世界中で起きている重要な事件、事象についての忌憚なき批判、批評の場とします。


by shin-yamakami16
TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_1934727.jpg


              ドイツ・ベルリンでのTTIP反対デモ


巨大多国籍企業・奉仕「反民主」条約:「内容秘匿」の不思議

   
                               山上 真

 何処かの国の阿呆首相とその政権は、ひたすら米国を理想化し、世界に誇るべき「平和憲法」を蔑ろにして、自国の「自衛隊」を、「世界の警察官」を自任して「アフガン」・「イラク」・「リビア」などで失敗続き米「帝国」の、手兵として奉仕させるという愚挙に出ているが、当の米国が、「模範国家」として世界に君臨出来る資格があるのか、最近の幾つかの出来事に照らしても、大いに疑問が呈されるところだ。日本が欧米など「戦争国家」の仲間入りすることが、どれだけ真の「国益」に反することか、どんな愚か者でもいずれ分かる時が来ることだろう。

TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_19392849.jpg


              5月3日横浜:「日本国憲法」擁護集会

 *人種差別に起因する暴動は一向に収まる気配無く、二百数十人の死傷者を出したフィラデルフィア*「Amtrak鉄道事故」は、年間数十兆円も費やして開発している宇宙兵器体系の派手さとは裏腹に、地上の問題を何ら解決していない国の根本的盲点を曝け出している。列車の安全運行を保障する基本的装置さえ具備していないお粗末さに、メディアや米国民は一様に呆れている体だ。下院共和党がこの事故数時間後に、’Positive Train Control’ (PTC) という新運行安全装置予算を否決したことの、責任が問われている始末だ。

TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_19502856.jpg


         5月12日米国フィラデルフィア:Amtrak 鉄道事故現場


 5年前に「帝国主義国家」米国から「国民福祉国家」への再生への希いを託されて出発したオバマ政権は、今や大方の進歩的市民の期待を裏切って、国民生活より多国籍・巨大企業への利益供与を主眼とする政策運営に舵を切っているかに見える。

TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_19511977.jpg


            5月12日米国議会上院 'fast track' 法・審議
 
 ごく最近の米国議会上院は、日本を含む12か国との「交易促進」を目的とする例のTPP を巡って、晩期・最大課題と位置づけるオバマ政権の条約批准に ’fast-track’ 「大統領優先権」を許す投票で、自党・民主党の多くの議員の反対に遭って、否決されるという羽目に陥った。その後、オバマ大統領が民主党上院・反対派と交渉を重ねて、再議決に持って行った様だが、今後の下院審議でも難航が予想されている。
                     
 TPPとか、TTIPとかは一言で云えば、世界的な景気後退で儲けが少なくなった多国籍企業などが、政府に働き掛けて、生活者の損失を他所に、交易活性化によって利潤を増やそうとする動きと纏めることが出来るだろう。
 その主役として、オバマとか、キャメロン・安倍とかの各国指導者が名を連ねる訳だが、彼らの頭の中には、「生存権」に根ざした国民の「真の幸福」とかいう概念は不在である。当面「金が増えれば好い」というだけで、将来の国民の生活状態・環境などの配慮はまるで無い。

 そのことを知ってか知らずか、マス・メディアは、「米は安くなり、牛肉は沢山食べられる」などという美辞麗句を繰り返して、その裏に隠された危険性を隠蔽している。

 将来、国際関係が悪化したり、世界的な凶作に見舞われた場合、只でさえ食料自給率が低くなっている日本が、国民を飢えさせない保障が何処にあるのか?
 未来永劫に渉って、「穀物王国」の米国への盲従を続けさせられるのか?

 遺伝子組み換え農産物から国民の「食の安全」はどう守られるのか?

 米国から「粗悪な食肉」を一方的に売りつけられるかも知れない国民の運命の暗さはどうする?

 そのことを心配しているのは、我々だけではない。例えば、*TTIPというTTPに相当する米国との交渉に直面させられているドイツの人々は、日本人と全く同じ「食の安全」の問題に面と向かって戦っている。例えば、米国「モンサント」社の「遺伝子組み換え」農産物・大量流入の危険性を恐れているのだ。

TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_20111489.jpg



TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_19574971.jpg



TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_19595111.jpg



TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_2005445.jpg



TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_20114868.jpg



 TPP交渉について、米国議会議員さえも特別室でメモを取ったり、電子機器を用いることを禁じられており、その全容把握は秘密に閉ざされているという。

 共和党がオバマ政権を後押しして、TPPを積極的に推進しているのに対し、民主党議員の多くは、「米国一般労働者の為には殆どならず、国際的な多国籍企業の事業推進に寄与するだけだ」として、異論を唱えており、例えば上院Harry Reid議員は、「TPPは米国民一般の利益にならない」として、反対している。

  それらの点について、『ニューヨーク・タイムズ紙』は次の様に述べている。
‘Critics of the trade deal say that it would do little to help ordinary American workers while mostly serving as a vehicle to advance the agendas of multinational corporations at home and abroad.’

 結局のところ、オバマは米国権力中枢部と結びついた米国財界の意を汲むことを最優先して、たとえ出身基盤の民主党・*労働界が強硬に反対しても、その抵抗を乗り切る構えだ。正に国民の付託に反する挑戦だ。

 米国が国際的な立場から、TPP をどうしても推進したい理由は、オバマ自身や’ CBS’ などメディアから伝えられる言葉を纏めれば、結局アジアでの中国の「驚異的進出」を何とか抑えたいという「欲望」に尽きるだろう。先日スポーツ用品メーカー・’Nike’ 本社を訪問したオバマは、TPPに反対する民主党議員に向けて、「その様な行動は米国経済力と国力を弱めて、中国を利するだけだ」と露骨に述べたという。
 そうしたオバマ姿勢は正に日本・安倍の意図とも合致するからこそ、日本政権が自国民利益を犠牲にしてでも、巨大「利潤」に目が眩む財界と諸共に、TPP 合意に猛進する所以である。

TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_206027.jpg



TPP・TTIP: 米国上院「大統領貿易促進権限」審議 ’NO VOTE’ の衝撃_f0166919_2073548.jpg



 「巨大利潤」と言えば、同様のことが、英国・欧州大陸一帯を覆っている。他ならぬ ’TTIP’ という「お化け」だ。

 先日5月13日付英国『インディペンデント』紙は、’What is TTIP and why does Cameron want to sign the biggest trade agreement in history?’—「TTIP とは何で、何故キャメロンは史上最大の通商協定に署名したいと思っているのか?」と題する記事を掲載している。それを要約すると次の様になる。

  Transatlantic Trade and Investment Partnership (TTIP) は大西洋両岸の国々の関税を廃止し、交易を盛んにすることによって、欧州に850億ポンド(約16兆1500億円)、米国に680億ポンド(約12兆9200億円)の利益を齎すものだ。これによって、労働者賃金はEU内で0.5%、米国で0.4%上昇する。問題点は車やチーズといった製品で、米国と欧州では呼称など基準が異なることであり、更に大きな問題は、’Investor-State Dispute Settlement’ (ISDS) という条項で、大企業が国家に対して大きな権限を持つことになり、普通の裁判制度を超えた所で利害問題が争われる恐れがあり、例えば英国政府の場合、その公的医療制度 ’NHS’ が米国保険会社などから、「違法制度」と判断される恐れがあるという。いずれにせよ、TTIP交渉の内容は秘密に閉ざされており、少なくない危険性を伴っている。

  一部国民の「利益」を図る替わりに大部分の国民が生活の様々な面で犠牲を払わされる仕掛けであることが一般に知られるにつれて、各国民のTTIP 反対運動が欧州至る所で高まってきている。だからこそ、英国・キャメロンは、今度の総選挙中、一言もこの問題を口にしなかったという。米国・EU圏での「TTIP・反対」署名が100万を超えているという事実を知っていたからだろう。

先日の BBC ニュースは、オックスフオード大学教授の賛成意見を紹介して、TPIP 構想を初めて提唱したのは、「自由貿易は繁栄を齎す」という立場の英国首相チャーチルであることを強調していたが、「大英帝国」という国家を守ることには熱心でも、国民生活が如何なる状態に陥るかということ迄には配慮が及ばなかった様だ。

 日本では、政府・財界・大企業のお先棒を担ぐマス・メディアによって、TPP が恰も「JA全農」だけが反対している問題かの様に真実がすり替えられている。

 あらためて、TPP「危険」という真相を、国際的連帯の下に、国民生活を守る「食の安全」という最も基本的立場から、訴え続けなければならない。 (2015.05.16)

