世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

<   2010年 05月 ( 6 )   > この月の画像一覧

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「責任追及」圧力強まる一方のBP、オバマ「失態」

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 先月20日起きたメキシコ湾海底油田爆発事故から既に1か月過ぎたのに、大量の原油流出は一向に収まっていない。当初、抽象的にしか捉えられなかった事件の実体は、黒々としたタール状の原油が広範な海岸線を汚染し始め、大量の死んだ魚、海鳥などが浮く海を目の前にして、沿岸に住む人々は漸く惨状の規模を理解し始めている。
 

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 この未曾有のオイル漏れ事故を引き起こしたBPと、油田掘削の「許認可」を取り仕切った連邦政府は、その「無能さ」と「失態振り」が明々白々になるにつれて、メキシコ湾岸の漁民など被害当事者のみならず、米国民一般の憤激を巻き起している。そして、先に「海底油田GO」の意思表示を明確にしたオバマ大統領への風当たりも厳しいものになってきた。オバマ氏が大統領選挙戦前から、BPなどから巨額の寄付を受けていたことが明らかになるにつれて、オバマ政権が「BPなど大手石油会社に極めて甘い対応しかして来なかった」ことの理由がはっきりしてきたというのだ。

 BPは、当初、「こんな原油漏れは大海の一滴に過ぎず、何ら問題にならない」と嘯いていたが、幾度も「原油流出止め」に失敗して面子を失い、非難囂々の中、四面楚歌の状態だ。しかも、英国紙『テレグラフ』が22日報じる所によれば、原油漏れの日量は、BPが発表している5,000バレルどころか、実にその17倍の85,000バレルに上るというのだ。このような事実が明らかになるにつれて、BPは市場の信用を失いつつあり、事件発生以来、BPの株価は23%下落し、280億ポンドが失われたという。同社は、今後の ‘Clean Up’ 即ち後始末と、損害賠償責任を負わねばならず、その行く手は厳しさを増すばかりだ。


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             講演する Erin Brockovichさん


 この原油漏れ事故が、広大なメキシコ湾岸現地住民、生態系に及ぼす被害・影響について、文字通り「量り知れないもの」であることが日を追って知られるにつれて、原因企業BP (British Petroleum) の責任を法的に明確化しようとする新たな動きが始まった。他ならぬエリン・ブロコヴィッチ女史の再登場である。以下は英国『タイムズ』紙(5月22日付)のレポートである。

 彼女は、1991年に、カルフォルニアの巨大企業 ‘Pacific Gas & Electric’ を相手取って、この会社に因る「毒性クロム」公害被害についての訴訟を大勝利に導いたのであるが、その経過が、ジュリア・ロバーツ主演で映画化されて、一躍有名になった女性である。<注>
 彼女は、19年前に見せた「トレード・マーク」の闘争心と誠実さをもって、フロリダ・Pensacola の「不安そうな」住民300人を前にして語りかけた。

「BPに対して、もうこれ以上お前の ’Shit’ (嫌なもの)を受け入れないぞ、と言いましょう」

「もしあなた方が退いて,連中の為すが侭になることを許せば、彼らはその通りにするでしょう。決してそうさせてはなりません」

 エリンは強い言葉を使いながらも、時折涙を見せていた。というのは、彼女が19年前に取り組んだ事件とは、その被害規模と相手企業の大きさの点で,全く異なり、まるで見通しが利かないからである。水質汚染による長期的健康被害、生物資源への影響など、「現代で最悪の環境災害」になる恐れがあるからだ。

 一方、米国連邦政府は、今や「失地回復」の為にBP非難に踏切っているが、何せ事故修復の技術はBPに任せる他なく、今度のような海底の大規模事故に対する「国家的不備」が露呈していることは否めない。オバマ氏は、そのエネルギー政策など、政権の根幹の在り方を問われる事態に直面している。
                                 

<注> <goo 映画>より引用

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あらすじ
カリフォルニア州モハベ砂漠の小さな町。エリン(ジュリア・ロバーツ)は元ミス・ウィチタの美貌ながら、離婚歴2回、3人の子持ちで無職。職探しに出て採用面接の帰り、追突事故に巻き込まれた彼女は、引退を控えた弁護士エド(アルバート・フィニー)に裁判の弁護を依頼するも和解金を取り損ねた。職もなく貯金も尽きかけた彼女はエドの法律事務所へ押しかけ、強引に彼のアシスタントとして働き始める。書類整理中、彼女は不審なファイルを見つける。不動産売却の書類になぜか血液検査の結果が添付されていたのだ。孤軍奮闘して調査した結果、大企業の工場が有害物質を垂れ流しにしている事実を突き止める。病に苦しむ住民たちを目の当たりにしたエリンは、気乗りしない住民たちに訴訟に持ち込むよう説得に回る。その後及び腰だったエドも本格的にその問題を担当。また彼女の隣りに住むバイク野郎ジョージ(アーロン・エッカート)が3人の子供の面倒を見てくれる主夫として私生活面をサポート。地道な活動が住民たちの共感を呼び、大企業と交渉の場を持つまでに。ついには執念で600人以上もの署名を集め、全米史上最高の和解金350億円を勝ち取った。大きくなった法律事務所で窓際の個室を与えられたエリンはエドから破格のボーナスを受け取るのだった。

