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by shin-yamakami16

「北ミサイル騒ぎ」は何だったのか?

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冬ごもりを決め込んだ「北」政権

                           山上 真

 日本全土がまるで核攻撃に晒されようとしているかのような騒ぎだった。
 
 過ぎてしまえば、「北」の人工衛星だか、ミサイルだかが、我が自衛隊のパトリオット・ミサイルの射程を超える遥か高空を飛び去っただけであった。

 人々は、政府やマス・メディアが喧伝する「被害の恐れ」にやや怯えながらも、日常生活を淡々と続けたようだ。得体の知れぬ恐怖に身を任せていられる余裕など、今時無いのは当然だ。

 はっきり言って、国連安保理で、最初から最後まで、強硬に「北」への懲罰を主張したのは、日本政府だけであった。当初、歩調を揃えてくれていた米国・ライス女史は、中途から一歩引いたスタンスに転じたのは、恐らく、オバマ大統領の主張する「話し合い路線」に障害を設ける結果になることを恐れたからであろう。「北」は、安保理による制裁が、6か国協議の場を閉ざすことになるとしきりに警告していたから。

 中国、・ロシアが一貫して、「安保理決議」が好い結果を生まないと主張していたのも、この「変哲もない人工衛星打ち上げ」が「北」の「引きこもり」の口実を与えることを案じていたからであろう。

 「北」の人工衛星実験が、他国の場合と同様の性質のものだとすれば、浅井基文氏(広島平和研究所長)の言うように、何ら日本などが口を差し挟むべき問題ではない。明らかに、内政干渉である。
 「飛翔体」のかけらの落下の危険性は、何も「北」だけのものではない。米国が主導した2006年の「北ミサイル」に関する国連決議適用は、不適当であろう。

 過去に於いて、「北」がどういう国家であったかは、この際、混同してはならない。拉致問題などは、別個に解決を図るべき問題である。

 「北」朝鮮は、案の定、6か国協議の場に「二度と戻らない」ことを宣言し、IAEA((国際原子力機関)査察を全面的に拒否、要員は引き揚げざるを得なかった。核問題を含んだ最重要案件が振り出しに戻ることとなった。
 これで、「北」は、「気兼ねなしに」核戦力開発の道を進むことになるだろう。

 日本にとっての最優先案件の「拉致問題」解決も、まず、頓挫したと言ってよいだろう。そこの見通しを立てて日本政府が動いていたのか、甚だ疑問である。
 拉致家族会の中には、「北」に対する制裁を強く主張する方々が居られるが、拉致されている本人たちへの配慮の点からみると、果たして妥当と言えるだろうか。
 先月、家族会のメンバーと会った金賢姫が日本側の制裁に賛成しなかったと報道されているが、これは理にかなった態度と言えるだろう。

 こうした状況を展望すると、極東という舞台での、深刻なる「子供の喧嘩」に見えてしまうのは、困ったものだ。特に日本では、外交の本道を辿るよりも、国内世論の動向に振り回される政治指導者の「無原則性」が目立って仕方がない。 (2009.04.18)

           

<写真> 中央日報
by shin-yamakami16 | 2009-04-18 09:11 | Comments(0)