世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

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トリポリ:「カダフィは依然として多くの支持者を集めている」ー26日付英国『テレグラフ』紙


「停戦」はそう遠くないか?

                                  山上 真

 最近のリビア情勢をめぐる海外報道を見ると、フランス・英国及び米国の「リビア内戦・干渉」と、その「空爆」がいかに粗雑かつ無謀な「見通し」で為されたかということが、白日の下に曝されている。

 7月1日付のTime-CNN のベンガジ駐在記者 Steven Sotloff 氏は、 リビア反政府勢力・TCNの内実を次のように書いている。
 
 「内戦開始当初は極めて好意的に遇されていた西側ジャーナリストは、戦線が膠着化するにつれて、取材制限が厳しくなり、英語圏以外の出身ジャーナリストは資格証明を求められ、スパイ扱いされる場合もある。例えば、銃砲の操作を誤って戦闘員自身が負傷したケースを取材しようとすると、インタビューを拒否されてしまう。元カダフィ軍の負傷捕虜を取材したいと言うと、反政府軍側の負傷兵の話を聞けと言われる。また、味方の否定的側面を出来るだけ隠そうとする傾向が顕著だ。ジャーナリズムが「自由な取材活動」に基づいて成立っているという基本的な考え方が無い。民主主義がどういうものかも分かっていないようだ」(要旨)


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              カダフィ大佐の息子 Seif

 ところで、ウィーンやロンドンで教育を受けたカダフィの息子のSeif al-Islamが、ロシア国営衛星TV の ‘Russia Today’ という英語番組のインタビューを受けて、大要次のように述べている。
 「西側諸国にとって、リビアは美味しいケーキのようなものだ。リビアは豊かな石油資源があり、膨大な海外資産も持っている。だから西側諸国は、カダフィはどうでもよく、ただ支配したいだけだ」
 「或は、リビアは西側連中にとっては、『マクドナルド』、つまりファースト・フードだ。石油がある国を手早く獲得したい願望に夢中なのだ。父カダフィは、それを邪魔する存在なので、排除したい訳だ」

 セイフ・カダフィはロンドン大学・LSEで経済学博士号を授与されただけあって、かなり正鵠を射た発言をものしているようだ。彼は、「消費型資本主義」を批判し、‘slow –food movement’ の提唱者としても有名だという。

 7月1日トリポリ「緑の広場」での10万人集会で分かるように、リビアでのカダフィを支える民衆の力は、今や無視し難い。NATO軍幹部は、トリポリでの「反カダフィ・民衆決起」を狙って、重要拠点への空爆を続けてきたが、その効果は寧ろ裏目に出て、カダフィの下に、一層強く民衆を団結させていることは間違いない。英国紙『ガーディアン』(7月3日付)の社説は「トリポリで空爆に抗議する最大規模のデモが行われたことは不都合な真実だ」と述べて、NATO軍の「作戦見直し」を改めて求めている。
 今や、NATO側にアフリカ大陸の一国家としてのリビアに対する「周到な分析」が欠けていたことを露呈しているのだ。つまり、リビア民衆の「貧困度」如何、体制順応度、ベンガジを拠点とするリビア東部の状況分析などが、NATO作戦を「成功させる」為の、不可欠な条件であった筈である。それを、愚かなサルコジ、キャメロン、そしてオバマなどの面々は、西側軍事力の「強さ」を過信して、その上、結局一部でしかなかった「ベンガジの人気」を過大評価して、無謀な賭けに打って出てしまった。

 NATO軍は既に、一万数千回に及ぶ爆撃で、リビア政府軍の航空・海軍力をほぼ無力化して、予め目標とした軍事拠点も殆ど壊滅させているのであるが、にも拘らず、依然としてカダフィ軍はミスラータ・東部ブレガなどで「ベンガジ勢力」を圧倒している。NATO側としては、これ以上空爆を続けると、接近戦となっている味方・民衆への誤爆被害ばかり目立つ結果になることを怖れる事態となっており、このところ、西側メディアの間では、 ‘stalemate’ つまり「行詰まり」という言葉が、リビア情勢を表現するのに頻繁に用いられている。
 味方「反政府軍」の敗北を恐れるサルコジは、仏軍に命じて、リビア西南部・チュニジア国境周辺の「反政府部族軍」に武器をパラシュート降下させて供与する作戦に出たが、「アフリカ連合」や、ロシアなどから、「市民保護」の原則を規定する国連安保理決議違反、更には、「アルカイーダに武器が渡る危険性」を指摘され、7月5 日、仏外相は、「反政府勢力側は第三者から武器を調達できる目処がついたので」という理由で、武器供与を中止したことを明らかにした。