                                  (2010.05.26)


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          「私が責任をとる」と語るオバマ大統領(27日記者会見)

<追記1> 今日5月28日付『ニューヨーク・タイムズ』電子版によれば、'Top Kill' テクニックと呼ばれる、重量のある液体を流し込んで原油流出口を塞ぐ手法が一定の効を奏して、流出は一応止まった模様だ。ただ、このまま止まった状態が続くかは、見通し不定という。
 一方、同紙によれば、オバマ大統領は声明を発表し、石油会社が海底油田開発の際に、最悪の事態への備えを充分にした上で事業を展開しているのだと当然視していたことの誤りを、'I was wrong' という「大統領として滅多に口にしない」表現で、認めた。そして、アラスカを含む全米沿岸での油田開発を当面中止すると共に、「史上最悪」と言われる今度の原油流出事件解決の為に、最善の努力を尽くすことを誓った。                   (2010.05.28)


<追記2> 29日付NY紙によれば、上記‘Top Kill'技法は結局失敗に終わったということで、現在も日量12、000から19,000バレルの原油が海底から流出しているということだ。メキシコ湾岸で約2,000人が流出止めの作業に携わっているが、解決の糸口が未だに掴めていない。    (2010.05.30)



<写真・資料> The New York Times, The Washington Post, The Daily Telegraph,
        The Times, L'Humanité
by shin-yamakami16 | 2010-05-26 16:06 | Comments(0)
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                自爆テロ直後のカブール    


改めて問われる「オバマ新作戦」の有効性

                            山上 真

 5月18日付『ニューヨーク・タイムズ』紙は、’Grim Milestone: 1,000 Americans Dead’ 「不気味な里程標:千人のアメリカ人の死」と題する長文の特集記事を掲載した。

 この記事は、先ず、去年8月に、アフガニスタン・カンダハルでの歩哨任務に就いていた若年米兵3人が、相次いでI.E.D.即ち即製爆弾に触れて死亡した事件から説き起こしている。そして、この5月18日には、カブールで起きた自爆テロで、5人の米兵が同時に犠牲になったことによって遂に米軍戦死者千人を超えるに至り、現在進行中の米軍・NATO軍作戦の「妥当性」を疑問視する内容となっている。

 この戦争では、米兵戦死者が500人に達するまでに約7年を経ているのに対して、更なる戦死者500人に至るまでに、僅か2年に満たない点を指摘して、アフガンでのタリバン勢力の武装闘争が激しさを増していることを示している。
 しかも、上記の3人の若い兵士たちは、アフガニスタンでの厳しい戦闘の実状を知らないまま軍隊に志願していたようだ。
 例えば、19才のPatrick S. Fitzgibbon の場合は、妊娠した女友達との結婚を夢見て軍隊に入り、3か月の基礎的訓練を受けただけで戦場に送られた。同じ日に戦死した他の二人との共通点は、両親の離婚を耐え凌ぎ、学校があまり好きではなく、軍隊を「より良き生活への入り口」と看做していたことだ。

 「兵卒 Fitzgibbonの死 は、多くの点で、戦死の新たな増加傾向を典型的に象徴している。軍歴で明らかであるが、米軍人はますます若死にしており、多くの場合、新兵訓練所から出たばかりだ。2002年から2008年にかけては、アフガン作戦中に戦死した兵士の平均年齢は28歳だった。去年は26歳まで下がった。今年戦死した125人以上の兵士の平均は25歳になった」


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 『ニューヨーク・タイムズ』紙は、幾人かの兵士の、戦死に至る経緯を詳述した後、多くの戦死者を出すようになった現地戦線の背景事情に迫ろうとする。
 
 結論を急ぐと、米軍現地司令官は、協力を得ねばならない戦闘地域の首長の人間関係・行動様式についての情報を殆ど把握出来ずに、盲目的作戦行動を続けていることが分かった。
 現地最高司令官マクリスタル氏は、「アフガン情勢は深刻だ。アメリカ軍は執拗で一層激しい抵抗に直面している」と語るばかりだ。同氏の主張に従ってオバマ大統領は、昨年秋に、新たに3万人の兵士を派遣することに決めたのであるが、I.E.D.、「イラク」型の高性能爆弾使用など、タリバンの高度化する戦術を前にして、更なる戦死者の増加は免れられない状況に陥っている。


