世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

<   2009年 05月 ( 5 )   > この月の画像一覧

英国政権党大敗の兆し

f0166919_2123695.jpg

                苦境に立つゴードン・ブラウン首相


議員・金銭スキャンダルの高い代償
                            山上 真

 英国の相次ぐ「議員経費スキャンダル」は、次の総選挙での政権交代の可能性を一層強めている。

 ごく最近の世論調査によると、差し迫っている総選挙で、40%の有権者が保守党に、25%が自由民主党に投票することを意思表示し、政権党の労働党に投票するのは、僅か22%に過ぎないということだ。これだけ労働党支持率が下がったのは、1987年以来初めてというのである。


f0166919_21241872.jpg

             次期首相?保守党党首デヴィッド・キャメロン

 このような際立った労働党支持率低迷をもたらしているのは、先の拙稿で触れている、議員経費を巡っての醜聞である。疑惑を受けている労働党議員は、ブラウン首相、マーチン下院議長から、最近発覚したマーガレット・モーラン議員のスペインに所有する別荘についての疑惑に至るまで、10人近くに及ぶ。勿論、保守党議員数人にも疑惑が生じている。比較的難を逃れているのは自民党で、党首ニック・クレッグ氏の人気が急上昇している。


f0166919_212545100.jpg

             労働党と連立?自由民主党党首ニック・クレッグ

 近日中に行われるEU議員選挙及び4つの地方選挙で、予想されている通り労働党が大敗した場合、「総選挙を戦えない」ということで、ブラウン首相が辞任を求められる公算が強まっている。既に、ブラウン氏に代わる人物として、保健相アラン・ジョンソン氏の名前が挙がっている。

 また、労働党政権が次の総選挙で過半数割れをした場合、自民党との連立を組む話が、労働党内で「勝手に」進められているようだ。自民党の、財政問題に詳しいヴィンセント・ケイブル氏が閣内に入ることさえ想定されている。しかし、これまでの所、自民党側に受諾の気配はない。

 既成政党の不祥事に嫌気をさしている国民の少なくない部分が、極右・BNP や、UKIP (独立党)、或は「緑の党」支持に向かうのではないかと観測されている。
 
 いずれにせよ、次の英国総選挙で「未曾有の大変化」が起きることは不可避のようだ。                                      (2009.05.31)


<追記> 6月1日の英国各紙は、蔵相アリスター・ダーリング氏の、他人に貸している家屋(flat)の維持費を公費から支出している疑惑が明るみに出た事を伝えており、蔵相辞職に至る可能性がある。一方、保守党党首キャメロン氏は、ロンドン居宅購入の際の不適切なモーゲッジ(住宅ローン)使用を指摘されている。


f0166919_18114100.jpg

                ダーリング蔵相



<写真> The Guardian, Daily Mail, The Daily Telegraph 掲載のもの
 
by shin-yamakami16 | 2009-05-31 21:26 | Comments(0)


早急に求められる二国間交渉
                           山上 真

 朝鮮民主主義人民共和国(「北」朝鮮)が25日、地下核爆発実験を同国北東部で行って、世界に衝撃を与えている。

 先の「人工衛星実験」に対する国連安保理決議に抗議した際に、既に予告していたことであったが、今回は、2006年10月に行った最初の核爆発と較べて、約20倍の威力を持つ、長崎原爆とほぼ同規模の実験だったとされ、「北」が急速に核能力を増進させていることが、大きな脅威と受け止められている。今回は、米国、日本など西側のみならず、中国、ロシアも早速、懸念を表明している。

 核兵器保有国は、既に、米ソなど膨大な保有数を誇る国々の他、英,仏、中に加えて、インド、パキスタン、イスラエルなどであるが、これらの国々に加えて、イラン、「北朝鮮」が入るのは時間の問題に過ぎない。オバマ氏が正しくも訴える「核兵器全廃」は、理想どころか、緊急に求められる要件だ。
 