 戦闘による「トリポリ制圧」を諦めたかに見えるベンガジCNT は、CPI(国際刑事法廷・ハーグ)の「カダフィ・罪人扱い」を拒否した「アフリカ連合」(53か国)の圧力も受けて、漸くトリポリ政権との交渉に「密かに」応じたようであるが、どうもNATO軍側は、この「和平交渉」を妨害しようと努めているようだ。その訳は、推測するに、最終的に「石油権益」の獲得を目標とする英仏米などが、リビア国内の利益を優先する形で和平協定が纏まることに反対しているからだろう。交渉の行方が注目される所だ。

 これまで本国政府に「極めて好意的な」報道を一貫して維持してきた英国BBCは、7月4日、初めて現地特派員からの「前線の真相」を、そのウェブ・サイトに掲載した。

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              BBC 特派員 Andrew Harding 氏

 Andrew Harding 特派員は、もともと南ア・ヨハネスブルグ駐在記者であり、この数か月間は、カダフィ軍に包囲されて激戦が続くミスラータの前線の戦いの様子を具に報告してきた。筆者から見て、やや母国イギリスの「戦争政策」に加担したルポのような印象を抱きながら、そのTV映像を視聴していたのであるが、今度のリビア出国直前のものは、正に何の遠慮もなく、「反政府勢力側」の実情を抉って報告していることが分かる。

 前述のTime-CNN記者が書いていることを補強する形になるが、’Leaving Misrata as “storm” approaches’ 「嵐が近づくミスラータを去るに当たって」と題するルポの内容を大まかに纏めると、次の通りである。

 「昨夜、屋根の上に座って、電力カットで真っ暗のミスラータ市内を眺めていると、また一斉射撃されたロケット弾が港周辺に着弾して、至る所オレンジ色に染まった」
という出だしで始まるルポは、カダフィ軍が次第に市内に接近して来るにつれて、負傷者が病院に次々と運び込まれ、緊張が増す様子を語る。
 前線には、素人の戦闘員が目立つが、元カダフィ軍の上官だった「将軍」がベンガジから来て皆を励まして、「カダフィはヒトラーと同じように終わるだろう」と言い、「2週間で」と期限を口にするが、結局何も終わらず、また次の「いつ?」という問いに対して、同じ「2週間で」という答えが、前線の至る所で何度も繰り返されている。要するに、膠着状態なのだ。カダフィ軍の圧倒的戦力を前にして、頼るのはNATO軍「空爆」であるが、ここのところ一向に爆撃機がやって来ない。「何故なんだ?」と皆が言う。地中海の風景を背後にして、時にのんびりした雰囲気も漂うが、塹壕を掘って身を守ることをしない戦闘員の死者は確実に増えている。「市内から」砲撃されていると思われることもあり、スパイや「第五列」の存在も疑われている。急に我々ジャーナリストの動きも疑われ、取材が厳しく制限されるようになったが、このような古い体質が身に付いた政治勢力からどんな形の民主主義が生まれるのだろうか。
 「戦闘員」は、次々と交代しており、一挺の銃を共有して使っている。夜になると、父親が車で彼らを家に連れ帰ったりする。いつまでも「アマチュア」兵士なのだ。
 私は又「いつ戦争は終わるんだろう」と彼らの一人に尋ねると、やはり
 「2週間たてば」という、例の答えが返って来た。

<ルポ・原文の一部>
 
crisis: Leaving Misrata as 'storm' approaches

The rebellion in Misrata has retained an amateur quality - rebels often take turns to go to the front
Last night I sat on the roof and watched Misrata city - blackened by a power cut - glow orange as another barrage of rockets smashed into the port area.
"The storm is coming," one rebel military official assured me. "Our storm," he added.
But this morning the rebel casualties were pouring, as usual, into a field hospital just behind the western front lines as Colonel Muammar Gaddafi's forces nudged closer.
As the deadlock here continues, and the summer heat rises, I'm heading back to my base in Johannesburg. The only way to get out of this famously besieged city is still by boat, and there haven't been too many of them coming or going in recent days.
Below is something I've written for From Our Own Correspondent and, although it contains some material that has appeared before on this blog, I thought I'd include it by way of a parting message from this remarkable city.
<中略>
Just before sunset, I head down the public beach to cool off, and kick a ball around.
Soon, the heavy machine-guns start off, further up the coast. That's followed, for a good half hour, by the distant, but heavy boom of Grad rockets.
A young, bearded fighter named Walid walks out of the water and crouches down beside five German Shepherd puppies that have been adopted by his rebel unit.
The puppies want to sleep. But Walid is trying to make a joke about them being named after Gaddafi and his sons, and how they deserve to be drowned.
He's heading back to the front lines in the morning. I ask him when he thinks the war will end and he doesn't miss a beat.
"Two weeks"  (2011.07.07)