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 間もなくNATO連合軍による「カンダハル作戦」が始まろうとする矢先、カブール近郊・米軍最重要基地「バグラム」が、ロケット砲などを装備した20人程のタリバンに襲撃される事件が19日起きた。幸運にも、負傷者を出すだけで済んだが、これは、作戦の「背後から敵に撃たれる」形になっていることを示している。
 

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                 襲撃されたバグラム米軍基地
 

 オバマ大統領に求められるのは、自国の若い人々の「無駄死に」を避けるべく、戦場の実状を知り、「戦争一辺倒」の政策を一日も早く直すことではないか。
 既に米国では、約60%の国民が、米軍の「アフガニスタン撤退」を求めている。「賢明な指導者」としての大統領の資質が、今厳しく問われていると言えよう。
   
                                  (2010.05.20)


<追記 1> 5月20日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、18日(火曜日)カブールで起きた自爆テロによって殺害されたNATO軍関係者の中に、米国・カナダ軍大佐各一名、米軍中佐二名が含まれていることが分かった。事件は、ラッシュ・アワーの混雑時に、自爆犯が乗ったミニバスが米軍車列に突っ込み,爆発、バスのアフガン人乗客12人、米兵2人も犠牲になった。合わせて4人もの軍高級幹部が一度に殺害されたのは、アフガン戦争開始以来、初めてのことという。                                  (2010.05.22)


<追記 2> 5月23日付の英国各紙によると、英国防相、外相、そして国際開発相などがアフガン訪問中に、カンダハル空港が数時間に渉ってロケット砲などの激しい攻撃に晒され、これら英国首脳部が予定していたカンダハル視察を中止したという。彼らの間では、英国財政事情緊迫化に伴い、「アフガン撤退」時期を巡って激論が交わされているとのことだ。 (2010.05.24)

<写真・資料> The New York times, Daily Telegraph, Le Monde



 


 
by shin-yamakami16 | 2010-05-20 22:21 | Comments(0)
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指弾されるBPなど会社側と米政府当局の「怠慢」

                          山上 真

 4月20日、米国ルイジアナ州40マイル沖合のメキシコ湾・海底油田爆発による原油流出の規模は、当初米国政府発表「日量5,000バレル」の約10倍に達する恐れがあることが明らかになった。これは、政府発表の数字に疑問を呈する科学者や、環境保護団体が公表したものである。重大なのは、未だに海底での重油流出が一向に止まっていないことだ。巨大な蓋で流出箇所を覆い、パイプで原油を吸収しようとする試みも失敗に帰した。


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 今度の原油汚染は、1989年にアラスカで起きた「エクソン・バルディーズ号」事故による「海岸汚染」の規模には現段階では達していないが、その被害が深海に隠れており、潜在的に遥かに深刻なものであることを科学者たちは指摘している。
 サンゴ礁やエビ・魚類など生態系への影響は、深海である為、科学者たちが見積もることが困難であり、漁業に携わる数千人の生活者にとっても、BPなど関係する3会社に求める長期的な被害額の確定が容易ではない。


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 今度のような原油漏れ事故が何故起きたかという原因究明が米国議会内で始まり、BP、掘削装置管理会社Transocean、セメント会社Halliburton の責任者が公聴会で証言したが、いずれもそれぞれの会社の事故責任を認めず、互いに責任転嫁し合った。これにはオバマ大統領が呆れ、5月14日の「ホワイト・ハウス」での記者会見で、大いに怒りを露わにしたが、実は、前ブッシュ政権から現政権に至る迄、 ‘The federal Minerals Management Service’ (MMS)「連邦鉱物資源管理局」が、そこに所属する科学者たちの「海底油田掘削が生態系に及ぼす悪影響について」の調査結果を無視して、BPなどの数十の石油会社と「馴れ合い」、掘削許可を与えていたことが判明した。


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 しかも、これら誤ったMMS の情報をそのまま真に受けたらしいオバマ大統領は、既に4月5日付本ブログで紹介したように、「米沿岸海底油田掘削」の方針を発表した。そして、今度の事故発生18日前に、サウス・カロライナでの「タウン・ミーティング」の席上で、
 
 「現代の石油掘削装置では石油漏れ事故が通常起こらないことが明確になっている。技術的に進んでいる訳だ。カトリーナ台風の時でさえも、掘削装置から石油漏れはなく、それが起こったのは陸上の精製装置からだ」