<注> *人種差別:6月18日付『ワシントン・ポスト』紙「見出し」
9 dead in S.C. church shooting
Police search for gunman in Charleston ‘hate crime’
ー「17日水曜日夜サウスカロライナ・Charlestonの教会で、礼拝中のアフリカ系黒人9人以上が白人若者によって射殺された。『憎悪犯罪』として、警察は犯人を追跡中」


                     <追記>
1. 6月17日付『ワシントン・ポスト』紙「見出し」
House votes to give leaders more time to reconsider failed trade legislationー「下院は失敗した通商法案を再検討する為の時間を与える投票をした」ー昨日6月16日、米下院は大統領にTPP交渉優先権を与えるTPA法案を7月下旬までに「再投票」する法案を236対189で可決した。下院多数を占める共和党議員が賛成に回った結果であるが、オバマ大統領のTPP法案推進の手法について、ペロシ下院前議長やクリントン女史など民主党重鎮が批判を強めており、言論界大方はTPPについて見通しは暗いとしている。  (2015.06.17)

2. a) 6月13日付『ニューヨーク・タイムズ』紙「見出し」
House Rejects Trade Bill as Democrats Spurn Obamaー「民主党議員はオバマを撥ね付け、通商法案を否決した」
By JONATHAN WEISMAN 1:46 PM ET
The vote torpedoed President Obama’s push to expand his trade negotiating power, and probably his chance to secure a legacy-defining trade accord spanning the Pacific Ocean.
ー「投票はオバマの貿易交渉権を拡大しようとする努力と、恐らくはオバマの大統領としての『遺産』となる筈の太平洋圏・通商合意確保の機会をぶち壊した」

b) 6月13日付『ロサンゼルス・タイムズ』紙「見出し」
Obama suffers stunning loss as trade bill is defeated at hands of Democratsー「オバマは民主党議員の手で通商法案が敗北し、茫然たる損失を蒙った」

c) 6月13日付『シカゴ・トリビューン』紙「見出し」
Obama suffers big loss as trade bill is defeated at hands of Democratsー「オバマは通商法案が民主党議員の手で葬られ、大打撃を蒙った」

2.. 6月13日付『朝日新聞』より
米下院、TPAの関連法案否決 TPP、際どい情勢続く
ワシントン=五十嵐大介2015年6月13日03時53分
 米議会下院(定数435、欠員1人)は12日、環太平洋経済連携協定(TPP)の合意のカギを握る「貿易促進権限(TPA)」法案とセットで議論されていた関連法案について、賛成126票、反対302票で否決した。同時に採決したTPA法案は可決されたものの、この関連法案の可決がなければ成立できないため、TPP交渉は頓挫か前進か、際どい情勢が続いている。

 否決されたのは、TPPのような貿易自由化で職を失った人を支援する「貿易調整支援制度(TAA)」法案。上院を通過したTPA法案はTAAとセットになっており、TPA法案の成立には、両方の可決が必要となる。下院はTPA法案部分は賛成219票、反対211票で可決した。

 野党・共和党のベイナー下院議長は、TAA法案について再採決を求める動議を出した。議会関係者によると、TAA法案について、週明けにもTAA部分の法案が再び採決される可能性がある。

3. ブログ「『日本人』の研究」に、TPP の問題点について次の様な記述があったので、ここにその一部をご紹介しておきたい。

安倍首相が先日、TPP交渉について
「日米において、まさに最終的な出口が見えてきた」
と、述べたとの事、、、。

本気で国をグローバル企業どもに売るというのか!?

それも、まったくバナナの叩き売りのように、
我々が長いことかけて培ってきた郷土、文化、伝統、社会、
ことごとく、破壊尽くされることになる。

TPPなど、けっして農業だけのことではない。
農業などほんの一部のことに過ぎない。

関税、金融、医療、投資、労働、知的財産、そして法律まで、
ありとあらゆる分野において、我々の生活の隅々まで
変わってくることになる。

それも、我々の為にではなく、明らかにグローバル企業にとって、
大きな大きな大権を与え、それを未来永劫固定化するような
条約である。

カナダやアルゼンチンなどでは、TPPに似たような条約が
アメリカと結ばれている。
その中でISD条項というものがあり、グローバル企業などが、
進出先の国の政策や制度によって、損害を被ったと判断すれば、
その国を訴えることができる。
つまり、我々の安全よりも、グローバル企業の金儲けが
優先されることになる。
カナダの例であるが、カナダ政府はガソリン添加剤である
MMT(神経性有害物質)の使用が国民を守る為に、
法律で禁止されている。しかし、米国の燃料メーカーに訴えられ、
敗訴し、3.5億ドルの損害賠償を請求され、挙句の果てには
カナダ政府はやむなくその規制を撤廃した。
アルゼンチンの水道の例、
水道事業に参入したアメリカの企業が、水道料金を大幅値上げ。
これを禁止したアルゼンチンは、敗訴し巨額の賠償金を支払った。

<写真> The Independent, The New York Times, The Washington Post, BBC News

                     <参考資料>
1. 'ZAKZAK' -『夕刊フジ』
日高義樹
【世界を斬る】TPP不参加に傾く米議会 急速な景気回復で経済界も熱が冷める
5.13

 米議会がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を承認しない見通しが強くなっている。私がよく知る共和党首脳はこう言った。

 「オバマ大統領と安倍晋三首相が米国、日本など12カ国からなるTPPを成立させようと躍起になっているが、話し合いは秘密のうちに行われている。このため、与党民主党の一部には『米国の車にかかる関税が完全にとり除かれるわけではない』と疑う声が強い。また、TPPは米国のドル体制や金融システムを弱体化させると考えて、協定に強く反対している議員も多い」

 与党民主党のレイド上院院内総務は、TPPには断固反対で「議事妨害行動をとってでも阻止する」と公言。また、民主党下院の指導者で労働組合勢力を基盤としているペローシ院内総務は次のように述べた。

 「TPPで得するのは、米国に輸出する国ばかりで、米国の労働者の利益にはならない。TPPは政府が貿易を管理する仕組みで、倫理的にも賛成できない」

 TPPを審議する上院の最高責任者、共和党のマコーネル院内総務も「民主党の多数が賛成しないのであれば、TPPを上院にかけることはできない」と語っている。

 安倍首相は4月29日、日本の首相として初めて、米議会の合同会議で演説した。この際、首相は、TPPで民主的な資本主義経済圏を確立することが太平洋地域に平和と安定をもたらすと強調したが、米議会の反応はいまひとつだった。首相演説は、私の知るかぎりでも、米議会の歴史に残るほど、拍手が少ない演説に終わった。

 米議会がTPPに冷淡なもう一つの理由は、オバマ大統領の行き過ぎを懸念しているからだ。貿易協定が成立すれば、オバマ氏が政治的な思惑からTPP加盟国と勝手な取り決めを結ぶことができるようになるため、心配している。

 もううひとつの理由は、全米商工会議所など米経済界のTPPに対する熱が冷めてしまったこと。オバマ大統領がTPP構想を提唱し始めたころ、米国の失業率は6%を超えていた。このため経済界には、米国の仕事を増やすためには貿易を拡大するほかないと考え、TPPを推進した。

 ところが、米国の景気が急速に良くなり、失業率が5%を割り込む見通しがでてきた。このため、無理に輸出を増やさなくてもいいと考える人が増えている。

 米国では、貿易による収入は経済活動の20%程度に過ぎない。こうした米経済の体質もTPP熱が低下してきた大きな理由になっている。オバマ大統領と安倍首相の努力にもかかわらず、米国がTPPに参加しない見通しが日増しに強くなっている。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

2. 英国 ‘The Independent’紙
What is TTIP and why does Cameron want to sign the biggest trade agreement in history?
The Tory plan that was curiously absent from the election agenda
Hazel Sheffield
Wednesday, 13 May 2015
Cameron pledged his support to the Transatlantic Trade and Investment Partnership, otherwise known as TTIP, right from the start. But when it came to the election, TTIP was firmly off the agenda.
In fact, negotiations have always been kept on the DL. One MEP wrote an entire op-ed on the fact that she’s seen the 'undemocratic' deal, but can’t reveal any of its contents. Another study said even EU representatives in Brussels think their European Commission colleagues are making deals behind closed doors.
We could be about to hear more as Cameron tries to secure his legacy by pushing through the biggest trade deal in history. Here’s what you need to know.
What is TTIP?
TTIP is a massive trade agreement between the US and the EU. It aims to cut tariffs, or the tax on imported goods, which will mean an extra $10 billion going into the UK economy a year, according to one study.
Sounds good, is it?
Obama once said it would result in more jobs on both sides of the Atlantic – a statement which is now thought to be untrue. However it may bring £85 billion a year to Europe and £68 billion a year to the US – the equivalent of £393 per family in the EU and £473 in the US. Wages could go up by 0.5 per cent in the EU and 0.4 per cent in the US, according to one study.
Is all that money coming from lower tariffs?
No, TTIP also aims to harmonise laws on health and safety and the quality of goods on either side of the Atlantic, so goods like cars and cheese can be traded more freely.
Problem is, the EU and the US have very different laws. Car bumpers are designed for a more pedestrian environment in Europe, while car horns have to be labelled ‘horn’ in the US, a law that would be difficult to enforce in Europe because of the many different languages in the EU.
In cheese controversies, the EU argues that the US should not be allowed to use names like feta, parmesan and gruyere because they are not authentic. It says feta must come from Greece and parmesan from Parma. That was slammed as an ‘absurd European initiaitive’ by US senators, unsurprisingly.
Is that the worst of it?  <後略>