 この核実験の1時間程前に、米国に対して、予告が為された事実が、「北」の実験目的を如実に示しているとされる。即ち、オバマ政権を何とかして交渉の場に引きずり出そうとしているということだ。例の、埒の明かぬ「6カ国協議」を放棄して、「自国を米国の武力攻撃からの安全保障を求める為の」直接交渉をオバマ政権に要求しているというのだ。期待していた米国新政権が、容易に動かぬことに業を煮やして、打って出た「賭け」のように見える。

 当初、オバマ政権は、確かに朝鮮問題の解決に意欲を燃やしていたようだが、中近東・アフガニスタン・パキスタン問題はともかく、どういう訳か、イラン「核開発」問題に関心の焦点が移ってしまったように思われる。「北」の核開発能力の著しい進捗ぶりを考慮するならば、交渉の停滞は許されなかった筈である。ここに、クリントン国務長官の「伝統的外交手法」の限界を露呈しているようにも思われる。
 オバマ氏が、「一国行動主義」を捨て、多国間協議によって問題解決を図ろうとするのは結構なことだが、こと緊急性を伴う「平和維持」に関する限り、当事者間の直接交渉を排除するべきではないだろう。

 今回もまた、「安保理決議」によって、「北」に対する新たな制裁が科せられるだろうが、近年の「北」の、イラン・ヴェネズエラなどとの外交・経済活動の広がりを思うと、殆ど効果は期待し難い。

 極東の緊張緩和と平和維持の為に、この際、是非とも、「北」とオバマ政権との外交交渉が早急に開始されることを切望する。(2009.05.26)

 

 

 
by shin-yamakami16 | 2009-05-26 10:52 | Comments(0)

警戒要する「世論操作」


問われる「世論調査」の公正さ

                          山上 真


 民主党・党首選挙で、鳩山氏が岡田氏に29票差で選ばれたことに対し、「世論は圧倒的に岡田氏を支持しているのに、おかしい」というメディア・バッシングが大々的に行われた。辞任した小沢氏に近い立場の鳩山氏が選ばれるのは不条理だという訳である。

 ところが、その翌日の「どちらが首相にふさわしいか?」という調査では、鳩山氏が麻生氏に対して、43%対32%(共同通信)で優位に立っているというのだ。

 一方、一週間程前の内閣支持率は、麻生氏が30%台の支持率を回復して、民主党小沢氏に対して、優位を保っていることが伝えられている。

 こうした流れで見ると、小沢氏に近い立場の鳩山氏が、麻生氏を支持率で上回る筈がないのである。どの段階かの世論調査に、「真実でない数字」が使われていることになる。

 小沢氏の政治資金問題を巡って、メディアが追及姿勢を一貫して保持し、「世論啓発」に努めたことは間違いないが、国民の側は、小沢氏の政治活動の全てを批判した訳ではなかったようだ。だからこそ、小沢氏「擁護」の姿勢を保った鳩山氏が、必ずしもメディアが期待するような「否定評価」を、国民によって受けなかったのである。

 私見を敢えて申し上げれば、「資本に近い」岡田氏を、大概のメディアは支持したのではないかと思う。岡田氏は、憲法、日米安保、民営化問題などで、極めて自民に近い姿勢を維持していると、考えられるからだ。自ら「小泉氏以上の市場経済主義者」と認めている。

 残念ながら、日本では特に、メディア機関に対する資本の側の支配が極めて強いと言っていいだろう。まだまだ発達が未熟で、真の「中立性」からは程遠いのが現状だ。「世論調査」の真実性も、これらの要素を加味して見なければならない。どこかで、「自らの立場に有利な」数字を弄んでいる輩が存在するに違いない。しかし、時々、前後矛盾する状況になることは、当然露見する。
 我々国民の側は、特に総選挙に近い時期には、そうした「操作」によく注意していなければならない。                               (2009.05.18)

 
by shin-yamakami16 | 2009-05-18 12:25 | Comments(0)
f0166919_20425751.jpg




広がる一方の貧富格差

                           山上 真

 どこの国でも、政治に携る人々の金銭を巡る問題が跡を絶たない様だ。
 
 英国の5月8日のメディアは一斉に、ブラウン首相の公金私的流用問題を大きく報じた。それによると、同氏が、ロンドン市内にある兄弟のアパートメント・ハウスの清掃費6,500ポンドを、公費から支出させたというのである。

