世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

大海原に向かう「オバマ新政権」

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2008米国大統領選挙(7)・結果と評価
                            山上 真

 バラック・オバマ氏が米国大統領に当選して以来、米国内のみならず世界中の人々に計り知れない反響と感動を呼び起こしている。
 'Yes, we can ' という合い言葉に象徴されるのは、「そうだ、やって見れば,出来るんだ」という底知れない自信である。そこには、長期に渉る共和党保守政治に絶望していた人々が、新たな希望と勇気を,オバマという人物の出現によって呼び覚まされた「新世界」が拓けている。

 オバマ氏は、「大統領選当確」直後の11月4日深夜、20万人が集まったシカゴ・グラントパークでの「勝利演説」で、次のように全国民に訴えた。

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 「もし今もなお、米国が全ての事が可能である場所であることを疑い、我々の建国者たちの夢が今日も猶生き続けているだろうかと思い、我々の民主主義の力を疑問に思う人がいるとすれば、今晩がその回答なのです」

 オバマ氏は、自分が決して有力な大統領候補者でもなく、先の見通しが全く分からないのに、極寒、酷暑の中を献身的に働いてくれた何百万人もの支持者に謝意を表し、この勝利が「人民の、人民による、人民の為の政府」を具現する皆の勝利とした。

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 「皆さんは、前方に横たわる課題の途方もない大きさを理解しているが故に、此処までやって下さった。今晩の祝福の最中にも、明日の齎す挑戦が、我々の生涯の内でも最大のものであることをご存じである。即ち、二つの戦争、危機に曝されている地球、そして、1世紀の内で最悪の金融危機なのです」

 「私たちがこうしている時でさえも、子供たちが寝入った後に、どうやったら住宅ローンを借りられるかとか、どうやって医療費を支払ったらいいかとか、大学の学費を工面出来るかとか悩んで眠れない父母たちがいるのです。新しいエネルギーを開発し、雇用を創出しなければなりません。新たに学校を設け,脅威に対処し、友好関係を修復しなければなりません」

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 「前方に横たわる道程は長く、坂は険しい。1年間や、1期目にさえ辿り着くことは出来ないかも知れないが、今晩ほど、米国がそこに到達することに希望を持ったことはないのです。一つの国民として、そこに到達するでしょう」

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 オバマ氏は最後に、アトランタで投票した106才のアン・ニクソン・クーパーさんの生涯と、アメリカ近代史を重ね合わせて語る。彼女は、車も飛行機も見られない時代、「婦人であることと、皮膚の色」故に投票できなかった時代を知っているのである。彼女は大恐慌と、ニューディール時代、第二次世界大戦を経て、マーチン・ルーサー・キング師らの黒人市民権運動が実を結ぶのを見てきた。
 オバマ氏は、自分の娘たちがクーパーさんと同じ位長生きできるとすれば、どれだけの進歩を目撃できるだろうかと問う。そして、「アメリカの夢」を実現できる機会を今、一つになって手中にしていることを確かめ合っているのである。

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 11月8日のシカゴでの最初の記者会見で、オバマ氏は、、新政権が取り組むべき第一義的課題として、経済の正常化と雇用の創出を挙げた。更に、健康保険制度、気象変動、エネルギー依存問題に速やかに着手することを約束した。

 オバマ「新大統領」の新しい政策の萌芽が見え始めている。外交の方で、ポーランドへの米国ミサイル配備の約束を保留しているという情報が流れている。イランとの、話し合い路線もあり得そうだ。内政面では、人権侵害で悪名高いグアンタナモ収容所を閉鎖する方針が示されているという。また、ブッシュ大統領が「生命倫理上の問題」を理由として連邦予算の投入を制限しているES細胞(胚性幹細胞)研究を、「アルツハイマー病治療などにに役立つ」として推進しようとしている。ユタ州での石油・天然ガス掘削を承認するブッシュ大統領の姿勢も,環境保護の観点から、見直されそうだ。

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 11月10日、オバマ氏は、ブッシュ大統領の招待を受けて、ホワイトハウスに初めて入り、2時間の会談を持った。当選後、わずか6日を経たばかりの両者の会談は珍しいこととされる。折しも,ブッシュ大統領の不支持率は,CNNに依ると史上稀な76%に上るという。

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 オバマ氏は、米国内外の圧倒的な支持を背にして、エイブラハム・リンカーン以来の理想主義的政治活動に間もなく乗り出す。彼の主張してきた原点を固守しつつ、柔軟な現実的対応を発揮するならば、必ずや期待されるだけの成果を挙げるものと、私は確信する。              (2008.11.12)

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<追記>
ブッシュ政権国務長官ライス氏、オバマの当選を歓迎する。(11月6日)

FOX radio:人種的要素で世論調査結果よりも、実際の得票率が大きく下回るという「ブラッドリー効果」は、もう存在していないとする。(11月7日)

Gallup 調査:選挙後の初記者会見を経て、オバマ支持率66%で、選挙の得票率54%を上回る。 (11月8日)

FOX News:'American University' は、とてつもなく' liberal 'な教育をしていて問題だ。例えば、この大学の教科書に依ると、広島原爆投下は、日本降伏の為でなく、ソ連を威嚇・警告する為だった、とする。(11月8日)

宗教界:今度の選挙結果から見て、保守系・米国Evangelists(福音主義教会派)の影響力が著しく低下したことが指摘されている。これ迄の大統領選挙では、よく結果を左右して、共和党を有利にしてきたとされる。


<写真> The New York Times, Washington Post, Los Angeles Times,
Chicago Tribune, The Times, The Independent, Le Monde
Commented by Hiro_Moderato at 2008-11-15 04:49
アメリカゎいいですよね…(´∀`)
国民が直接、選べるのだから…。
日本も国会で選ぶのでゎなく国民に委ねるべきだとあたしゎ思います…。

世界のリーダー国として先進国が一体となって貧しい発展途上国の国々も平和に人間らしい生活ができるように協力しあって意味のない戦争や紛争がなくなればといつも思います。
Commented by shin-yamakami16 at 2008-11-15 05:06
メール有難うございます。社会や、政治についての貴女のブログの中のご意見に感動しております。そうですね、オバマ氏が大統領になって、何とか早くイラク、アフガンの戦争を終息させることを、願っています。
Commented by 鯱美(とらよし) at 2008-11-16 01:34 x
はじめまして。
「世に倦む日々」よりこちらを知った次第です。
大変興味深く拝見させていただきました。
勝手ながらリンクさせていただきましたが、不都合でしたらおっしゃってください。

オバマ氏は前大統領による負の遺産を抱えて、前途多難でしょうけれど、アメリカの希望として
カリスマとして、世界を平和に導いて欲しいと強く願っています。
魑魅魍魎たる権力に屈することなく、アメリカを変えて欲しく思います。
Commented by shin-yamakami16 at 2008-11-16 09:47
コメント、大変有難うございます。貴女(貴殿?)のブロッグも拝見させて戴き、日本、世界についての認識が多くの点で共通していることを嬉しく思いました。今後の触れ合いを楽しみにしております。
Commented by 鯱美(とらよし・♀) at 2008-11-18 01:08 x
拙宅の拙文をお読み頂いたようで面映いです。
ありがとうございました。

こちらこそ宜しくお願いします。
Commented at 2008-11-18 05:55
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by shin-yamakami16 | 2008-11-12 09:51 | Comments(6)