と語ったのである。この発言は、民主党リベラル派や環境保護活動家を激怒させているようだが、オバマ氏は、今度の事故原因が明らかになるまでは、米国政府の「海底油田掘削」方針を一時中止にしているものの、エネルギー政策の一環としても「石油掘削」方針は不変としている。

 未だに膨大な量の原油がメキシコ湾を汚染し続けている実状を、連日、あらゆるメディアが伝えている米国内では、今後、「原因企業」3社の責任追及が一層厳しくなる一方、オバマ政権の「対応の遅れ」と、政府機関の、石油会社との「癒着問題」が大きくクローズ・アップされつつあり、場合に依っては、「ブッシュのカトリーナ」と同様の成り行きを懸念する向きもある。

(2010.05.15)


<追記1> 今朝のFOX Radioニュースが報じる所によれば、当初発表の約12倍・日量2百万ガロンが海に流出しているという。(注:1バレル=31.5ガロン)

                                (2010.05.15) 

<追記 2> 5月17日早朝のFOX Radio ニュースによると、BPは1マイル程の長さのパイプを海底の「原油漏れ箇所」の一つに接合することに成功し、原油を海上のタンカーに汲み上げているという。ただし、どの程度「漏れ」を防いでいるかは未だ不明ということだ。                     (2010.05.17)


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       メキシコ石油会社 Pemex の Ixtoc 1リグでの原油流出事故(1979年)                          


<追記 3> 5月18日付『ニューヨーク・タイムズ』紙が伝えている所によれば、原油汚染海域が更に拡大していることに伴って、イルカからブルー・クラブに至る迄のあらゆる海洋生物が危機に晒されており、特にヒメウミガメが全滅する恐れが出て来ているということだ、このヒメウミガメは、1979年、メキシコ・Ciudad del Carmen 100キロ沖合の石油掘削リグ Ixtoc 1で起きた原油流出事故の為に数百個体まで減少した後、最近になって漸く約8,000個体まで増えたばかりであった。ルイジアナからフロリダまでの海岸線は、この小型ウミガメの産卵地である。
 一方、英紙『ガーディアン』によると、18日、「タールボール」(球状の原油塊)がフロリダ南部キーウェストに漂着し、原油被害がメキシコ湾から大西洋岸に達する恐れが避けられなくなってきたと言う。            (2010.05.19)




<資料1>


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<資料 2>


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<写真・資料> The New York Times, The Washington Post, Wikipedia  

   
by shin-yamakami16 | 2010-05-15 20:47 | Comments(0)
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       ディヴィッド・キャメロン首相とニック・クレッグ副首相


外交・軍事:二党の「伝統的政策」をどう調和できるか
                           
                                 山上 真

 総選挙後一週間を経ようとする5月11日夜,漸く英国保守・自民両党の連立政権が発足する運びになった。保守党306議席と自民党57議席合わせて、下院過半数326を大きく超える363議席を持つ「安定政権」が生まれた。5年間という連立期間を設けている。

 第三党の自民党が、保守党との連立交渉を先ず始めて、一定の妥協点を見出した後、労働党との折衝が開始された。一般的に見て、もう少し時間が掛かるかに見えたのだが、昨日午後になって、急遽、ブラウン氏はダウニング街No.10で首相辞任を発表し、間もなく家族と共に官邸を去った。「イラク」戦争責任で辞任したブレア氏の後を継いだ同氏の首相在任期間は3年に満たず、13年間に及んだ労働党政権は遂に幕を降ろした。



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            首相官邸を去るブラウン氏と家族



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    女王との会見・首相「ブラウン氏辞任」(右)と「キャメロン氏就任」(左)




 自民党から見れば、保守党よりも労働党の方が、基本政策の「選挙制度改革」などで一致点を見出し易いと思われたが、何せ、労働党と自民党の議席を合わせても、312議席に過ぎず、この数字にスコットランド国民党SNP、更に独立党派の僅かな議席を積み重ねて漸く326議席という過半数に達するかどうかというきわどい「賭け」であった。結局は、これら幾つもの政党が、新政権を構成した場合、どれだけ個別の政策で協力出来るかという問題が残り,常識的に見ても困難とされる。加えて、労働党内有力者,例えば法相ジャック・ストロー氏、教育相アンディ・バーナム氏などが、「選挙制度」などでの自民党との妥協に強く反対していた。また、この際、保守党の勝利をはっきり認めて政権を委譲し、保守・自民連立政権の「予想される失敗」の後、再び政権の座を狙う方が得策だという「現実論」が、この党内に高まったようだ。こうした雰囲気を察したブラウン氏は、最終的に、「私欲」で首相に留まろうとしていると看做されることを嫌ったということだろう。