<追記 1> 7月8日付の英国『インディペンデント』紙が伝える所に依ると、NATO軍は7日、「インフラは攻撃しない」という、これまでの原則を破って、初めてリビア東部ブレガにある石油精製基地を空爆・破壊したという。理由は、カダフィ軍の石油補給を阻止する為だとしているが、周辺民衆にも少なからずの影響を及ぼす恐れがあり、今後、空爆是非の論議を呼ぶことになりそうだ。
                                  (2011.07.08)
<追記 2> 今日7月11日付の仏『フィガロ』紙・フランス国際TV24、及び英国『テレグラフ』紙が報道している所に依ると、リビア空爆は停止され、カダフィ政府筋とフランス政府は「和平交渉」を既に開始しているということだ。これは、カダフィの息子 Saif al Islam がアルジェリアの新聞 EL Khabar のインタヴューを受けた中で、「我々は反政府軍とではなく、仏政府と交渉している」と語ったことと、仏国防相 Gérard Longuet が「我々は空爆をして来た手を止めた。今や政治的話し合いのテーブルに着くべき時だ」と語ったことで確かめられる。問題は「カダフィの処遇」の仕方に尽きるが、仏国防相は、「彼は宮殿の別室で、これまでと異なる肩書きで居ることになるだろう」(テレグラ紙)と言っているということだ。一方、米国務省筋からは、「カダフィが居座ることは有り得ない」という見解が示されている。
 以上のような急激な展開の背景には、NATOが頼みとして来た「ベンガジ・反政府軍」が口先ばかりで、まともな軍事的進出が不可能なことが、ミスラータでの攻防、或は、西南部からチュニジアにかけての戦域で、政府軍の包囲作戦によって Zintanなど幾つかの拠点が孤立する恐れが出てきたことで、明らかになったことがあるだろう。 (2011.07.11)

<追記 3> 昨日12日、フランス議会はサルコジ政権提案の「リビア参戦・延長」決議を圧倒的多数賛成で可決した。下院では、482対27、上院では、311対24という票差で、与党UMP、社会党が賛成し、反対したのは、共産党、及び「エコロジスト」のほか、一部UMP、社会党議員である。フィヨン首相は、「カダフィ打倒」の正当性を主張する一方では、「政治的解決」の為の交渉が始められたことを認めた。リビア参戦に要した戦費は既に1億6000万ユーロ(約210億円)に達しており、教員など「公務員削減」などの緊縮財政の中、全く「狂気の沙汰」と言う外ない。7月1日付『ル・モンド』紙の世論調査で、国民の過半数51%が「リビア内戦」参加に反対していることが明らかになっていることを見れば、如何に議会というものが国民の「良識」と乖離しているかということが分かる。なお、「和平交渉」の姿勢については、上記ロンゲ国防相と、「戦勝」に拘っているジュペ外相・フィヨン首相の間に差異があるようだ。  (2011.07.13)

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   「反カダフィ軍」によって破壊された給油所 ー『ニューヨーク・タイムズ』

<追記 4> ニューヨークに本部を置く国際人権団体 'Human Rights Watch' は、 7月13日、西部リビアからトリポリに向かって進軍中とされる「反カダフィ軍」が、6月から7月にかけて、Djebel Nafusa 周辺の4つの村落で、家屋・病院・商店の物品を略奪したり、焼き打ちした上、「親カダフィ」と思われる人々を殴打するなどの乱暴狼藉を働いていることを、証拠に基づいて告発した。この事実に対して、折からブリュッセルの NATO本部に招かれていた「ベンガジ代表団」は、「少し位はそのような事があるかも知れないが」と語って、「反政府勢力」は本来的にはそういう事実とは無縁だとした。また、フランスなどで囁かれている「停戦交渉」を否定した。
 ところで、サルコジ・キャメロン・NATO本部が大いに期待していた反政府軍「トリポリへの進軍」は、ほぼ失敗に終ったようだ。西部戦線では、一週間前に制圧した山岳部 Qawalish は、その北部に待ち構えていた政府軍の奇襲攻撃に遭って「再占領」され、反政府軍は散り散りになって退却しているという。一方、東部戦線では、ミスラータの反政府勢力は、ほんの数キロ進んだだけに終っているようだ。ベンガジから160キロの反政府軍拠点都市 Ajdabiyaには、久し振りのことだが、カダフィ軍からのロケット弾が少なくとも2発打ち込まれて、数人が負傷したという。
 以上のような状況を見ると、必ずしもスムーズに停戦が実現せず、「空爆」も繰り返されることになりそうだ。                             (2011.07.14)        

