世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16

フランス・パリ騒然

f0166919_0523784.jpg



「サルコジ政治」と社会不安

                          山上 真
 
 この数年、パリはとても落着きのない都市になっている。
 パトカーがしょっちゅう、あの間の抜けたサイレンを鳴らし、警備車が至る所に目立っている。
 労働組合や学生デモを見ない日は無い。
 「華のパリは何処へやら?」旅行者は、そんな印象を抱くだろう。

f0166919_0544051.jpg



 12月16日、火曜日、クリスマスを控えての買い物で賑わうパリ9区の百貨店『プランタン・オスマン』に、いきなり警察隊が進入し、買い物客を外へ誘導の後、警戒線を張った。店内では、各階のトイレなどを捜索し、5個の爆発物を発見した。幸いにして、爆発誘導装置は付いていなかった。


f0166919_056364.jpg


 これより先の火曜日早朝、AFP通信社に、謎めいた『アフガン革命戦線』(FRA)を名乗る組織から、「多数の爆弾が百貨店『プランタン』に敷設された」ことを知らせる郵便物が届いていた。「4階のトイレに、17日水曜日爆発予定の爆弾が1個ある」とまで細かく記していた。その要求書には、「2009年2月以前のアフガン駐留フランス軍部隊の撤退を求め、もし、そうしなければ、今度は警告無しに資本家の百貨店(複数)を爆破する」と書かれている。

 この要求書を伝えられた内相 Michèle Alliot - Marie 女史は、直ちに措置して、
買い物客に爆発物の存在を知らせることなく、「技術上の理由で一時閉店する」こととして、パニックを起こさせなかった。

 問題は、このテロリスト・グループは、当局が全く把握していない、捜査の手がかりが困難な組織であることだ。パリ警察は、新たに2500人もの警官を百貨店などに配置して、再発を防ぐ構えだが、これからの X'mas、新年の「稼ぎ時」を控えての商業活動に深刻な影響を及ぼす事態は不可避だ。
 
f0166919_0574164.jpg



 サルコジ政権は、シラク前政権のアフガン派兵抑制方針を一転させて、現在、NATO指揮下に、2800人のフランス軍部隊を送っている。筆者が8月25日に書いているように、10人の兵士が一度に殺された事件も起きているが、サルコジ大統領は、「ブッシュ・米国との友誼」を優先させて、撤兵など論外という姿勢だ。アフガン情勢が好転の兆しを聊かも見せない以上、この方針が袋小路に嵌り込む公算が大である。内には、テロの差し迫った脅威を抱え、外からは、戦死者を受け入れ、葬送するという悲劇的な構図を、当分避けられそうに無い。

f0166919_0583766.jpg



 折から、中等学校・第2段階の「改革」を目指すダルコス教育相の方針が、高校生多数の全国的な反対運動に遭い、当人及び、サルコジ氏の側から、引っ込められる事態に陥った。『ギリシャ・シンドローム』、即ち、激しく燃え盛り、無政府状態になっているギリシャの学生運動の高揚を、フランスで再現される危機を避けようとして、25000人の教員削減などを含む、学校教育の「低コスト化」を狙う教育改革を、1年延期することとした。この政府側の後退姿勢でも、高校生連合(UNL) は納得せず、今週後半に、全国的な学校閉鎖を伴うストライキを実施する予定だ。

f0166919_0593273.jpg



 関係者の中には、1968年5月21日にパリで始まった学生・労働者の反体制運動、即ち、「五月革命」のような事態が再現されるのではないかと、懸念する声が出始めている。今後の展開を注目したい。       (2008.12.18)


f0166919_19314534.jpg


<追記>
 12 月18日(木)、仏教育省の教育改革に反対して、127,000 から160,000人の高校生がフランス全土で抗議デモを繰り広げた。


<写真> Le Monde, Libèration, Le Figaro, France 2, L'Express 掲載のもの
 
by shin-yamakami16 | 2008-12-18 01:00 | Comments(0)