 キャメロン保守党とクレッグ自民党が一致している政策は、先ず、今や欧州一とされる財政赤字を緊縮経済政策によって削減すること、悪化している教育・社会状況を改善することである。保守党は自民党に譲歩し、「所得10,000ポンド以下の家庭の免税」を認め、富裕階層の相続税減税を撤回した。
 「選挙制度改革」については、*’Alternative Vote system’ を「国民投票」に掛ける方向だ。核ミサイル「トライデント」廃棄問題は、自民が譲歩して、今後その価値・費用を精査してから決めるということだ。
 「ユーロ」は、この連立期間に導入されないことになった。
 他の多くの政策細目については、両党の専門委員会で詰めて行く方針だ。

 これ迄に明らかにされている新政権閣僚については、自民党からクレッグ党首が副首相、ケイブル氏が企業・銀行相など5人が入ると見られるが、やはり蔵相・外相・国防相などの要職は保守党が占めるのは、「力関係」から見て、やむを得ないというところか。



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              首相官邸に入るキャメロン氏夫妻


 新政権誕生に伴って、改めて英国の「欧州政策」及び「アフガン戦争」問題が新たな議論の俎上に上ることは間違いない。これらの重要な外交問題では、自民党と保守党の間に大きな相違があるからだ。自民党の「親欧州大陸」姿勢と保守党の「英国中心」姿勢は、事ある毎に対立を孕んでいると言えよう。また、自民党内に強い「反戦」感情は、保守党の「大英帝国」的軍事方針とぶつかることが予想される。

 早くも、この連立政権樹立についてのコメントが新聞『社説』などに掲載されている。例えば『ガーディアン』紙や『インディペンデント』紙は、要約すると、「保守党単独よりはましであるが、如何にも不調和な組み合わせだ」とし、「試金石は、今後数か月の内に分かることだが、富める者が国家の負債に対して応分の税を支払うようにさせられるか、それとも、負担が、貧しき者や低所得者に、様々なサービス・カット、付加価値税の増税という形で、のしかかるのかということだ」とする、かなり厳しい「先行的」評価を下している。
 


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              5月12日首相官邸中庭での記者会見



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             5月13日開かれた最初の閣議



*<注> 各「小選挙区」で、投票者は好ましい候補者順に、1、2、3、の数字をマークし、最高得票者が投票総数の50%に達した候補者が当選する。もし達しなければ、最下位者の得票を他候補に再配分する。同様の再投票をし、50%に達するまで投票を重ねる。


                                 (2010.05.12)


<追記 1> キャメロン連立内閣の主な閣僚は次の通りである。
     (con は保守党、lib は自民党出身をそれぞれ表す)


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               ウィリアム・ヘイグ外相 con

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               ジョージ・オズボーン蔵相 con

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              ケネス・クラーク法相   con

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                テレザ・メイ内相    con

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              リアム・フォクス国防相 con

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               ヴィンセント・ケイブル企業相 lib

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               イアン・ダンカン・スミス職業・年金相 con

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               クリス・ヒューン エネルギー・環境相 lib

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              アンドルー・ランズリー保健相 con

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               マイケル・ガヴ教育相      con

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               エリック・ピックルズ地方相   con

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               ダニー・アレグザンダー スコットランド相 lib

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              デイヴィッド・ローズ 財務相   lib

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               レディ・ワルジ無任所相・保守党議長 con



<追記 2> 5月13日付『ガーディアン』紙が伝える労働党内の調査によれば、次期労働党党首として、デヴィッド・ミリバンド氏27.7%、エド・ミリバンド氏16%、ジョン・クルダス氏11.1%、エド・ボール氏7.2% という支持率が明らかにされている。     

                                   (2010.05.13)

<追記 3> 5月13日付『タイムズ』紙が伝えている所によれば、ヘイグ外相は、米国のイラン・イラク・アフガン政策を支持する従来の外交姿勢に何ら変更はないことを明確にした。また、『モーニング・スター』紙によれば、リアム・フォックス国防相は、英国の「アフガン参戦」、及び核抑止力としての「トライデント」保持を続けることに変わりはないことを、早くも明らかにしたということだ。こうなると、保守党と連立を組んだ自民党の「反戦」姿勢はどうなったのかという疑問が、「自民」の過半数を占めるとされる「左派」支持者たちの間で強まるのは必至と見られる。                
                                   (2010.05.14)



<写真・資料> The Times, The Guardian, The Independent, Daily Mail,
      Daily Telegraph, BBC News
by shin-yamakami16 | 2010-05-12 21:13 | Comments(0)
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                 英国2010総選挙・勢力図