3. 米国労働界TPP反対
『朝日新聞』
TPP、米で反対デモ 労働組合や市民団体
ワシントン=五十嵐大介
2014年12月9日19時02分

環太平洋経済連携協定(TPP)に反対するデモの参加者ら=8日、ワシントン、五十嵐大介撮影

 環太平洋経済連携協定(TPP)の首席交渉官会合が開かれている米ワシントンで、労働組合や市民団体らが8日、TPPの反対を訴えてデモ行進した。国内雇用の保護や、交渉の透明性の向上などを訴えた。
 市民団体「パブリック・シチズン」などが主催したデモでは、約200人の参加者が米通商代表部(USTR)の周辺を練り歩いた。全米通信労働組合(CWA)のシニアディレクター、ジョージ・コールさんは「これまでの貿易協定でも、国内製造業の労働者に悪影響があった。生活水準を上げるものにはならない」と批判した。
 TPP交渉は、日米の関税協議が難航しているほか、米国と新興国も知的財産などの分野で対立が続いている。12日まで開かれる今回の交渉で、次回の閣僚会合への道筋がつけられるかが焦点となる。
 オバマ大統領は、米議会の与野党幹部らにTPPへの協力を求める意向だ。だが、オバマ氏が打ち出した移民制度改革などをめぐって共和党との対立が強まり、米国内の調整の先行きも見えにくい状況だ。(ワシントン=五十嵐大介)
# by shin-yamakami16 | 2015-05-16 19:35
‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_915930.jpg


           2015 英国総選挙で選出された SNP 下院議員56人

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_1452110.jpg


          スコットランド国民党 ニコラ・スタージョン党首



戦略核ミサイル ‘Trident’ 廃棄が最大争点か?
                                  
                                   山上 真

 来る5月7日投票の英国総選挙戦が激烈になっている。
 
 例えば、労働党首ミリバンドが、つい一週間程前に地中海リビア沖で起こった約700人のアフリカ人難民が海難事故に遭い死亡した事件の元凶が、現首相キャメロンなど欧米首脳の*カダフィ「追い落とし」作戦及び、その後の「リビア放置」に起因することを論難したのに対して、素早くキャメロンが激しく応戦するなど、日毎に選挙情勢が変転している。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_22243320.jpg


               Ed Miliband 労働党・党首

 核心的話題は、結局誰が次期首相に選出されそうかということだが、最近の*各種世論調査結果などでは、どうも労働党ミリバンドが一歩先んじており、しかも *’Hung Government’ 、つまり労働党一党では多数派を握れず、他党との連立を組まざるを得ない状況になりそうだという予測がかなりの説得力を持って為されているのが現状である。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_21595666.jpg


                各党党首「嫌悪度」

 この前の総選挙でも、保守党は自民党との連立に追い込まれた。大きな政策課題「EU」・「移民」問題で「水と油」的差異を持ち合わせる両党が大した「連立成果」を挙げられる筈もなく、結局保守党の*緊縮財政・*軍事力強化の方向を助長させることになっており、自民党が何とか確保出来たのは、比例制を加味する*「AV選挙法改正」国民投票を保守党に約束させたこと位である。自民党は、イラク参戦反対で評価を高め、ひと頃は20%以上の支持率を誇っていたものが、ニック・クレッグ党首の下で現在では僅か8%迄落ち込んでいるのは、当然至極と受け止められるのも致し方ない。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_22297.jpg


                  学生の投票態度変化

 今度の英国総選挙を俄然面白くしているのは、外でもないスコットランド国民党・SNPの英国議会戦略に関わる積極的動きである。とりわけ党首*スタージョン女史の労働党への「是々非々」巧みな接近策は、現在SNP9議席しか占めぬ英国議会を大いに振り回している観があることには、それなりの理由がある。

 この総選挙戦が進むにつれて行われている各種世論調査で、やや労働党が有利であり、保守党キャメロンよりミリバンド労働党首が首相の座に近づくも、下院議会で両党とも絶対多数を握れず、’Hung Government’ になることが確実視されている一方、大きく後退する自民党に替わって、スコットランド国民党・SNP が*現労働党議席に置き換わる形で51議席を占めそうだという「大変動」が予測されているのだ。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_9375725.jpg


  膨大な赤字を出し、国内40店舗以上を閉じたスーパーマーケット 'Tesco'

 ミリバンド「次期首相」は、正常な政権運営を可能とする為には、他党との連立を組まざるを得ないが、最も「手頃な」自民党では議席がまるで足りず、結局のところ、約50議席を占めるだろうSNPとの連立を図るしか手はないことになる。「スコットランド独立」では大喧嘩した相手同士の「野合」ということだ。

  こうした新たな情勢に対応して、SNPスタージョン女史は労働党ミリバンドに対して、国民保険制度NHS強化と、戦略ミサイル「トライデント」の廃棄などの大胆極まる要求を突き付けて、これらの提案を呑んでくれるなら、連立構想に応じる用意があるとしたことが、英国中に衝撃を与えることになった。
  問題は、英国外交・軍事政策を大幅に変更することを余儀なくさせる「トライデント」廃棄である。

  労働党内には、例えば「影のウェールズ相」Owen Smith氏などは戦略ミサイル放棄を受け入れる用意があるとしているが、「力の政策」を実践したブレア元首相の影響下にある多くの労働党議員には、そう簡単には受け入れられないものだ。
  保守党キャメロンに至っては、スタージョン演説に対して、「英国を壊すもの」という最大級の形容詞を使って非難した。最新型空母や戦略ミサイル保有によって、国威発揚と「力の政策」を持続しようとする俗物政治屋にとっては、労働党・SNP連立は、英国をして「危険極まりない」道を歩ませることになるという訳だ。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_22295195.jpg


               David Cameron 保守党・党首

  仮に保守党が相対的に多数議席を獲得した場合でも過半数に満たず、好むと好まざるに拘らず、英国独立党・UKIPなどとの連立に追い込まれ、移民法厳格化と「EU脱退」の為の国民投票を早める方向に向かうことになるだろう。
 
  労働党・SNPに「緑の党」などを加えた「左翼」連合が勝利する可能性と、それへの警戒感について、4月18日付保守系『スペクテイター』誌は次の様に指摘している。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_2212122.jpg


見出しは
Left-wing populism is on the rise - and may take Ed Miliband to No10

「左翼ポピュリズムが高揚しており、エド・ミリバンドを10番街へ導くかも知れない」として、マルクスの「共産党宣言」に重ね合わせて、記事冒頭に以下の記事を掲げている。

A spectre is haunting Europe — and knocking on the door of Downing Street. It has installed a president in France and a mayor in New York. It is causing mayhem in Spain and Greece and insurgency in Scotland and it may yet halt Hillary Clinton’s march to the White House. This idea — left-wing populism — is a radical, coherent and modern response to the financial crisis and the hardship suffered since. It is being effectively harnessed by Ed Miliband, taking him within touching distance of victory. And it may well become the creed that guides the next five years of British government.

