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by shin-yamakami16

窮乏化する日本農業地帯

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米紙に紹介された「庄内」

                        山上 真

 先月29日の『ニューヨーク・タイムズ』紙に、「日本の米作農民は将来を危うんでいる」と題する長い記事が掲載された。MARTIN・FACKLER記者が山形県庄内地方を現地取材して書いたものである。

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「日本海に近いこの広大な平野は、豊かな水と土壌に恵まれ、早春には黄金色に格子縞の水田が光って、この国の最も豊穣な穀倉地帯の一つである。しかし、当地には、間違いなく漠とした不安が存在している」

「水田で働く農民は老いて、少なくなっている。見捨てられ、雑草が生い茂った土地がよく見かけられる。農地が狭く、米価が低くなっている為に、多くの農民は生活が苦しくなっている」

「『日本農業は金も無く、若さも無く、未来も無い』と、先祖から450年続く農業を守っているHitoshi Suzuki(57歳)は、海からの凍るような寒風の中で、語る」

 「農業の難局は、世界第二の経済力を持つ日本を総体的に包み込んでいる麻痺状態を象徴するものだ。老齢化と慢性的な低成長率から生じる諸問題に直面して、国は現状を維持しようとして、難しい変革よりも、これ迄に蓄積している富を食い潰している、と言うのは経済専門家だ。日本の田園地帯の危機は、人口減少、貿易自由化、そして国庫枯渇の結果であり、第二次大戦以来最大のものである」

 「庄内地方では、過去15年間に農地価格が70%も低下し、農民人口が1990年以来、半分になってしまった。日本全体では、過去10年間に、主要生産物である米の生産が、20%落ちて、今や食料の61%を輸入に頼っている始末である」
 
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 「農林省に依れば、日本の300万農業人口の内、70%の農民が60歳以上である。 農家の生計を補っていた農閑期の副業は、財政赤字に悩む政府による公共事業の縮小と、輸出減少による民間企業人減らしで、半減した」

 「現在進行中の世界的金融危機は、日本の農業地域に深刻な影響を及ぼしており、政治の世界にも大きな変化が生まれている。今年1月に山形県で、伝統的に強力だった自民党の現職知事が新人候補者に敗北したのも、農業の現実に対処できない自民党に対する厳しい批判の表れだ」

 「政権を握る自民党内部で、貿易自由化に対処する為に農業規模拡大を主張する者と、従来型の小規模農業を支持する者が対立しており、どうにも動きが取れない状態が続いている」

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 記者は、‘Without reform, it will just decline to death.’ 『改革なしには唯衰亡を待つだけだ』と語る農学者の言葉で記事を結んでいる。
  しかし、小規模農家が大規模耕作者に土地を譲って農業を離れたくとも、都会に出て就職することは、現今経済状態では、一層厳しい選択だ。
 政治は、そこの解決策を緊急に求められている。
                    (2009.04.05)


<写真> The New York Times 掲載のもの
by shin-yamakami16 | 2009-04-05 11:23