<追記 5> 前述の「反カダフィ軍・遁走」の模様を、偶々現地で取材していたBBC 「ベテラン・花形」John Simpson 記者は、「彼らは政府軍に対して全く反撃せず、これまで数週間かけて着実に進んで来た道を逆走して退却して行った。如何に反政府軍がか弱いかを示している」と慨嘆している。
                   (2011.07.14)

<追記 6> 7月16日付の『アル・ジャジーラ』、英国『インディペンデント』紙などが伝える所に依ると、反政府軍は石油精製基地のある東部ブレガに進攻しようとしたが、約3,000人のカダフィ政府軍の重火器による猛反撃に遭い、死者10人、負傷者172人を出して、退却を余儀なくされたという。主として地雷原に触れた被害のようだ。西部戦線では、カダフィ軍に占領されたQawalish を、反政府軍が再占領したという情報が伝わっているが、この所、『アル・ジャジーラ』などメディアが裏付け「確認」をせずに、当事者の一方的情報を流していることが多く、当てにならない。いずれにせよ、衝突する双方の流動的攻防が、日毎の変化を伴って続いて行くことになるだろう。
                                     (2011.07.16)

<追記 7> 7月16日付英国紙『デイリー・テレグラフ』は、リビア西部戦線へ特派された2記者の現地ルポを紹介し、異例な厳しさで「反カダフィ軍」のお粗末な状況とNATO軍側の「暗い見通し」を語っている。記事の末尾では、「もし平和への交渉が為されなければ、NATO同盟は苛烈で屈辱的な内部分裂に陥るだろう」と結んでいる。『テレグラフ』紙と言えば、一般紙の中で英国最大発行部数(64万部)を誇り、伝統紙として保守政界に多大な影響力を及ぼしているだけに、この紙面主張の動向は極めて注目される。       (2011.07.17)

<追記 8> 18日付 英国紙『ガーディアン』などが伝える所に依ると、ロシア・ラブロフ外相は、米国などが「リビア政権移行委員会・CNT」をリビアを代表する政権として「承認」したことを、「内戦の一方の側に加担する行為」として、非難したという。また、ロシアがCNTを承認することはない、とした。一方、18日のBBC ニュースに依ると、南ア・ズマ大統領は、訪問した英国・キャメロン首相と同席の記者会見で、英国などの「リビア軍事介入」を厳しく非難したという。
                                  (2011.07.18)

<追記 9> 7月19日付の『朝日新聞』は、「リビア泥沼化ー停戦を急げ 市民を守れ」と題する社説を掲げた。聊か遅きに失した感は否めないが、例えば『ニューヨーク・タイムズ』紙が紛争初期の段階でNATO軍「空爆」を支持した態度と引き較べても、リビア動乱の全体像を比較的正確に把握した、意味深い論説として歓迎される。ここに「社説」全文を紹介しておきたい。

 リビアのカダフィ政権と反体制勢力との内戦は泥沼の袋小路に陥っている。欧米は介入をエスカレートさせているが、不毛な戦闘は犠牲者を増やし、混迷を深めるばかり。ここはすべての勢力が行きがかりを捨て、市民の安全を守るために停戦を急ぐべきである。

 英米仏など多国籍軍による空爆は開始から4カ月になるが、市民への攻撃を止めるという国連安保理決議の目的はさっぱり達成されていない。戦闘の明確な前線がなく、反政府部隊や民間人に対する誤爆は増加の一途だ。しかし、カダフィ政権にとどめを刺すために空爆を軍事施設から都市部にも広げれば、決議からの逸脱になってしまう。

 フランス軍は反体制派の部族に武器を空から投下したが、これは賢明な策ではない。部族社会のリビアで部族に武器を与えれば、ソマリアで起きたような収拾のつかない割拠状態を生む危険があるからだ。

 先週トルコで開かれた欧米・中東主要国外相級会議では、8月に始まるイスラム教のラマダン(断食月)中の停戦が提案された。これまでもアフリカ連合(AU)が停戦の調停を試みた。いずれも実現していないが、国際社会は事態収拾のため改めて停戦に努力すべきだ。