「幽霊がヨーロッパを彷徨歩いており、ダウニング街のドアを叩いている。それはフランスで大統領の座を、ニューヨークでは市長の座を占めさせた。スペインとギリシャでは大混乱を、スコットランドでは反乱を引き起こし、これからホワイトハウスへのヒラリー・クリントンの行進を止めようとしている。この左翼ポピュリズムという思想は財政危機とその後の窮乏への過激かつ一貫した、しかも現代的な対応なのである。それはエド・ミリバンドをして勝利が手に届く範囲に導いている、効果的に制御された思想である。しかもそれは、英国政府を次の5年間に渉って導く教義になるに違いないものだ」

  この文章は、フランス社会党・*オランド政権が今や「社会主義」との関連が分からない程、新自由主義的立場に接近しているのを無視している点など、やや眉唾的見解ではあるが、これ程迄に英国政治の「左傾化」を現実的なものとして恐れていることはよく分かる内容だ。

  英国総選挙・中盤に来て、俄に持ち上がった争点は、地中海で先頃起きた悲劇であるが、問題は、米国・オバマ、フランス・サルコジ、英国・キャメロンなど欧米有志連合が一方的に*リビア空爆に踏み切って、「独裁者」カダフィの虐待死を招き、更に深刻なことに、その後のリビアが諸勢力群雄割拠とイスラム過激派三つ巴の「混沌事態」に陥って、その結果としての、「アフリカ難民」リビア雪崩込みと、定員超過船舶の転覆による約5千人 (2014-15) に上る「溺死」という、一連の非常事態への「責任」をどう捉えるべきかということである。

  昨晩10時過ぎに偶々聴いていた’BBC Radio 4’ の、聴取者参加の政治討論番組の中で、*’Trident’ 問題などと共に、かなり長くリビア・難民問題が語られていたが、矢張り、キャメロン政権に依るリビア空爆参加の「不当さ」とその後の混乱の責任が、幾人かの聴取者によって厳しい口調で語られていたのは当然と思われた。

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_21562852.jpg


  昨年9月の*スコットランド独立・国民投票の際に、独立是非を問う大きな争点であった新世代戦略核ミサイル「トライデント」を今後も維持して行くのかどうか、という問題は、今度の総選挙でも再燃した。SNP党首・スタージョン女史が、スコットランド・Faslane海軍基地など3地点に基地を置くこの核ミサイルの撤去を改めて要求したことから、先ず保守党・キャメロンが激しく反撥し、英国の世界的地歩を危うくする「トライデント破棄」を一蹴した。しかし、労働党・ミリバンドは、党内右派の*「トライデント維持派」を意識して、即座放棄ではなく、長期的展望での核武装放棄を考慮している様で、SNPへの妥協姿勢を見せている。


‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_224120.jpg



‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_21535359.jpg



‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_7434095.jpg


建造費62億ポンド(約一兆千四百億円)Queen Elizabeth 級航空母艦(2隻2017-20年就航)


  保守政権が雇用面などで一定の経済的安定策を成功させてはいるものの、英国全体でfood bank’(無料給食)に頼っている人々が100万以上に達することを想起する時、「大量殺人」にしか通じない核ミサイル開発・維持の為の「膨大な費用」の無駄を、誰が肯定し得ようか?

  斯くて英国総選挙運動は、愈々終盤に入ろうとしているが、一方には伝統的価値を尊ぶ多くの英国人の心をくすぐる「EU脱退」論が有力であり、この点では保守党が有利な立場に立てるだろう。
  しかし、例えばごく最近、世界的な支配力を誇る銀行*HSBCがロンドンの本部を撤退させることを表明し、そのことによって英国内4万人の雇用が失われる見通しになっており、その「撤退理由」は明らかに英国の「EU脱退」見通しに因るとされている。

  こうして見ると、様々な局面で矛盾する要素が絡んでおり、総選挙・投票に際して、英国民は極めて難しい判断を下すことを迫られていると言えるだろう。  (2015.04.27)

<注>
*英国下院構成:
院内勢力
保守党 (303)
労働党 (255)
自由民主党 (57)
民主統一党 (8)
スコットランド国民党 (6)
シン・フェイン (4)
プライド・カムリ (3)
社会民主労働党 (3)
同盟党 (1)
緑の党 (1)
リスペクト (1)
無所属 (3)
議長・副議長 (4)

*リビヤ・カダフィ追い落とし作戦:当ブログ『クーリエ・インフォ』2011.05.29、2011.06.14、2011.07.07、2011.08.03、 2011.08.25、2011.09.05、2011.09.16など参照されたし

*Hung Government: 宙吊り内閣:絶対多数派を構成出来ず、他の少数党との連立で政権を維持しようとする。二大政党制でも、英・仏・独・伊・日などでよく見受けられる。

*保守緊縮策:NHS所属の140 人を超える’Top Doctors’ が、4月7日、政府の公約違反・資金減額・不適立法の為にNHS業務が破壊されたとして、保守・自民連立政権を非難する声明を出したという。—『ガーディアン』紙

*軍事力強化:新型クイーン・エリザベス級航空母艦建造・新世代トライデント積載「バンガード」型原子力潜水艦建造など

*AV選挙法改正:代替投票制 
Alternative Vote (AV)
単記移譲式投票と同様、有権者が候補者の名前に順位付けをして投票する制度。開票に当たり、いずれかの候補者が過半数を占めるまで、当該候補者に対する投票の第2順位以下の票を加算する。その際、最も得票数の少ない候補者は加算の対象から除かれる。

*SNPスタージョン女史:2016年スコットランド議会選挙でSNPが勝利した場合には、「独立・国民投票」を再度行う可能性があることを示唆したという。—4月7日付『ガーディアン』紙

*世論調査結果:3月29日付YouGov’ poll: 労働党36%、保守党32%
‘Opinium ‘ poll: 保守党 34%、労働党 33%、独立党 13%, 自民党 8%
緑の党 7% なおSNPはスコットランド地域のみで全国調査の対象とならず

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_1143342.jpg


スコットランド労働党幹部 Jim Murfy氏、'Referendum' では' No 'の運動で活躍したが、今度の総選挙で落選の危機

*スコットランド独立・国民投票:2014.09.11付『クーリエ・インフォ』参照
 「国民投票」敗北後、SNP党員は草の根的活動により、25,642人から105,000人に増大したという。一方、労働党は「信を失い」、幹部Jim Murfyなどが落選に瀕しているという。

*’Trident’ 維持派:労働党「影の国防相」Vernon Coaker 氏は、4月9日、’Vanguard’型原子力潜水艦建造中のCumbria造船所を訪れ、「ミリバンド党首は核兵器についてSNPと交渉することはない」と述べたという。—「ガーディアン」紙


                    <追記>
1. 4月29日付『インディペンデント』紙が掲載した'Ipsos MORI' 世論調査に依ると、スコットランド国民党は全区で勝利し、59議席を獲得する見通しとなったという。また英国全体では、自民党Clegg、独立党 Farage、緑の党 Bennett の三党首はいずれも落選する見込みという。(2015.04.30)

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_14173515.jpg


       選挙区で落選する見通しの Farage, Clegg、Bennett 各党首

2. 昨日5月1日付『ガーディアン』紙に依ると、選挙前最後の3党党首討論会となった BBC 'Question Time' での 「労働党 Miliband しくじり・Cameron 成功」の後、保守党がやや盛り返して、支持率が34.5% となり、労働党の32.5% を上回ったという。その結果、議席数予測は、保守党 276、労働党 267、SNP 55、自民党 27、DUP 9、Ukip 3、Greens 1ということになり、保守党が第一党になるものの、下院絶対多数を握るのに必要な 326に遠く及ばず、結局、労働党・SNP 連立に「反保守他党」参加で 329議席を確保する見込みで、「左派政権」誕生の可能性が高いということだ。(2015.05.02)

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_10551614.jpg



‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_10561576.jpg



3. 5月3日付『インディペンデント』紙掲載「議席予測」ー「議席最多は保守党だろうが、政権は労働党+SNP連立でミリバンドが握るだろう」

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_2045661.jpg


4. 英国総選挙後の事態について、このところ『テレグラフ』紙など保守メディアは「起こりうる混乱」を口実に、保守党への投票を呼びかける戦術を使い始めている。保守党が第一党となって、一定期間「暫定首相」キャメロンが多数派工作をするも失敗に帰し結局辞職に追い込まれ、次に労働党ミリバンドが SNP などとの連立を何とか実らせ、「左派政権」が誕生することになるだろうが、それまでに一ヶ月余りの時間が費やされることになりそうだ。  (2015.05.06)

5. 今日判明した英国総選挙は、殆ど全ての「世論調査・予想」に反して、キャメロン保守党の下院「過半数326議席以上確保」という驚くべき結果に終った。何故この様なものになったかということについては、矢張り「スコットランド国民党・圧勝」という事前予測が、キャメロンなど保守党・メディアの掻き立てた、スタージョン・ミリバンド「連立」の「危険性」喧伝に左右された一般イングランド民衆の投票行動に少なからずの影響を与えた点と、労働党首ミリバンドの、「連立」についての一貫性欠如という弱点が挙げられるだろう。(2015.05.08)
 スコットランドの人々から見れば、今度の総選挙は先の '独立・Referendum' に続く第二回戦であり、今度の勝利を梃にして、決戦となる次の '独立・Referendum' 準備に取りかかることだろう。こうして、「キャメロン保守党・勝利」は Scotland 対 England の闘いを一層激化させることになる。今日付の『インディペンデント』紙は、キャメロン首相再任は、「スコットランドとEU」を英国から失わせる結果になるだろうと予測している。いやはや、英国民は「大変な選択」をしてしまったものだ。 (2015.05.09)

