世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

「政党ビラ配布有罪」最高裁判決の愚劣さ

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     最高裁に入る「被告」・ 葛飾区の僧侶 荒川庸生氏 (2009.11.30)


政治・社会「活性化」を恐れる保守反動派

                              山上 真

 昔から日本では、特に政治的問題が関わると、裁判が上に行けば行く程、「悪い判決」が出ると言われて来た。今回も、その例に漏れないようだ。

 政党の宣伝ビラを戸別に配布したということだけで逮捕され、23日間も身柄を拘束される国とは、何と言えばいいのだろうか。それを法曹の最高機関たる「最高裁」が妥当としているのである。これはもう、民主主義という原理を全く弁えない輩が権力を牛耳っているとしか思えない事態だ。

 英国に居た頃、二階に位置する私共のフラットにも、よく政党宣伝物が郵便受けに入れられていた。特に選挙が近づくと、政党関係者が複数で訪れて、ビラ・パンフレットを手渡しながら、熱心に支持を訴えていた。戸別訪問が禁止されている日本では見られない風景で、「これが民主主義の姿だ」という印象を刻みつけられたものだ。

 訪問を受けて、嫌ならば断ればよいだけの話だ。これを、日本の裁判所では、「居住者の平安を不当に害する行為」として、禁止しているのである。マンションに立ち入って、ビラをポストに入れるだけで、「公共の安寧を乱す行為」として断罪する。それでは、街頭宣伝車のラウド・スピーカーによるけたたましい連呼は、現在見られる典型的選挙運動であるが、これは人々の「平安」を脅かさないのか?
 国家というものは、民主主義を守ろうとする政治活動を励ますことこそ為すべきで、威嚇して政治活動を消極的にするなど、全く論外ではないか。

 ビラ配り・戸別訪問を、居住権を侵害する行為とする見方は、世界的基準とは大凡外れている。政治家・裁判官は、世界的視野を先ず養って、民主主義の基本を学び直す必要がある。

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        「政党ビラ配布有罪」判決を下した最高裁判事・今井功氏

 
 加えて、国民側からは、自民党政権下で任命された「最高裁判事」などの裁判歴を知り、適格性について厳しい目を向けなければならない。現行の○×式「国民審査」方法を改めた、例えば、不適当と思われる判事に×印だけ付けるドイツ方式のような、より厳正な審判が可能な形に変えるべきだ。

 マス・メディア、特に新聞社説の多くが、例えば「表現の自由脅かす判決」(西日本新聞)など、最高裁判決を厳しく批判しているのは、結構なことだ。しかし、大新聞の『読売』が、取り締まる警察側の「慎重さ」を求めたものの、最高裁判決を「妥当」としたことは、誠に残念至極だ。

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       「共産党宣伝ビラ配布を今後も続ける」と語る荒川氏


 最近の民主党・小沢氏の発言「戸別訪問を、政治活性化の為に解禁するべきだ」(2009.10.19)、及び元首相・小泉氏の「戸別訪問を全面的に認めるべきだ」(1979.02.09) などの発言は、もっと注目されてよい。
 先の米国大統領選挙で大いに威力が発揮された、インターネットによる選挙運動が、我が国では禁止されているのも奇妙なことで、当然のことながら、時代の要請として解禁の方向に持って行くべきだ。
 
 「政治革新」を唱える民主党政権に対しては、積極的に現行制度の不合理性を正す努力が緊急に求められている。政治への関心を高め、真に公正な選挙制度を保障することが、民主主義確立の根幹であるからだ。 (2009.12.06)


<写真> 共同ニュース、読売新聞、COURTS IN JAPAN より
Commented by ripit-5 at 2009-12-06 21:12
 今回の判決は最悪ですね。ずるさを感じるのは政治信条に基づく表現の自由は問題にせず、集合住宅の管理に関する迷惑等々の点に原因を求めたことです。迷惑なチラシやビラ、すぐゴミ箱行きの営業ビラは問題にすらされないのに。ここに、いかにも日本的な「暗黙の了解」の世界があるといえそうで、実に不気味です。この裁判にも元外務官僚の人がいますね。全員一致で有罪というのがまたさらに不気味な話です。
 政権交代後においても変わらないのがマスコミと最高裁ですが、マスコミは新しい表現技術の進展と不況下でだんだん安閑としていられなくなりつつある印象があります。いまだ難しいのが最高裁の国民審査でしょう。最高裁裁判官に信任か罷免かの判断材料が無さ過ぎるのです。ここら辺りは先の衆院選でネットによる「ビデオニュース」の神保哲生氏などが頑張ってましたが、如何せん普通のテレビではまず取り上げられない話題です。信頼できるジャーナリストとは思えど、ごく少数者の意見で自分の判断を決めるのも面妖ですので、如何に最高裁裁判官の判決履歴を分かりやすく公開し、多くの人たちが裁判官の判断について意見を交わせるようになるかは今後の大きな課題だと思います。
Commented by shin-yamakami16 at 2009-12-06 22:49
ripit-5 様
現在の最高裁判事は、殆ど「小泉時代」に任命された者たちのようで、当分の間、アナクロ判決が続きそうですね。何とか早く、現裁判スタッフが国際感覚豊かな、良識ある人々と交代するように、新政権が出来ることを全てやって欲しいものです。
by shin-yamakami16 | 2009-12-06 10:32 | Comments(2)