浮かび上がる「選挙制度改革」問題

                            山上 真

 この数年間、英国各政党は「この為だけに」必死の活動を重ねて来たのであるが、結果は、どの政党幹部も喜ばぬ「代物」となってしまった観がある。


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 「政権党」労働党は91を議席を失い、ブラウン首相再選の可能性をほぼ潰した。キャメロン保守党は「右派メディア」が予想・期待した過半数326に遠く及ばぬ307議席に止まり、「嫌いな」自民党との連立交渉に追い込まれた。
 自民党は、「ニック旋風」を吹かせて大躍進を期待したが、見事にメディア・体制側の抑え込みに嵌ってしまい、躍進どころか前回総選挙より5議席を減らす羽目に陥った。
少しの救いは、「グリーン・パーティ」が初めて議席を獲得したのに対して、極右BNPが一議席も取れなかったことだ。


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          当選した「グリーン・パーティ」党首Caroline Lucasさん


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          3位で落選したBNP(英国民党)Nick Griffin 党首


 この選挙に参加した有権者の声としては、「何だ、これは?」という意見と、「これでいいじゃないの?」と言うものに分かれている。前者は概ね、右派・保守系メディア及びその支持者だろうし,後者は「宙ぶらりん議会」を歓迎する中立・左派系メディアと人々だ。

 得票率では大差はないものの,現行「小選挙区」制度によって、少数議席しか獲得出来なかった自民党が、’King Maker’ の役割を担うことになったのは、「悪くはない皮肉」である。この「ニック・自民党」の持つ57議席の行方が「キャメロン首相」を実現するか、それとも、労働党を政権の座に据え続けるかを決定するからだ。しかし、自民党の主張する「比例代表制」や、核ミサイル[トライデント]廃棄などの要求を呑むことは、他の二党にとっても決して容易なことではない。政治の方向性の根幹に関わる問題であるからだ。

 自民党にとっても、どのような「原則性」と「柔軟性」を発揮出来るかということが、この党の将来の消長に関わる重大事であるが故に、安易な妥協は難しいだろう。目下、自民党の幾つかのレベルで、妥協点を画定しようとしている。


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          「自民党との連立」の意図を述べるキャメロン保守党首


 現時点で一番可能性の大きい政権形態は、保守党内で想定されていた「キャメロン少数内閣」の発足である。この場合、自民党とは、それぞれの政策別の協力関係があり得る。「財政赤字削減」、「学校制度の自由化」、「IDカード廃棄」などで、政策協調が予想される。ただ、この「閣外協力」が、自民党にどのようなメリットを与えるかは未知数だ。確かに、国家的危機を齎す恐れのある「政治不在」を救う意味は認められるにしても。


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           「先ず保守党と交渉」と述べるクレッグ自民党首       


 自民党が労働党と組む場合は、先ず「選挙制度改革」で一致することは,大いにあり得ることとしても、「IDカード」で、乗り越え難い対立が避けられない。「トライデント」問題も互いに譲り難いと思われる。


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             政権維持の意欲を猶示すブラウン氏


 英国政治が一定の落着きを見せる迄,今後1週間から1、2か月を要すると観測する向きが多いようだが、この国の幾つかの要素を採り入れている日本の将来像にも、「選挙制度」などの面で少なくない影響を及ぼすものと思われる。その動向を注目したい。
                    
                                   (2010.05.08)
 

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<追記 1> 昨日8日朝、1時間余り、保守党キャメロン党首と自民党クレッグ氏の会談が、「友好的雰囲気」の中で持たれたが、「比例代表制」など選挙制度の具体的問題点まで触れられなかったようだ。それぞれの党の中で、両党「連立」について賛否両論が渦巻いており、例えば,選挙制度改革を求める千人程の人々が自民党本部の前に集まり、保守党との交渉を牽制しているようだ。しかし、クレッグ党首は、『サンデータイムズ』紙などによれば、選挙制度改革より「経済危機」を打開する為の方策を優先させる意向だということだ。この二党間の交渉は9日にも続けられる。
   (2010.05.09)                                

<追記 2> 総選挙後の幾つかの世論調査によると、現在問題になっている選挙制度について、現行の小選挙区制に替わる「比例代表制」を支持する英国民は、実に50%から62%に上ることが明らかになった。しかし、専門家の話では、その実現には議会での法案画定・決議、'Referendum' (国民投票)、国民への説明などのプロセスを経なければならず、その実現までに少なくとも3年から4年間を必要とするとのことだ。こうなると、「比例代表制」を、自民党が「連立」の前提条件とすることが容易ではなくなる。結局,大まかな了解事項ということになるかも知れない。


<追記 3> BBC 1 日曜日(9日)朝の 'The Andrew Marr Show' での、元自民党首 Paddy Ashdown 氏との対談で、同氏が「国家的利益」の為に、保守党との連立が現実的妥当性を持つという趣旨の発言をしていたことが注目される。つまり、自民党指導部では、同党の 'centre left' (中道左派)という従来の立場を変更しても、「右派」保守党と「連立」することが有力な選択肢となっていることを窺わせる。しかし、これまで熱心に自民党を支持していた人々の間で批判が高まっており、例えば9日付『インデペンデント』紙社説は、「自民党は、選挙制度改革の為に、労働党と政権を組むべきだ」と主張している。                (2010.05.09)