 反体制派は「カダフィ政権との協議に応じられない」と主張する。カダフィ大佐に国際刑事裁判所から人道に対する罪の容疑で逮捕状が出ており、その心情は理解できる。

 しかし、現実は当初の「民主化実現」という理想からかけ離れ、死者数は1万人以上と言われる「内戦」へと暗転した。反政府派の拠点、ベンガジでは病院で医薬品が欠乏するなど、双方で市民の窮状が深まる。人命を守るため、カダフィ政権を交渉の当事者と認めるしかない。

 仲介の労は、空爆に反対してきたAUやロシア、中国が一致して担ってほしい。合意できれば市民の安全を確保する停戦監視軍の派遣も必要だ。

 欧米に反体制派を正式政府として承認を急ぐ動きがあるが、これも得策ではない。反体制派の中心はかつて強権体制を支え、その後離反した元政権幹部だ。戦乱下で暫定政府が民主化を進める保証はないからだ。

 リビアの泥沼が底なしになる前に「アラブの春」の原点に戻す必要がある。市民の間から噴き出した自由と民主主義を求める非暴力の動きが、停戦後にリビアで定着するように国際社会が監視する。これが「脱カダフィ」の基盤をつくることにもなるのだ。
                                  (2011.07.21)
                            
<追記 10> カダフィ大佐に対して最後まで強硬姿勢を崩さなかった英国は、遂に「政策の変更」を余儀なくされたようだ。7月25日付『タイムズ』紙に依ると、ヘイグ外相が「実権を放棄すれば、カダフィはリビアに居てよい」とする発言をしたという。ただ、リビア当局は以前から、カダフィはリビアの「象徴」に過ぎないとしており、交渉がどう噛み合うか注目される。
                                   (2011.07.26)

<追記 11> 最近、ベンガジ CNT の「反カダフィ軍・進撃」のニュースが欧米メディアから消え失せてしまっていることが気になっていたのだが、漸く真実が明らかになってきた。今日7月27日付の英国『インディペンデント』紙が伝える所によると、「反カダフィ軍」は全ての戦線で進軍に失敗し、当初より20% の支配地域を失っていると云う。こうした状況を踏まえて、国連・仏・米・英などの「和平交渉」が進められているが、「カダフィ追放」に拘る限り、一向に埒が明かない様子だ。
 以下は、上記記事の冒頭部分である。
Libyan rebels have conceded ground since bombing began
By Kim Sengupta, Defence Correspondent
Wednesday, 27 July 2011
Fresh diplomatic efforts are under way to try to end Libya's bloody civil war, with the UN special envoy flying to Tripoli to hold talks after Britain followed France in accepting that Muammar Gaddafi cannot be bombed into exile.
The change of stance by the two most active countries in the international coalition is an acceptance of realities on the ground. Despite more than four months of sustained air strikes by Nato, the rebels have failed to secure any military advantage. Colonel Gaddafi has survived what observers perceive as attempts to eliminate him and, despite the defection of a number of senior commanders, there is no sign that he will be dethroned in a palace coup.
The regime controls around 20 per cent more territory than it did in the immediate aftermath of the uprising on 17 February.  (以下割愛)
                                 (2011.07.27)

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      カダフィ大佐の「片腕」だった「反カダフィ軍」最高幹部 Younes 将軍 

<追記 12> 海外主要メディアが伝える所に依ると、7月28日、「反カダフィ軍」トップのAbdel Fatah Younes 将軍が、前線ブレガから「軍事査問委員会」の聴取を受ける為にベンガジに戻って間もなく、自軍戦闘員によって、彼の補佐官2人と共に、射殺された上、焼かれたという。この事件はCNT 首脳によって発表され、「真相の調査」を約束されたが、「ベンガジ政権」の信頼性を大きく損なうものとして、国際的にも衝撃を及ぼしている。    (2011.07.30)


<追記 13> 'Radio France International' によれば、今日8月1日、NATO軍の「リビア空爆」に参加していたノルウェー軍は、作戦参加を中止して、4機のF16戦闘爆撃機を撤収させることになったという。当初、数週間の筈であった作戦期間が長引き、オスロとしては、「任務の重さ」に耐えられなかったという理由だ。イタリアも同様に、空母を引き上げ、リビアに関わる殆どの軍事活動を中止しており、戦闘継続を主張するNATO軍本部にとっては少なからずの「痛手」となりそうだ。                                         (2011.08.01)

<写真> Le Monde, Le Figaro, The Guardian, BBC News
by shin-yamakami16 | 2011-07-07 13:12 | Comments(0)