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_14431488.jpg


6. 昨日5月9日付米国『ワシントン・ポスト』紙は、'Election may set Britain on a path to becoming Little England' ー「選挙は英国を小イングランドへの道を歩ませ始めるかも知れない」というタイトルの論説記事を掲載し、近い将来、英国はEU脱退とスコットランド独立で「縮小国家」に帰し、キャメロンは「ちっぽけな英国」建国の父として名を残すことになりそうだとしている。ー原文・<参考資料2>  (2015.05.10)
 
7. 昨日5月10日付『ニューヨーク・タイムズ』紙は、'A Chasm Divides David Cameron and Nicola Sturgeon, Leaders of a Kingdom Still United' ー「深い溝が未だ一緒の英国指導者キャメロンとスタージョンの間を隔てる」と題する論評を掲載し、緊縮財政政策を推し進めようとする前者と、福祉充実を訴える後者の間に乗り越え難い対立が存在していることを伝えている。 (2015.05.11) 

2015年英国総選挙結果:

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_1124498.png



‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_1131169.jpg


       ミリバンド党首:労働党敗北の責任を取って党首辞任

‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_1134095.jpg


       クレッグ党首:何とか当選したが、LDP 惨敗の責任を取って党首辞任


‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_6393527.jpg


‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_6404964.jpg


‘15英国総選挙:主役に躍り出たSNP党首・Nicola Sturgeon女史_f0166919_19593684.jpg


保守党勝利後僅か48時間も経たない内に首相官邸ダウニング街で「自然発生的」緊縮財政反対のデモが展開されている。


<写真> The Independent, The Guardian, The Telegraph, The Spectator, BBC News



                    <参考資料>

1. The independent
General Election 2015: How the Scottish referendum has shaped this year's battle
Chris Green
Wednesday, 22 April 2015
George Square in Glasgow is not what it once was. Only seven months ago it was the unofficial epicentre of the Yes movement, attracting pro-independence voters from all over Scotland. Barely a day went by without some sort of impromptu political rally breaking out. The morning after the referendum, it was also the place where Yes voters congregated to mourn their defeated dream.
These days the square is quieter, the men and women draped in Saltire flags replaced by besuited office workers eating their lunch in the spring sunshine. On Saturday, the pro-independence Hope Over Fear rally will briefly hark back to September. But in general, passers-by would be forgiven for thinking that Scotland had returned to normal, the referendum a fading memory. They would be wrong.
The referendum campaign, the vote and its aftermath provoked a political sea change in Scotland which few could have foreseen. The numbers speak for themselves: at 5pm on 18 September, the day of the referendum, SNP membership stood at 25,642. It is now more than 105,000.
Labour, once the dominant political force in Scotland, is now facing a wipeout at the general election – and it will have been led there by Jim Murphy, a key figure in the Better Together campaign. Nicola Sturgeon’s party, on the other hand, is predicted to hold as many as 50 of the country’s 59 Westminster seats after 7 May.
In pictures: Experts' predictions for the General Election - 19/04/15
One of the people who joined the SNP the day after the referendum was Fiona Sarwar, 32, from Coupar Angus in Perthshire, who had previously campaigned for a Yes vote. “I felt like I wanted to get on and do something,” she said. “We’d been talking a lot about making change and doing things, and I didn’t want it to stop just because we’d lost the referendum. I think that was something that was shared.”
According to Blair Jenkins, the chief executive of Yes Scotland, the country has “changed forever” because of the events in September. “People got a very strong sense of their own democratic power during the referendum campaign, a real belief that their actions and opinions mattered more than ever before,” he said.
Read more:
How Salmond could swing independence for Scotland
PM tells Scottish voters to back Tories or face 'coalition of chaos'
Nicola Sturgeon: Second Scottish independence referendum should be held if UK quits the EU
<後略>

2. 5月9日付 'The Washington Post'
Election may set Britain on a path to becoming Little England

By Griff Witte and Dan Balz May 9 at 5:48 PM Follow @griffwitte Follow @danbalz
LONDON — After unexpected political charisma and cunning propelled him to another term as Britain’s prime minister, David Cameron will now need every ounce of those skills to avoid going down in history with an altogether different title: founding father of Little England.

A result that maintained the status quo at 10 Downing Street masked the dramatic transformations roiling Britain, ones that threaten to leave this country more isolated than at any time in its modern history.

Thursday’s election may become just the first in a trilogy of rapid-fire votes that set this island adrift from Europe, divide it in half along ancient lines of national identity and ultimately leave behind a rump state of ever-diminishing value to its American allies.

“Yesterday was V-E Day, when the United Kingdom was celebrating its finest hour. Seventy years later, it could be contemplating the beginning of its end in its current form,” said David Torrance, a British political analyst and author. “The next five years will be a twin debate about two unions — the European Union and the United Kingdom.”

The questions of whether Britain stays whole and whether it remains in Europe are deeply entangled, with the outcome of one expected to heavily influence the other.

If Britain leaves Europe despite notably pro-European sentiment in Scotland, the chances of Scotland’s newly empowered nationalists leading another drive for independence would instantly rise — despite a promise that last year’s failed bid was a “once-in-a-generation” event.

That’s one reason that Europe is likely to be settled first. Cameron’s reelection fired the starting gun on what is sure to be an emotional and high-stakes debate over Britain’s future in the E.U.

Cameron promised a referendum on the matter by the end of 2017, but some are pushing for the vote to come far sooner so that uncertainty doesn’t hang over Britain’s economic and political fortunes for the next 2 1 /2 years.

Polls suggest that if the vote were held today, Britain would choose to stay in the E.U. But the energized voices for “out” are gearing up for the fight, in the belief that the country could better manage itself without meddling from Brussels.
<後略>
# by shin-yamakami16 | 2015-04-26 22:03
ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_1050436.jpg


4月27日、Freddie Gray 葬儀参加青年たちの怒りが暴動に発展、安倍・オバマ記者会見の場から僅か数十キロ向うでデモ参加者と州兵・警官隊との激しい衝突が繰り返されていた

ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_814767.jpg


4月25日、Baltimore: 6人の警官による暴力で死亡したFreddie Grayを悼んで、数千人が「人種差別」抗議デモに参加した


ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_10401612.jpg


   New York 4月14日:最近の黒人射殺2事件を受けて、数千人が抗議デモを展開した



米国「建国時」に根ざす ’racism’ と米国文化人の「偏見」
                                     山上 真

 先日3月18日の『ニューヨーク・タイムズ』紙は、その論説欄 ’THE STONE’で、言語学者・批評家ノーム・チョムスキーの注目すべき、米国「人種差別」問題「解説」を公表しているので、ここに紹介しておきたい。

ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_18445770.jpg


 ‘Noam Chomsky on the Roots of American Racism’ 「米国人種差別の根源についてのノーム・チョムスキー見解」と題する、対談形式の解説では、先ず、約400年前の米国建国時の奴隷問題に焦点を当てて、次の様に述べる。

 「自由の帝国」新生・米国の繁栄は、綿花生産に基づく産業革命を通じて獲得されたものであり、正に苛酷な黒人奴隷労働の所産であることを忘れてはならない。其処には、効果的な拷問の道具としての牛皮ムチとピストルという近代兵器が使用され、黒人労働の生産性が大いに高められた。
 
ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_18461545.jpg


       1801年 第3代大統領就任式で宣誓するThomas Jefferson

 ジェファーソン大統領は1807年に海外からの奴隷輸入を禁止する法案に署名したが、彼の所属するヴァージニアは最も豊かで強力であったが故に、奴隷の必要性は無くなっていた。
 他方、ヴァージニアは綿花摘みの「機械」としての黒人奴隷を南部諸州に売り出すことによって、ヴァージニア経済を相当に発展させた。実に、ヴァージニアは拡大しつつある南部奴隷社会への奴隷輸出州となったのである。

 ジェファーソンの様に、奴隷所有者たちの中には、経済が奴隷労働に依存することへの「堕落」を意識している者も居た。しかし彼は、彼ら奴隷たちが犯した一万件もの犯罪の記憶を想起するにつけ、奴隷の「解放」を恐れた。「犠牲者たち」が蜂起して復讐するということが、今日まで続く「残響」として、米国文化に深く根を下ろしている恐怖なのだ。 

‘Some of the slave-owners, like Jefferson, appreciated the moral turpitude on which the economy relied. But he feared the liberation of slaves, who have “ten thousand recollections” of the crimes to which they were subjected. Fears that the victims might rise up and take revenge are deeply rooted in American culture, with reverberations to the present.’

