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by shin-yamakami16

『産経』紙が吐露する野田政権・3月「瓦解」の「見通し」

「激動・転機」に対する「革新」政党側の鈍さは何だ?

                                 山上 真


 新年2日目の『産経新聞』は、注目すべき論説記事を掲載した。この新聞は、日頃、多分に右翼の立場から、必ずしも、内外の客観的事実を報道していない嫌いはあるが、時たま、その優れた「政情分析」には感心することがある。今回の高橋昌之氏の論文も、その一つであり、最後の結論部分は筆者のものと「正反対」ではあるが、それに至るまでの論理過程には十分な説得力があるものだ。


政界大激動の予感 消費税で衆院解散・総選挙か
2012.1.2 18:00 [高橋昌之のとっておき]
 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。昨年は東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第1原子力発電所事故という未曽有の災難に遭遇する一方、政治では菅直人前政権が暴走するという大変な1年でした。
 今年こそ、日本の政治がしっかり機能し、あるべき国家の姿を構築し、国民も豊かで幸せな生活を送れるようになってほしいものですが、私の取材では必ずしもそうはいかないようです。
 野田佳彦政権は消費税増税法案の提出、成立に不退転の決意で臨んでいますが、法案に野党各党が賛成する見通しがないうえ、民主党内にかなりの数の反対議員がいます。したがって、今年の政界は消費税増税をめぐって、衆院解散・総選挙含みの大激動の展開となるとみられます。
 野田政権は昨年12月30日、消費税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%と2段階で引き上げることを柱とした社会保障と税の一体改革大綱素案の政府案を決定、1月上旬に素案を正式に決めます。その後、消費税増税の税制大綱を決定して法案作成作業に入り、3月に法案を提出する段取りです。
 ただ、野田首相が民主党内の反対論を押し切って法案提出にこぎつけたとしても、成立は極めて困難な情勢です。民主党内ではすでに昨年末、消費税増税などに反対して、内山晃元総務政務官ら9人が離党届を提出しており、近く新党を結成します。
 しかし、これは「氷山の一角」です。消費税増税に反対して離党も辞さないという議員はまだまだいます。100人を超える勢力の小沢一郎元代表を中心とするグループのほとんどは、消費税増税に対して「明らかなマニフェスト(政権公約)違反だ。まず徹底した行財政改革をやるべきだ」と絶対反対の立場です。
 一方、野党も野田政権による消費税増税には反対の立場をとっています。自民党は将来的に消費税率を10%まで引き上げる方針を打ち出していますが、「民主党政権による消費税増税はマニフェスト違反。法案を出すなら国民の信を問うべきだ」として、法案提出なら衆院解散・総選挙を迫る考えです。公明党も自民党とほぼ同じ立場で、他の野党はほとんどが消費税増税そのものに反対です。
したがって、消費税増税法案は民主党が圧倒的多数を占める衆院でさえ、党内から60人以上の造反者が出れば、否決されてしまいます。仮に衆院を通過したとしても、野党が多数を占める参院での可決、成立はまず不可能といっていいでしょう。
 野田首相は消費税増税法案の成立に不退転の決意で臨むといってきたわけですから、成立しなかった場合は、衆院解散・総選挙か総辞職かの決断を迫られることになるでしょう。そのまま首相の座にとどまろうとしても、衆院で内閣不信任決議案が提出され、可決されたら、解散か総辞職かの決断を迫られます。
 私が野田首相と親しい関係者に取材したところ、「野田首相はすでに腹をくくっている。首相の座にしがみつくことは考えていない。消費税増税法案が成立しなかった場合、正しい道を進んでいるのだから総辞職はしない。衆院解散・総選挙に打って出る」とのことでした。
 衆院解散・総選挙になったら、民主党はどうなるでしょうか。小沢氏らこの段階での消費税増税に絶対反対の立場の議員はおそらく、「もはや民主党として総選挙を戦うことはできない」として離党、新党を結成するでしょう。大きく2つに、場合によってはさらに3つ、4つ…に大分裂する可能性があります。
 私はこのコラムで、民主党が綱領をもたない、つまり理念や基本政策で一致していない寄せ集め所帯であることの欠点を何度も指摘してきました。その結果、平成21年8月の総選挙で政権をとってからの2年余り、迷走を繰り返し、マニフェストで国民に約束したことをほとんど実現できずにきました。
 その民主党が消費税という政治の根幹の問題で、分裂するのはやむをえない、あるいはむしろ良いことではないかと思います。理念や基本政策で一致していないのに、民主党という殻を守っていても国家、国民のための政治は進められないからです。民主党から分裂したいくつかの党が、それぞれの理念、基本政策を示して、堂々と総選挙を戦えばいいのではないでしょうか。
総選挙となった場合の結果は、私にも全く見通しがつきません。野党第1党の自民党も野党転落後、存在感をきちんと示せていませんから、政党支持率は低迷しており、「民主党もダメだが、自民党もダメだ」というのが多くの有権者の評価です。このため、自民党が圧勝して単独で政権を奪還するということも考えにくいのが現状です。
 したがって、総選挙の後は、各党が得た議席をもとに政策協議を行って、過半数を得た党が連立して政権を樹立することになるでしょう。その過程では自民党も分裂する可能性があります。
 私は今の民主党、自民党という二大政党による政治はすでに限界だと思っています。両党とも党内の理念や基本政策はバラバラです。どっちが政権をとっても今の民主党政権と同じことでしょう。それなら、いっそのこと民主党と自民党で「ガラガラポン」をやって、両党の良質な保守系議員が結集し、「平成の保守合同」で政権を作ってもらいたいと思います。
 日本は今、巨大な財政赤字と深刻なデフレによる景気悪化に加え、欧州の財政危機という大きな不安要因に直面しています。外交・安全保障も、日米同盟関係が普天間飛行場移設問題などで揺らいでいるうえ、金正日総書記が死去した北朝鮮情勢など危機が生じる可能性は決して低くありません。これらに対処できる態勢を整備しておく必要があります。
 まさに国家的危機を迎えているのです。その中で政治の停滞は一刻たりとも許されません。今年の政界は現段階では予想もつかない大激動となるでしょう。しかし、それがさらに混乱を招くのではなく、より善い政治体制ができるのであれば、私は大いに期待したいと思います。
 今年1年が国民のみなさま、日本という国家にとってより良い年になりますように。


