々が自然と協調しなければ、この地球上で生存する為に必要とする平衡を実現することが出来なくなるからです」
「遺伝子組み換え農業は、世界的な道義問題であり、世界的な食料問題解決の間違った方法です」
 「GMは道徳なき商業であり、人間性なき科学です」
 こう述べた後、彼は直ぐにインドで自殺している数万人の小規模農民の問題に言い及んで、GM作物の種子の高騰、入手難が農民の困窮を齎している、と結論づけた。

 チャールズ皇太子は、前述の「モンサント」社が、'Bollguard' と呼ばれる遺伝子組み換え綿花の種子開発で特許を取り、インドに於けるその独占的地位によって、「価格吊り上げ」を行い、そのことが、インド農民の大量自殺事件に繋がっていることを示唆している。 (The Independent, 5 October 2008)

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 ブレア首相当時から、英国労働党政権は、GMOに対して肯定的な態度をとっており、労働党議員の中には、チャールズ皇太子の反GMO姿勢に、「無知」或は「ラッダイト運動派」という烙印を押している者もいる。19世紀初頭に、産業革命に反対して、機械打ち壊しに走った「連中」と同じく、時代遅れの者という訳である。しかし、皇太子は、そうした非難・中傷に怯むことなく、最近は寧ろ、反GMO姿勢を一層先鋭化させているように見える。

 ここで連想される人物が、フランスの戦闘的「反GM」運動家ジョゼ・ボヴェ氏だ。彼は、2004年7月に、「緑の党」活動家数千人と共に、フランス南部の「GM試験栽培畑」のトウモロコシを刈り取ったり,引き抜いたりする直接行動を起こして、逮捕された。それに先立って、「反グローバリズム」を掲げ、「グローバル化の象徴」マクドナルド店を破壊した罪で収監されてもいる。

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 José Bové は、「農業研究センター」の研究者であった両親が、彼が三歳の時に、米国カルフォルニア大学バークレー校に招かれた為、そこに数年滞在し、英語が堪能である。十代の頃には、「パリ・五月革命」の強烈な影響を受けた。学生時代は、「マルクスよりバクーニン」に傾き、以後、兵役拒否、NATO軍事基地拡張反対、フランス核実験阻止の為の直接行動に身を挺する。
 1987年に彼は「農業の企業化反対・土地に根ざした生産」を掲げる農民同盟( Confédération Paysanne ) を創設し、1997年からは、GMOに反対する運動を本格化させる。

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 彼がGMOに反対する理由について、次のように述べている。
 「世界の農家の大多数は簡単な道具で働いているが、GMOはそういう農業と関係なく、工業的農業だ。発展できたのは特許のおかげで、農民は毎年、使用料を払わなければならず、その土地の伝統的な農業は破壊される。今の国際法は大きな組織、多国籍企業しか守らないようになっていて、まともな農民はGMOやダンピングで潰れるしかない。農業の世界に競争の論理を持ち込んではならない」

 大学時代に哲学を学んだことが、「グローバリズム」に対抗する農民運動に、新たな理論的裏付けを与えることになった。「直接行動」によって幾度となく検挙されても怯まず、不屈の闘志を持続させている。2007年の大統領選挙には獄中から出馬し、4%の支持を集めた。

 今日の日本でも、身近に「食の安全」を揺るがす数多くの問題が出てきている。外国から持ち込まれるものも少なくないが、国内の生産者の露骨な「利潤の論理」による、一般消費者の被害も莫大なものに上っている。こうした中で、以上に述べた二人の「仕事」から、学ぶべき事が少なくないと思われる。生産者は、「道義・人間性」が先ず求められているのである。       (2008.10.08)


<注> GMO が日本で製品化されている食品:
   大豆:食用油、味噌、醤油、豆腐
   菜種:食用油
   トウモロコシ:コーンスターチ、缶詰、ポップコーン
   ジャガイモ(冷凍輸入):フライドポテト、ポテトチップス

<写真・資料> The Independent, The Daily Mail, Le Figaro, Wikipedia

 
Commented by chanel tas at 2015-09-14 14:57 x
2015-7-25
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by shin-yamakami16 | 2008-10-08 11:46 | Comments(1)