 ところで、ジェファーソンはアメリカ独立宣言初稿の前文では次のように書いていた。
「我々は以下の真実が神聖であり否定できないものと考える。全ての人は平等かつ独立して創造され、平等に創造されたことから固有で不可分の権利を得られ、その中でも生命、自由および幸福の追求の権利が守られる。これらの目的を確実にするために政府は人々の中に作られ、治められる者達の同意からその権限を得られる。如何なる形態の政府もこれら目的の障害であるときはいつも、それを変更し、あるいは廃止し、新しい政府を樹立して、人民の安全と幸福を最も良く実現しそうな原則に基礎を置き、そのような形態で権限を作り上げるのが人民の権利である」—Wikipedia

  米国建国理念と黒人差別は、建前と実態が相反する典型的な実例と言えるだろう。

 米国憲法修正第13条(1865年成立)は公式的には奴隷制度を終結させたが、その十数年後には、「別の名の奴隷制度」が導入された。黒人の生活は、彼らを標的にした過度に厳しい条例によって、犯罪化された。其処では、黒人がまともな理由も無く拘束され、囚人たちは産業目的の為に労働させられた。農業・鉱山・製鉄などの産業に於いて、一層効果的に奴隷労働を活用すべく、産業資本家ではなく、州政府が奴隷労働を監督するという制度に置き換えられた。斯くして、この制度は19世紀後半以来、急速な産業発展に貢献することとなった。

ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_1848261.jpg


 このシステムは第二次大戦前まで安定的に維持されたが、その後は戦時産業の自由労働への必要性から状況が変わり、戦後の平等主義の高揚にも助けられて、黒人の市民社会への比較的自由な参加を見ることとなった。
 然し乍ら、北部での人種差別と全体的な貧困問題は、マーティン・ルーサー・キングなどの活動を俟たねばならなかった。

 1970年代後半のレーガン「新自由主義」は、「麻薬戦争」に名を借りた人種差別主義を先鋭化することによって、復古的に黒人生活を犯罪化し、黒人社会に破滅的衝撃を及ぼした。

 チョムスキーは、記事末尾辺りで、米国文化人の精神基底に存在し、決して失せることの無い差別意識に言及し、その例として、米国の国民的詩人ウォルト・ホィットマの言辞を取り挙げる。

ノーム・チョムスキー:米国「人種差別の根源」についてー’The NYT’_f0166919_18493822.jpg


1887年 Walter Whitman

“The nigger, like the Injun, will be eliminated; it is the law of the races, history… A superior grade of rats come and then all the minor rats are cleared out.”

 「ニガーはインディアンと同様に取り除かれるだろう。それが人種・歴史の決まりというものだ。より優れたネズミがやって来て、全ての少数派ネズミは片付けられる訳だ」

 チョムスキーは、人種差別・克服が決して絶望的とは見ておらず、今後も長い闘いを予期しなければならないが、いずれ真の「平等社会」がやって来ると信じて、今も猶活発な社会的発言を続けている様だ。
                     (2015.03.22)

<写真> The New York Times, Wikipedia

               <参考資料>
The New York Times
THE STONE
Noam Chomsky on the Roots of American Racism
By GEORGE YANCY and NOAM CHOMSKY MARCH 18, 2015 7:00 AM
March 18, 2015 7:00 am
275 Comments

The Stone is a forum for contemporary philosophers and other thinkers on issues both timely and timeless.
This is the eighth in a series of interviews with philosophers on race that I am conducting for The Stone. This week’s conversation is with Noam Chomsky, a linguist, political philosopher and one of the world’s most prominent public intellectuals. He is the author of many books, including, most recently, “On Western Terrorism: From Hiroshima to Drone Warfare,” with Andre Vltchek.
– George Yancy

George Yancy: When I think about the title of your book “On Western Terrorism,” I’m reminded of the fact that many black people in the United States have had a long history of being terrorized by white racism, from random beatings to the lynching of more than 3,000 black people (including women) between 1882 and 1968. This is why in 2003, when I read about the dehumanizing acts committed at Abu Ghraib prison, I wasn’t surprised. I recall that after the photos appeared President George W. Bush said that “This is not the America I know.” But isn’t this the America black people have always known?
Noam Chomsky: The America that “black people have always known” is not an attractive one. The first black slaves were brought to the colonies 400 years ago. We cannot allow ourselves to forget that during this long period there have been only a few decades when African-Americans, apart from a few, had some limited possibilities for entering the mainstream of American society.
We also cannot allow ourselves to forget that the hideous slave labor camps of the new “empire of liberty” were a primary source for the wealth and privilege of American society, as well as England and the continent. The industrial revolution was based on cotton, produced primarily in the slave labor camps of the United States.

As is now known, they were highly efficient. Productivity increased even faster than in industry, thanks to the technology of the bullwhip and pistol, and the efficient practice of brutal torture, as Edward E. Baptist demonstrates in his recent study, “The Half Has Never Been Told.” The achievement includes not only the great wealth of the planter aristocracy but also American and British manufacturing, commerce and the financial institutions of modern state capitalism.
It is, or should be, well-known that the United States developed by flatly rejecting the principles of “sound economics” preached to it by the leading economists of the day, and familiar in today’s sober instructions to latecomers in development. Instead, the newly liberated colonies followed the model of England with radical state intervention in the economy, including high tariffs to protect infant industry, first textiles, later steel and others.
There was also another “virtual tariff.” In 1807, President Jefferson signed a bill banning the importation of slaves from abroad. His state of Virginia was the richest and most powerful of the states, and had exhausted its need for slaves. Rather, it was beginning to produce this valuable commodity for the expanding slave territories of the South. Banning import of these cotton-picking machines was thus a considerable boost to the Virginia economy. That was understood. Speaking for the slave importers, Charles Pinckney charged that “Virginia will gain by stopping the importations. Her slaves will rise in value, and she has more than she wants.” And Virginia indeed became a major exporter of slaves to the expanding slave society.
Some of the slave-owners, like Jefferson, appreciated the moral turpitude on which the economy relied. But he feared the liberation of slaves, who have “ten thousand recollections” of the crimes to which they were subjected. Fears that the victims might rise up and take revenge are deeply rooted in American culture, with reverberations to the present.
The Thirteenth Amendment formally ended slavery, but a decade later “slavery by another name” (also the title of an important study by Douglas A. Blackmon) was introduced. Black life was criminalized by overly harsh codes that targeted black people. Soon an even more valuable form of slavery was available for agribusiness, mining, steel — more valuable because the state, not the capitalist, was responsible for sustaining the enslaved labor force, meaning that blacks were arrested without real cause and prisoners were put to work for these business interests. The system provided a major contribution to the  rapid industrial development from the late 19th century.
That system remained pretty much in place until World War II led to a need for free labor for the war industry. Then followed a few decades of rapid and relatively egalitarian growth, with the state playing an even more critical role in economic development than before. A black man might get a decent job in a unionized factory, buy a house, send his children to college, along with other opportunities. The civil rights movement opened other doors, though in limited ways. One illustration was the fate of Martin Luther King’s efforts to confront northern racism and develop a movement of the poor, which was effectively blocked.
The neoliberal reaction that set in from the late ‘70s, escalating under Reagan and his successors, hit the poorest and most oppressed sectors of society even more than the large majority, who have suffered relative stagnation or decline while wealth accumulates in very few hands. Reagan’s drug war, deeply racist in conception and execution, initiated a new Jim Crow, Michelle Alexander’s apt term for the revived criminalization of black life, evident in the shocking incarceration rates and the devastating impact on black society.
Reality is of course more complex than any simple recapitulation, but this is, unfortunately, a reasonably accurate first approximation to one of the two founding crimes of American society, alongside of the expulsion or extermination of the indigenous nations and destruction of their complex and rich civilizations.
‘Intentional ignorance’ regarding inconvenient truths about the suffering of African- Americans can also be used to frame the genocide of Native Americans.

G.Y.: While Jefferson may have understood the moral turpitude upon which slavery was based, in his “Notes on the State of Virginia,” he says that black people are dull in imagination, inferior in reasoning to whites, and that the male orangutans even prefer black women over their own. These myths, along with the black codes following the civil war, functioned to continue to oppress and police black people. What would you say are the contemporary myths and codes that are enacted to continue to oppress and police black people today?

