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by shin-yamakami16

ファルージャ殺戮:米軍「撤退」という虚構

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          ファルージャでの「誤乱射」事件の犠牲者たち



米軍「特殊作戦部隊4,500人」の未だ続く戦闘行動

                           山上 真

 9月15日付『ニューヨーク・タイムズ』紙が伝える所によると、ファルージャ市近郊の村で、15日、「反政府武装勢力」の指導者と疑われる人物の家屋に対する米・イラク合同軍の急襲中に、7人のイラク人が殺され、4人が負傷したということだ。イラク警察及び住民の話では、死亡者の内、4人は10歳から18歳までの兄弟だった。明らかに、幾度となく繰り返されてきた「誤射事件」のケースだ。


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 米軍筋のe-mail 発表によると、これはイラク軍が計画した「反テロ」合同作戦ということだが、8月31日をもって撤退した筈の米軍「戦闘部隊」が依然としてイラクに留まっていることを示している。

 約50,000人のイラク駐留米軍の内、4,500人がイラク軍と一緒に、「特殊作戦部隊」として、「反政府武装勢力」に対する攻撃に参加している。

 上記ファルージャでの事件は、これまでもよくあったことであるが、米軍当事者の説明と、現地警察・民衆の証言とが全く違っている。前者は、イラク軍の、「テロ分子」に対する作戦を「顧問」として支援中に反撃を受けて応射したということだが、後者は、夜間に米軍ヘリ4機が参加した合同作戦だったと言う。イラク人死者が誰によって射撃されたかについては、明確になっていない。
恐らく、闇の中で突然の反撃を受け、盲滅法に発砲した結果だろう。


 同じ15日には、北部都市モスルでミニ・バスが路傍爆弾に触れて、乗っていた9人のイラク軍戦闘員が死亡し、7人が負傷している。

 イラク連立政権協議は、未だ暗礁に乗り上げた侭で、見通しがまるで効かない。宗教・人種・地域対立を抱えた「統一」の困難さは、2003年の米・英両国による「イラク侵攻」当初から,少なからずの識者によって予測されていたものだ。中近東「地政学」に無知な「超大国」の指導者によって引き起こされた悲劇のツケは余りにも重いと言わなければならない。
                                   (2010.09.17)




<写真> The New York Times, BBC News

 
by shin-yamakami16 | 2010-09-17 06:27