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by shin-yamakami16

「失敗」に帰したCOP15(気候変動対策会議)

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               新彊ウイグル自治区火力発電所   


利害対立の途上国と既成工業国
                               山上 真

 デンマーク・コペンハーゲンで12月7日開催され、18日に閉幕した第15回「気候変動枠組条約締結国会議」・COP15 は、当初、世界的な気温上昇2度以内の目標、2050年までの世界全体でのCO2排出量を50%減、先進国全体の排出量80%減を目指した。そして、どこまでの拘束力を持った合意が可能かということが焦点であった。
 その結果は、「気温上昇2度以内」を目指し、世界規模でCO2 排出量を大幅に削減することを「合意する」だけに止まった。何の法的拘束力も無い形で終ったのである。約5万人の各国政府代表、NGO、環境保護団体が集まった大会議の結論としては、余りにもお粗末で、失望と落胆の声が会場内外に溢れた。

 最初から紛糾したことの根源には、EU, 日本など既成工業国の「排出量削減」義務化を目指す態度と、インド・中国など発展途上国の、「排出量規制」の法的拘束化を拒否する態度が真っ向からぶつかってしまったことがある。途上国側には、すでに存在する「地球温暖化」は、欧米など、既成工業国が生み出したものであり、これから本格的な工業化を図ろうとする途上国が、現時点で、同じ基準で排出量削減を押し付けられることは、不公平であるという認識がある。

 12月21日、英国外相 Ed Miliband 氏は今回の COP15 を「失敗」と認め、その主因を、「排出量削減」拘束化を阻止する為に積極的に動いた中国だと断言した。中国は、途上国の「代表」として、排出量削減目標をあくまで、「発展段階に応じた」任意のものとすることに固執した。そこには、中国自体の経済発展を阻害したくないという決意のみならず、世界中の発展途上国を代表する「旗手」としての気負いがあったのだろう。しかし、中国が「発展途上国」として、排出量規制を拒む態度には、聊か無理な面がある。GDP世界第2位に位置するからには、環境保護の観点を重んじて、工業発展のペースを落とす位の配慮を具備するべきだ。

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              会議に臨んだ温家宝首相


 一方、米国・オバマ氏は、厳しい「排出量削減目標」を嫌う国内世論を意識しつつ、途上国対先進国の対立を緩和する仲裁役を買って出て、今回の最終「合意」を纏める役割を演じたようであるが、ブラジル首相 Lula da Silva 氏や、キューバ外相 Bruno Rodriguez 氏らの烈しい批難を浴びている。
 「ワシントンは、京都議定書を終止させ、拘束力ある排出削減目標を反故にしてしまった」ということである。

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               会議場外の環境保護活動家デモ


 ともかく、COP15 の最終日、会議場にオバマ氏が入った際の、議場の拍手の少なさに驚いた。改めて、同氏の影響力の急激な失墜を示した形である。アフガン戦争を正当化して、爆撃などによる環境破壊を続行する態度と、地球環境保護を目指すCOP15の理念が、どう「整合性」を保ち得るのか、誰の目にも明らかなことだ。

 国内事情がどうであれ、世界最大のCO2 排出国である中国と米国の責任は重大である。地球温暖化の深刻さを真に理解していれば、現在のような中途半端な姿勢は取れない筈である。両国の猛省を促したい。
                              (2009.12.25)



<写真> The Guardian, The Independent, Searchim news
by shin-yamakami16 | 2009-12-25 12:10 | Comments(0)