N.C.: Unfortunately, Jefferson was far from alone. No need to review the shocking racism in otherwise enlightened circles until all too recently. On “contemporary myths and codes,” I would rather defer to the many eloquent voices of those who observe and often experience these bitter residues of a disgraceful past.
Perhaps the most appalling contemporary myth is that none of this happened. The title of Baptist’s book is all too apt, and the aftermath is much too little known and understood.
There is also a common variant of what has sometimes been called “intentional ignorance” of what it is inconvenient to know: “Yes, bad things happened in the past, but let us put all of that behind us and march on to a glorious future, all sharing equally in the rights and opportunities of citizenry.” The appalling statistics of today’s circumstances of African-American life can be confronted by other bitter residues of a shameful past, laments about black cultural inferiority, or worse, forgetting how our wealth and privilege was created in no small part by the centuries of torture and degradation of which we are the beneficiaries and they remain the victims. As for the very partial and hopelessly inadequate compensation that decency would require — that lies somewhere between the memory hole and anathema.
Jefferson, to his credit, at least recognized that the slavery in which he participated was “the most unremitting despotism on the one part, and degrading submissions on the other.” And the Jefferson Memorial in Washington displays his words that “Indeed I tremble for my country when I reflect that God is just: that his justice cannot sleep forever.” Words that should stand in our consciousness alongside of John Quincy Adams’s reflections on the parallel founding crime over centuries, the fate of “that hapless race of native Americans, which we are exterminating with such merciless and perfidious cruelty…among the heinous sins of this nation, for which I believe God will one day bring [it] to judgment.”
What matters is our judgment, too long and too deeply suppressed, and the just reaction to it that is as yet barely contemplated.
G.Y.: This “intentional ignorance” regarding inconvenient truths about the suffering of African- Americans can also be used to frame the genocide of Native Americans. It was 18th century Swedish taxonomist Carolus Linnaeus who argued that Native Americans were governed by traits such as being “prone to anger,” a convenient myth for justifying the need for Native Americans to be “civilized” by whites. So, there are myths here as well. How does North America’s “amnesia” contribute to forms of racism directed uniquely toward Native Americans in our present moment and to their continual genocide?
N.C.: The useful myths began early on, and continue to the present. One of the first myths was formally established right after the King of England granted a Charter to the Massachusetts Bay Colony in 1629, declaring that conversion of the Indians to Christianity is “the principal end of this plantation.” The colonists at once created the Great Seal of the Colony, which depicts an Indian holding a spear pointing downward in a sign of peace, with a scroll coming from his mouth pleading with the colonists to “Come over and help us.” This may have been the first case of “humanitarian intervention” — and, curiously, it turned out like so many others.
Years later Supreme Court Justice Joseph Story mused about “the wisdom of Providence” that caused the natives to disappear like “the withered leaves of autumn” even though the colonists had “constantly respected” them. Needless to say, the colonists who did not choose “intentional ignorance” knew much better, and the most knowledgeable, like Gen. Henry Knox, the first secretary of war of the United States, described “the utter extirpation of all the Indians in most populous parts of the Union [by means] more destructive to the Indian natives than the conduct of the conquerors of Mexico and Peru.”

Knox went on to warn that “a future historian may mark the causes of this destruction of the human race in sable colors.” There were a few — very few — who did so, like the heroic Helen Jackson, who in 1880 provided a detailed account of that “sad revelation of broken faith, of violated treaties, and of inhuman acts of violence [that] will bring a flush of shame to the cheeks of those who love their country.” Jackson’s important book barely sold. She was neglected and dismissed in favor of the version presented by Theodore Roosevelt, who explained that “The expansion of the peoples of white, or European, blood during the past four centuries…has been fraught with lasting benefit to most of the peoples already dwelling in the lands over which the expansion took place,” notably those who had been “extirpated” or expelled to destitution and misery.
The national poet, Walt Whitman, captured the general understanding when he wrote that “The nigger, like the Injun, will be eliminated; it is the law of the races, history… A superior grade of rats come and then all the minor rats are cleared out.” It wasn’t until the 1960s that the scale of the atrocities and their character began to enter even scholarship, and to some extent popular consciousness, though there is a long way to go.
That’s only a bare beginning of the shocking record of the Anglosphere and its settler-colonial version of imperialism, a form of imperialism that leads quite naturally to the “utter extirpation” of the indigenous population — and to “intentional ignorance” on the part of beneficiaries of the crimes.
G.Y.: Your response raises the issue of colonization as a form of occupation. James Baldwin, in his 1966 essay, “A Report from Occupied Territory,” wrote, “Harlem is policed like occupied territory.” This quote made me think of Ferguson, Mo. Some of the protesters in Ferguson even compared what they were seeing to the Gaza Strip. Can you speak to this comparative discourse of occupation?
N.C.: All kinds of comparisons are possible. When I went to the Gaza Strip a few years ago, what came to mind very quickly was the experience of being in jail (for civil disobedience, many times): the feeling, very strange to people who have had privileged lives, that you are totally under the control of some external authority, arbitrary and if it so chooses, cruel. But the differences between the two cases are, of course, vast.
More generally, I’m somewhat skeptical about the value of comparisons of the kind mentioned. There will of course be features common to the many diverse kinds of illegitimate authority, repression and violence. Sometimes they can be illuminating; for example, Michelle Alexander’s analogy of a new Jim Crow, mentioned earlier. Often they may efface crucial distinctions. I don’t frankly see anything general to say of much value. Each comparison has to be evaluated on its own.
<中略>
George Yancy is a professor of philosophy at Duquesne University. He has written, edited and co-edited numerous books, including “Black Bodies, White Gazes,” “Look, a White!” and “Pursuing Trayvon Martin,” co-edited with Janine Jones.
# by shin-yamakami16 | 2015-03-22 18:54
2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_6563150.jpg


2月21日モスクワ:35000人参加「反マイダン・反ファッシズム」デモー仏 'Le Monde' 紙



説得力を増す「ヤヌコーヴィチ政権転覆・陰謀主因」説

                               山上 真

 今日2月15日零時01分からのウクライナ東部「停戦」は、何とか守られている様子だ。ウクライナ「内戦」での、二回目の停戦であるが、前回の場合は、主としてキエフ・ポロシェンコ政権側の、「戦線立て直し」を目的としたものであった為、反政府軍拠点・ドネツク中心部への砲爆撃を契機にして、いとも簡単に「停戦」は反古にされた。今回も、政権側が不利に立たされた戦線「補強」を狙ったものに違いなく、NATO・米軍の「密かな」軍事物資・装備補給を受けて、数か月を経て再び戦闘再開の恐れが高いと言えるだろう。要するに、キエフ政権側としては、「親ロシア」東部「独立」を固定化することは、決して許さない選択肢に違いない。

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_6595695.jpg


       「ロシアとギリシャに苦悶するEU」ー英国 'The Independent' 紙

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_2044518.jpg


   ウクライナ:「そして結局勝ったのは彼」?ー2月12日付・仏『リベラシオン』紙

 さて、一昨日から’BBC World’ がニュースとして,又特集番組 ‘Newsnight’ の中で、従来から昨年2月の「キエフ政変」の発端となったとされる「狙撃兵・銃撃」の主役が、当時のヤヌコーヴィチ政権側の何者かであるとされた「真相」は、実は反政府側デモを展開していた側、即ち現キエフ政権を構成する人物であって、事実上、その部下に命じて行った「謀略」だったことを詳細に報じ始めている。—‘BBC News’ 原文<参考資料>

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_22431768.jpg


                BBC・Gabriel Gatehouse 記者

 2月12日、午後9:39、’BBC News’ キエフ特派員Gabriel Gatehouse氏は、 当時の反政府側人物二人が、政府側建物2.3階から政府軍・警察に向けて狙撃し、当時の政府側警備隊が発砲を受けて後ずさりする映像を流しつつ、実情と符合することを、欧米メディアとして初めて確認したという。

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_22414017.jpg

              2014年2月キエフ・マイダン広場

 この報道」は、本ブログでも度々取り上げてきた幾つかの情報と合致するものであり、BBC番組の中で「狙撃兵」としてインタヴューを受けている人物の特定と、彼らを動かしたキエフ政権中枢に居ると思われる責任者の追及が,今後急がれる。

 本ブログでこれまでに取り上げた情報の「核心」は、次の通りである。

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_224122100.jpg


*The Voice of Russia:「元英国軍情報部員David Shayler氏へのインタヴュー」
4 March, 23:55
Ukraine was coup d'état by the CIA – David Shayler

「ウクライナはCIAに因るクーデター:ウクライナで起こったことは、人民革命ではなく、注意深く仕組まれたクーデターだった。弾丸からマスクに至るまで非常に巧妙に準備され、鍛えられていた。全てがウクライナをNATOに組み込み、ロシアから切り離す為に,西側によって巧妙に纏め挙げられていた」