<追記 4> 5月9日付『ガーディアン』紙が伝える所によると、ブラウン政権の多くの閣僚は首相が先ず辞意を明らかにし、、その上で、自民党との「連立」交渉を続けるように求めているということだ。誰が交渉の責任を負うかという問題を含めて、労働党内で、今後の「連立交渉」の道筋について混乱が起こっているようだ。                    (2010.05.10)

<追記 5> 今回の総選挙で、労働党政権の2人の前・元内相が落選した。ジャキー・スミスと、チャールズ・クラークである。前者は「公費の私的使用」が響いた。
 左翼紙『モーニング・スター』によると、'Labour Representation Committee' に属するジョン・マクドネル、ジェレミー・コービンなど20人の労働党「左派」議員が再選されたということだ。
 一方、左翼「リスペクト・パーティ」は、選挙区を替えた党首ギャロウェーが落選し、議席を失った。                    (2010.05.10)


<追記 6> 5月10日のBBC News が伝えている所によると、ブラウン首相は今年9月の労働党・党大会迄に、「国益の為に」退陣することを初めて公式に表明した。   (2010.05.11)


<追記 7> 各メデイアは早くもブラウン氏の後継・労働党首として幾人かの名を挙げている。先ず有力とされているのが、現外相の David Miliband (45) 氏だ。その父はマルクス主義学者 であり、1960年代に「ニュー・レフト」としてヴェトナム戦争に反対する激しい運動を繰り広げたRalph Miliband である。
 同じく労働党首「後継」に立候補する意思を示しているエネルギー・環境相の Ed Miliband (41) は、David の実弟である。
 児童・学校・家庭相 Ed Balls (43) は、『ファイナンシャル・タイムズ』の経済記者の経歴を持ち、2005年の下院選挙で当選した。経済に強い人物として注目されている。
 現在副党首のHarriet Harman (60) は、幾つかの要職を経た、女性議員として最古参の一人であるが、今のところ、自身は党首に立候補する意思を示していない。



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               デビッド・ミリバンド氏


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                 エド・ミリバンド氏

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                 エド・ボールズ氏

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                 ハリエット・ハーマン女史


                                 (2010.05.11)


<写真・資料> The Times, Daily Mail, The Guardian, The Independent, Daily Telegraph,
      BBC, Wikipedia
        
by shin-yamakami16 | 2010-05-08 22:47 | Comments(0)
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        選挙キャンペーンで草臥れた表情のブラウン首相(5月3日)




労働党:「戦術投票」呼びかけの狙い

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 英国総選挙戦は、5月6日(木)の投票日まで、あと二日を残すだけとなり、各党共に必死の票固めを続けている。

 保守党キャメロン党首が、最近の保守党優位という幾つかの世論調査結果を「真に受けて」、政権獲得を前提に、「女王演説」の構想を練り始めるという「早とちり」をしているのに対して、「労働」・「自民」側は、未だ選挙もやっていないのに何事かと、強く抗議している有様だ。


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          親労働党誌から「危険視」されているキャメロン氏


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           反キャメロンの「戦術投票」を呼びかける『ミラー』紙



 労働党幹部ピーター・ヘイン氏及び、労働党支持メディアである『デイリー・ミラー』紙は、この所相次いで、「キャメロン政権登場阻止」の為の ‘Tactical Voting’ 即ち「戦術投票」を呼びかけている。つまり、労働党が比較的強く、保守党候補者と戦っている選挙区では、自民党支持者に「労働党への投票」を求める一方、自民党候補者が、保守党に匹敵する強さを持つ選挙区では、労働党支持者に自民党候補への投票を求めている。こうして、死票になるのを防いで、保守党候補者を落選させ、労働党・自民党の議席増を目指す狙いだ。ひょっとすると、労働党が自民党と組んで,ともかく「政権」を維持出来るかも知れないという「魂胆」があるかも知れない。


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               「未知」自民党首を皮肉る 'Cartoon'


 選挙戦の様子を、メディアの動きから見ていると、一般に「メディア王」と呼ばれるルパート・マードックの支配下にある英国「右派メディア」などの、「反自民・労働党」キャンペーンの露骨さと烈しさは、いつも乍ら、不快感さえ感じさせられる。『サン』、『メイル』、『タイムズ』、『エクスプレス』、『デイリー・テレグラフ』などは、普通の議員なら問題にならぬ収入額、邸宅の大きさなど全く個人的次元に属する事柄を、TV討論会で大好評を博した「自民」ニック・クレッグに限っては連日大きく取り上げて、読者の「反感」を買うように仕向けた。それほどに、「自民」有力政治家の登場は「危険視」されているのである。