 最後部の「ガラガラポン」をやって、の所から、筆者は大いに高橋氏とは意見を異にする。
 「野田政権」崩壊後の総選挙では、公約を踏み倒した「民主」党が大敗し、自民党は若干の議席回復が成るだろう。革新派は、最近の地方選挙・結果から見れば、共産・社民がある程度議席を伸ばすに違いない。
 自民党内にも、「消費増税・TPP推進」反対論者が少なからず居り、「旧民主」党の多くの諸公に加えて、共産・社民両党が「大同団結」するならば、「反消費増税・TPP」の連立政権結成が可能となる。
 このような展望が具体的に拓けているのに、元日からの党首の活動ぶりを見ると、野田首相の「年賀状配達・出発式」出席とか、「年頭所感」ばかり報じられ、野党の方は、「公明」党首の街頭演説くらいのものだ。
 政権側が衆議院「比例区80削減」という、事実上の「少数政党抹殺」の挙に出ているのに、何故,共産・社民党などの党首が、年頭から街頭に出て闘わないのか。比例区での僅かばかりの議席維持に「胡座をかいてきた」怠慢さがいつまで許されると思っているのか。
 革新政党には、長期に渉る「保守政治」が行き詰まって崩壊した後に、現行憲法の「平和擁護・人間尊重」という理念に基づいた政治に立ち返る用意が何時でも出来ていなければならない筈だ。                                       (2012.01.03)

                    <追記>
1. 今日1月10日放送のNHK「世論調査」に依れば、野田内閣支持率は、先月の調査より7ポイント下がって30%だったのに対して、不支持は49%に達したという。この数字は、先日の「共同通信」調査「不支持50.5%」とほぼ同じものだ。「消費増税10%」については、賛成が26%、反対が38%で、新聞や、NHKを始めとするTV界の「消費増税・支持」大キャンペーンにも拘らず、経済「逆境」に立ち向かっている国民多数が冷静に視ていることを示している。いよいよ、政権維持・危険水域とされる「内閣支持率・20%台」の調査結果も間もなくのことだろう。 (2012.01.10)

2. 先週13日発表の「時事世論調査」の結果は次の通りで、野田政権支持率は早くも、20%台に転落した。

内閣支持率の推移(最新)
◎内閣支持、28%に下落=消費増税反対は53%−時事世論調査
※記事などの内容は2012年1月13日掲載時のものです
 時事通信社が6〜9日実施した1月の世論調査によると、野田内閣の支持率は28.4%で、前月比4.0ポイント減少した。不支持率は同6.5ポイント増の48.3%。支持率は政権発足から4カ月余りで「危険水域」とされる3割を初めて割った。消費増税に反対する民主党の一部議員が離党したことや、政府が昨年末に同党の衆院選マニフェスト(政権公約)に反して八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設継続を決めたことなどが影響したとみられる。
 一方、社会保障財源を賄うための消費税率引き上げについて、賛成は40.7%、反対は52.8%で、前月からほぼ横ばい。衆院選の実施時期は「来年夏の任期満了まで行う必要はない」が38.1%。「今年の前半」は30.7%、「今年の後半以降」は20.9%だった。
 調査は全国の成人男女2000人を対象に、個別面接方式で実施。有効回収率は65.4%。 
by shin-yamakami16 | 2012-01-03 11:48 | Comments(0)