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by shin-yamakami16

G8「洞爺湖サミット」異聞

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「一歩前進」だけでいいのか?
                             山上 真

  洞爺湖で開かれた主要国首脳会議(G8)は、何とか恙無く幕を閉じた。「防衛省」は、民間旅客機が会場に突入するというテロ攻撃に備えて、戦闘機による撃墜命令を用意していたそうだ。海上にはイージス艦も配備し、万全の構えだった。流石にアルカイダもつけ入る隙が無かったようだ。この厳戒態勢のコストはどれだけのものだったのだろう。

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  会議の数日前から始まった、開催反対の数千人のデモは、過去にあった十万人規模のものと較べて小規模であった。その理由としては、主導的立場の米英首脳が「地盤沈下」し、抗議運動のターゲットとして物足らなくなったこと、極東の北海道には、欧米から物理的に来にくいこと、日本には、G8に大挙して異議申し立てをするような市民運動が未だ育っていない、ことなどが挙げられるだろう。

  夙にG8の構成国について、疑問が呈されている。国際経済の地位からすれば、イタリア、カナダが居て、何故中国、インド、或はブラジルが居ないのか。中で議論があったとされるが、やはり、「仲間意識」で居心地が良い方が、ということに落ち着いたようだ。

  今回出席した首脳たちの各国内での支持率は、目を覆うばかりだ。「イラク」の混乱で不評なブッシュ氏は23%、経済無策の故、地方選挙で連敗続きのブラウン氏は17%、「国民購買力」で公約通りの成果を挙げられず、30%程度に低迷していたサルコジ氏は、歌手の妻カーラさんの人気で漸く38%、「アフガン派兵」などでブッシュ政権と協調路線をとるカナダのハーパー首相は32%, 我が福田首相は19%といったところだ。

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  海外では例年、「G8サミット」は評価の低い国際行事と看做されているが、今年の場合、英国では特に酷評の対象となった趣だ。世界中の人々が石油と食物価格の高騰に苦しみ、アフリカ人数百万人が飢餓状態の中、その対策をそっちのけにして、蟹やウニ、キャヴィア、和牛冷シャブなどから成る8コースの美食・豪華ディナーを楽しむ首脳たちはどういう言い訳を持ち合わせているのか?という具合である。(7月8日インディペンデント、サン、デイリー・テレグラフ紙など)
 
  ホスト国である日本については、歌手であり、最近では「アフリカ飢餓撲滅」の為の社会運動家であるボブ・ゲルドフが「笑っちゃうのは、霧に包まれた山の警備に2億8千万ポンド費やしているのに、世界第2位の経済大国の経済援助増額は2億ポンドに過ぎないことだ」と語っている。

  肝心の主要テーマである、「2050年までの温室効果ガス50%削減」目標を盛り込むことに同意しつつも、中国、インドと道連れでなければ、と具体的行動に相変わらず消極的な米国は、早くも、国内での定量規制を公式的に拒否している。ブッシュ政権は、7月11日、米国連邦最高裁の、「排ガス」規制を命じた判決を、「経済への悪影響を懸念して」拒絶したのである。銃所持規制を違憲とし、京都議定書を拒むこの国をどうしたらいいのか、誠に困ったものである。

  アフリカ諸国とG8との対立も目立った。単純化すれば、飢餓・貧困対策を緊急に求める側と、ジンバブエなどの民主化問題を強調する欧米諸国との葛藤である。確かに、数千人を死に至らしめたとされるムガベ政権の暴政を変えなければならないが、振り返ってみれば、残虐極まるイラク戦争を開始した米英両国の有り様はどうなんだ?既に百万人が死んでいるではないか。

  世界の現状は、特に環境、飢餓・貧困問題で、極めて緊急の行動を各国に求めている。「一歩前進」では遅過ぎるのだ。その認識をしっかりと身につけた指導者の出現が待望される。


<写真はデイリー・テレグラフ紙掲載のものである>
 

<参考>英国のイラク参戦と7/7ロンドン同時爆破テロ事件:『英国便り』

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by shin-yamakami16 | 2008-07-13 16:45 | Comments(0)