 それは何故か。先ず、自民党の求める「比例代表制」という選挙制度改革は、確かにキャメロン氏が言うように、英国「2大政党制」というものの根幹を揺るがせてしまう。これは、或る人から見れば、「多党乱立」による政治の「安定性」を損なうことになり、別の人から見れば、「イラク参戦」に象徴される「政治の暴走」を未然に防ぐことになる。それぞれにメリット・デメリットがあるのはやむを得ない。

 自民党が訴える次の問題は、核ミサイル「トライデント」廃棄など、軍事予算「削減」の方針だ。これについては、5月4日付の『タイムズ』紙によると、ガスリー将軍など、元英国軍最高幹部3人が、政権参画の公算が大きくなっている「クレッグ自民党の英国・防衛政策は、他国がつけ入る可能性を増し、英国がテロリズムに晒される危険性を増大させる」として、警告しているということだ。
 自民党は,空かさず、「これは保守党を利する為の計略だ」として、上記指摘の妥当性を否定したが、「既存体制側」からすれば、核抑止力保持という伝統的軍事方針の大転換となる事態を何とかして避けたいのだ。


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             「ブラウン失政」などを衝く風刺漫画          


 保守党からすれば、ブラウン労働党は、政権の現状を批判すれば好いだけだから、御し易い相手ということになる。「未曾有の」景気後退を招いた責任、技術革新の遅れ、財政赤字を増大、果てはアフガン英軍装備の「お粗末さが戦死者を増やしている」など、枚挙の暇がない。ブラウン氏は防戦一方だ。

 筆者から見て、保守党の「唯一?」立派な公約は、労働党「売り物」の「ID カード」計画廃棄である。このIDカード実施は、膨大な経費を要する割に実用に全く適さず、寧ろ「人権侵害」の危険性など、弊害の方が大きい問題となっているのだが、「不法入国」取締の切り札として、労働党政権が固執しているのは全く理解し難い。この問題では、自民党も保守党と同じ見解だ。


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               5月4日の世論調査 (Channel 4 News)


 保守党「勝利確実」の予報を得て、保守党キャメロン党首は5月3日、たとえ保守党が安定多数の326議席に達しなくても、自民党と連立せずに、「マイノリティ政権」を維持する方針を明らかにしている。恐らく,「勝ちに行く」選挙対策上の方針表明であろうが、こうなると,今後の英国政治の「方向」がますます目を離せなくなりそうだ。            
                                   (2010.05.04)

 
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 自民党首ニック・クレッグ氏、白血病患者のケイさんと共に5月4日、リバプールにて


<追記 1> 5月5日付『インデペンデント』紙「社説」は、各政党の長所・短所を指摘した上で、「選挙制度の抜本的改革」の為に、自民党への投票と、「保守・労働党が拮抗の選挙区」での労働党への「戦術的投票」を呼びかけた。


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     コーンウォールにて、 保守党首キャメロン氏、夫人サマンサさんと共に

<追記 2> 保守党首キャメロン氏は、北アイルランドを遊説中であるが、これは、総選挙で「安定多数」326議席に及ばない場合、9 議席程度獲得する可能性のある北アイルランド 'Democratic Unionist Party (DUP) との連立を組むことを念頭に置いているものと思われる。

                                   (2010.05.05)

<追記 3>5月5日 付 『インデペンデント』 紙 「コメント」欄で、保守党が多数派を握るカウンシルHammersmith & Fulhamに於ける「弱者切捨て」地方政治の実態が暴露されている。ここは、キャメロン保守党が「モデル」としているロンドン西部の自治体であるが、幾つもの「ホームレス保護施設」を廃止して、大手デベロッパーに売り渡し再開発しているが、その為に、妊娠女性さえも公園で4日間野宿させられたということだ。保守党は福祉面 の支出を大幅カットする一方、富者の遺産相続税を減税しようとしているが、多くのメデイアはこうした事実に迫ろうとしていないのが残念だ。                (2010.05.05)



<追記 4> 今日6日付BBCニュースの最終的世論調査結果によると、支持率は保守党37%、労働党28%、自民党27%で、議席予測は保守党283、労働党255、自民党60ということである。これで、保守党は過半数の議席を獲得することが困難と予測されることになった。          (2010.05.06)





<写真・資料> The Times, The Independent, Daily Telegraph, Daily Mail,
Daily Mirror, The Guardian, New Statesman, Channel 4
by shin-yamakami16 | 2010-05-04 23:14 | Comments(0)