 この数年来、政権党の労働党閣僚・議員の汚職問題が常時と言っていい程、政界・社会の話題に上っていたのであるが、今回は、保守系大衆紙『デイリー・テレグラフ』が、労働党閣僚クラス8名の実名を含む政界金銭疑惑リストを秘密裏に入手し、近日中に公表すると云う。

 ブラウン首相以外では、公共相ヘイゼル・ブリア女史が、所有する3つの住宅用の家具購入費を公費で賄ったとか、法相ジャック・ストロー氏が地方税の支払いを逃れたという類いなのだが、とにかく、「労働者の代表」の筈の労働党議員が、「金に汚い」イメージを広範に振り撒いているのである。

 この報道と同じ紙面で、『ガーディアン』紙は、英国の貧富格差が、1960年以来最大に拡がったことを伝えている。政府発表のデータであるが、例えば、去年と較べて、無料給食を受ける児童数が17,000も増加しており、その総数の割合は、公立学校生徒の15%にも達しているという。

 全体の10%を占める最貧家庭の週当たりの収入は、過去7年間で9ポンド低下して147ポンド(約2万円)となる一方、最富裕層(全体の10%)は、45ポンド増加して1,033ポンド(約15万円)に達する。こうして、収入格差は開く一方である。

 ブラウン政権が発足当時、児童の貧困を2010年迄に半減させるという公約を掲げたのであるが、最早反故同然となっている。

 国民の大きな期待を背負って首相の座に就いたブラウン氏も、結局の所、私利私欲に憂き身をやつす、凡庸な「政治屋」に過ぎなかったのか、という幻滅感が大不況に喘ぐ英国社会を一層暗いものにしている。 (2009.05.10)


<写真> The Guardian 掲載のもの
 

 
by shin-yamakami16 | 2009-05-10 20:43 | Comments(0)

改憲勢力の「危険な努力」

                       山上 真

 少なからぬ人々が指摘しているように、日本人が60数年に渉って平和的環境の下で生きて来られたのは、戦争放棄を定めた戦後憲法の所為と言って差し支えない。

 「日米安保」という条件の下で、必ずしも日本が戦後の全ての戦争に関わらなかったと言うのは真実ではないが、少なくとも、他国に侵入して、そこの人々を殺害したり、自らも死傷するようなことは無かったと思う。そこには、現行憲法の存在が多いに働いている。

 戦前の「帝国主義日本」による侵略行為によって、途方もない惨禍をアジア諸国及び自国民に蒙らせることになったが、その代償に、国策遂行の為の手段として「二度と戦争に訴えることのないように」所謂平和憲法を制定したことは、どのような経緯があれ、間違いはなかった。

 にも拘らず、今日、政権を握る自民党、野党の民主党の少なくない部分が改憲を公言し、産経・読売グループなどが露骨に、その宣伝役を担っている。

 例えば、自民党・安倍発言「北のミサイル基地先制攻撃」に見られるように、彼らは「北朝鮮問題」を利用し、事実上の「戦争準備」の為の憲法改変を主張する迄に至っている。加えて、先に「泥酔発言」で辞任した中川某の「核武装論」まで出ているのは、警戒を要する信号だ。これらの輩は、その「若さ」故か、戦争のリアリティーをまるで知らないようだ。

 幸いにして数年来の「参院逆転」によって、元来不要な憲法審査会などの議論が一向に進まないのは、誠に結構な事だ。もし次の総選挙で野党勢力が増大するならば、なお一層、改憲運動は後退するであろう。

 日本が、戦争を放棄した「ユニークな先進国」として、未来世界にその国家像を持続してゆくことは、世界平和に貢献できる極めて貴重な事業と言えるだろう。     (2009.05.03)
by shin-yamakami16 | 2009-05-03 19:44 | Comments(1)