世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

バラック・オバマと米国「世界戦略」

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          7/22 ヨルダン・アンマンでの演説風景

'CHANGE' 路線をどう貫くのか?
                     山上 真

 米民主党大統領候補・オバマ氏が、アフガニスタンからイラク、中東、そしてドイツ、英国への歴訪を終えようとしている。巷では、この旅が同氏の、アメリカ大統領としての、そして、米国最高司令官としての資質を試される各国訪問、という風に位置づけられている。いずれの面での失敗も許されないのだという。

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 これまでの所、大統領選挙での支持率は、8%程、オバマ氏がマケイン共和党候補より上回っているようだが、軍最高司令官としては、かなりの差で、マケイン氏の方が信頼されている。40年前のヴェトナム戦争での、同氏の捕虜体験が大きく効いているからだ。ここで、軍歴のないオバマ氏が焦ってしまうのも無理からぬものがある。
 
 米国という、途方もない「軍事国家」、絶え間なく戦争に明け暮れ、殆ど毎日戦死者が伝えられるこの国にあって、国民は他国に類を見ぬ「軍事ウェイト」に、押し潰される様な苦しみを甘受しているのだ。
 こうしたことが、当たり前なのか、それとも、膨大な軍事費を、医療に恵まれない米国人の為に、そしてまた、アフリカの飢餓に苦しむ何百万の人々の為に使ったらどうかという点に、多くの米国人がオバマ氏を国の指導者として推挙した根拠があるとすれば、オバマ氏にはここで大きく「変化」して貰わなければならないのだ。

 大統領に当選できるように、相手候補の政策に譲歩し、少しずつ政策を変えて、遂には,殆ど差がなくなってしまうといった、旧態依然たるパターンを繰り返して欲しくないと願うのは当然だ。

 オバマ氏は、アフガニスタンでの米軍増派の意向を明らかにしたが、これは、ここでの戦争の実態を知っている人々の大きな失望を買うことになるだろう。米国が望むような「アフガンでのNATO軍の勝利」は将来とも,あり得ず、残された道は、タリバンをテロ・グループから引き離し、いかに他の諸民族と同化させられるかということにかかっている、というのが西欧の多くの識者の常識となっている。英国に於ける「対IRA」の対応の仕方を学ぶべきだ、ということなのだ。仇敵「テロリスト・IRA」との和解に成功したではないかと。
 
 アフガニスタンでは、最近、NATO軍による誤爆で多数の婦女、子供、老人が犠牲者になっている。一方、米軍前進基地がタリバンの攻撃を受け、一度に9人の米兵が殺される,という事件も起きている。
 このまま行けば、「イラク」に劣らず、敵味方双方に「死体の山」を築くことになるだろう。

 「世界の警察官」として、軍隊を世界各地に展開しているアメリカ合衆国の軍事費は、2002年の場合、実に7940億ドル(93兆7000億円)で、世界の軍事費の43%を占めている。
  これだけの金額の何分の一かを減額しただけで、「人殺し」の代わりに、直接的な「幸福」を分け与えることができるのである。そこをオバマ氏によく考えて欲しい。
 
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            7/22 イラク・バグダッドにて

 マケイン氏が、「イラク」での完全勝利まで無期限に米軍の駐留を続ける,と述べているのは、正気の沙汰ではない。どれだけの血が流されれば済むというのか。
 これに対して、オバマ氏が、2010年夏までの撤退を最近,改めて約束しているのは正しい。イラクのマリキ政権も、ほぼ同様の希望を持っていることが最近明らかになった。このことは、ヴァチカン市国とほぼ同面積の「大要塞のような大使館」を設け、長期駐留を目論んでいたブッシュ政権への「小さくない打撃」となった筈である。

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         イラク・バグダッド アメリカ大使館
 
 オバマ氏には、途中よろけないで、踏ん張って初志貫徹して欲しい。経済、保健問題で行き詰まっている大多数の米国民は、紛れもなく明快な「変化」を熱望しているからだ。                    (2008.07.24)


 
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        7/23 イスラエル・テル・アビブにて


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 7/24 ベルリンで、20万人の聴衆を前にして、「国家、民族や宗教の壁を崩して」    協力し、団結することを呼びかけた。

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7/26 最後の立寄り先ロンドンで,ブラウン首相と会談した。英国では、欧州大陸の 時と異なり、控えめな訪問となった。



<写真> The New York Times, The Times, The Independent、Daily Mail 各紙掲載
のものである。
by shin-yamakami16 | 2008-07-24 22:12 | Comments(0)