*2014.6.5
「ウクライナでの「マイダン革命」なるものが、キエフ「暫定」政権を構成する人物たちに「金で雇われた」スナイパーが最初に発砲し、旧ヤヌコーヴィチ警察隊と反政府デモ隊の武力衝突を誘導した*「陰謀」であった疑いがますます濃厚になりつつある。この「事実」を察知している筈のEU当局は、ことの重大性に鑑み、徹底的な調査を実行するべきだ。」

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_9112841.jpg


「陰謀クーデター」で追い落とされたヤヌコーヴィチ元大統領ー2月21日、ロシアTV1で「キエフへの復帰」を表明

*「信じられないことだが、すべての疑問を解消する答えが見つかった。
その答えは「陰謀」だった。
お金で雇われた一人のスナイパーが、警察官と市民、両方を狙撃した。
撃たれた市民は、目の前にいる警察官が、いきなりピストルで発砲してきたと勘違いをしてしまう。
そして、警察と市民の決闘が始まり、最終的に100人が死んだ。
たった一人のスナイパーが、両者を射撃して、両者をケンカさせる、そのどさくさの合間にも狙撃は続き、何も知らない警察とヤヌコビッチ大統領が、市民を殺した張本人とされた。
数十発の銃弾で、簡単に政権は転覆した。
スナイパーに払う、たった一人分の手間賃で、革命は実現してしまった。」

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_20510100.jpg


* 米国 'VT・VETERANS TODAY'、及びロシア 'pravda.ru.' の報道に依ると、米国の著名な映画監督 Oliver Stone 氏は、昨年初の「キエフ政変」を米国CIAに因る「クーデター」と看做して、その経過を克明に描いたドキュメンタリー映画を制作中であるという。その為に、前ウクライナ大統領・ヤヌコーヴィチ氏など関係者に会って、証言を求めている模様だ。  (2015.01.09) 


 「マイダン殺戮の未だ語られぬ話」と題するBBC報道・記事では、キエフ・マイダン広場で一年前に起きた悲劇、即ち50人以上の反政府デモ参加者と3人の警官が射殺され、この事件がきっかけになって、「革命」が起きたことを語り、「何故この射撃が始まったか」ということを問い、一般に政府側の責任とされる一方、デモ隊側は関わりを否定するけれども、「一人の男がこれまでと異なる話をしてくれた」とする。

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_22453525.jpg


 それに依ると、仮名をセルゲイとする人物は普通の反政府デモ参加者に過ぎなかったが、軍隊時代の上司から狩猟用ライフル銃を渡され、2月20日早朝、マイダン広場南西角の音楽学校 ’Kief Conservatory’ に上がって、もう一人の射手と共に、広場を見下ろす位置から、警官隊に向かって射撃したという。

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_2247682.png


 
 状況的に見ると、警官隊はどこから撃たれているか分からず、デモ隊の中から射撃が行われていると勘違いして、彼らに向かって「反撃し」、多数の死傷者を出す結果になった様だ。つまり、セルゲイらの「狙撃」が警官隊・射撃の「引き金」になったことは間違いない。そして、この「惨劇」が内外世論の批判を浴び、ヤヌコーヴィチ「追放」の直接的原因となった。
 
 つまり、「狙撃」という陰謀行為が「政変」を引き起こしたことになる。その裏には、ウクライナをロシアから引き離そうと企てる米国CIA及びウクライナ極右の「策謀」が存在していたという説が、説得力をますます強めている。今後の展開に注目して行きたい。 (2015.02.15)

                   <追記>
1. 各種報道に依ると、ミンスク「停戦協定」発効後も戦闘が続いていた「要衝」デバリツェボでは、親露派「ドネツク共和国軍」に包囲されていた8千人に及ぶとされるウクライナ政府軍は、数百人の捕虜や投降兵を出しつつ、北部に撤退を開始したという。これは、一昨日からプーチン大統領がウクライナ「大統領」・ポロシェンコ氏に、「兵士の生命を救うべく、ウクライナ兵が武器を措く」ように説得し、包囲脱出の為の「人道廻廊」を両派に提案した結果であろう。 (2015.02.18)

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_20314881.jpg


 2月17日、ドネツクールガンスク中間「要衝」デバリツェボから撤退するキエフ政府軍

2. 英国'Channel 4' news (2月19日付)に依ると、Debaltseve の戦闘で、キエフ政府軍兵士3,000人が僅か数日の内に戦死したという。砲爆撃下何とか脱出出来た兵士たちは、厳しく怒った表情を浮かべて、口々にキエフ軍側の「裏切り・混乱した命令・作戦」をぶちまけ,自分たちがキエフ政府とポロシェンコ大統領によって「川に投げ捨てられた」と感じているということだ。(2015.02.19)

'And Ukrainians are emerging as bitter, angry men. Many speak openly of betrayal, confused orders and tactics, and feeling sold down the river by Kiev and President Poroshenko."

3. 2月19日付の仏紙『リベラシオン』は、'L’Ukraine lâchée de tous les côtés'「全ての方面から見限られたウクライナ」という論評記事を掲載し、キエフ指導部がデバリツェボ敗北の後、ウクライナ東部に「荒唐無稽」の「国連平和部隊・派遣」を求めていることを痛烈に批判している。同紙はこれまで一貫してキエフ政権支持の論陣を張って来ただけに、'Sans armes et sans protecteurs, l’Ukraine se retrouve bien seule au monde.'「武器も無く、保護者も居ないウクライナは世界で全く孤立している」という記事末尾の言葉は痛烈だ。ー<参考資料3>   (2015.02.20)

4. 今日のウクライナ『キエフ・ポスト』紙(英語版)は、'After Debaltseve Defeat, What Next?: Out from Debaltseve hell and back to the trenches'「デバルツェボ敗北の後,次は何が?デバルツェボ地獄から又塹壕へ」と題する記事を掲載して、必死の思いで脱出に成功した兵士たちの苦しみの様子を紹介した上で、記事末尾に
'But Igor, a soldier of the same brigade who fought at a distant checkpoint near the village of Chornukhyno, said he wanted to meet Poroshenko in Artemivsk and talk to him about those killed in the encirclement, but failed to find him. “I wanted to ask him: What did the best of our guys perish for?”と、生き延びた兵士イゴールがポロシェンコ大統領に対して、「何の為に最良の仲間兵士たちが死んだのか?」と問い詰めようと探しまわったが,果たせなかったエピソードを付け加えている。これまで『キエフ・ポスト』紙は、常にポロシェンコ政権支持の立場で報道しており、この紙面では,明らかにウクライナ国内に一定の「政権批判」が生まれていることを示唆している訳で、今後の成り行きが大いに注目される。 (2015.02.20)

5. 今日2月22日、キエフなどではポロシェンコ政権主催の「マイダン革命・一周年」の行進が行われているが、第二の大都市・東部ハリコフの行進で爆発事件が起こり、3人が死亡し、10人が負傷したという第一報が、日本時間午後9時過ぎに 'BBC World' 及び仏 'RFI' から報じられている。なお、首都キエフでの行進で、「各国首脳」参加という前宣伝の割には、名の通った欧米首脳が全く出ていないのは、どうしてだろうか。恐らく、BBCなどが伝え始めた「マイダン・狙撃」の真相が伝わりつつありことや、キエフ政権「不安定」に因る身辺危険性に各国とも留意しなければならないからだろう。 (2015.02.22)

6. ロシアの中立系 'The Moscow Times' 紙(2月26日付)の報道に依ると、プーチン大統領の支持率が前回調査より1%増えて86% に達したという。また、ルーブルの対ドル・レートは、最近の原油価格上昇と、ウクライナ停戦実現を歓迎して、一頃の一ドル=68.9ルーブルから、60.70 まで上昇しているという。どうやら、ロシア経済は、欧米の厳しい制裁とオイル安を克服しつつある様だ。
(2015.02.26)

2014「キエフ政変」:「狙撃は反政府側=現政権側から」—‘BBC World’ News_f0166919_12255795.jpg


          3月10日「クリミアの人々の本音を知りたい」鳩山氏

7. この3月10日、鳩山由紀夫氏がクリミアを訪問して、現地在住の日本人たちと談笑する様子をロシアTV・RTR などが詳しく放映しているが、NHK など日本メディアは、自民党・民主党幹部が「国益を害する行動」として非難していることを同調的に伝えている。最近では、フランス政治家、例えば元外相クシュネール氏やサルコジ前大統領迄が、歴史的・民族自決的観点から、クリミア半島のロシアへの編入を現実的事実として肯定的に評価している。我が国の「政治屋」レベルが米国の顔色を窺って「自由人」鳩山氏を論難しても、「何でも見てやろう」的積極行動が必須の現代世界に於いては、説得力は乏しく、「日露関係」の打開には何の役にも立たないことだろう。(2015.03.11)


<写真> BBC News, The Independent

                    <参考資料>
1. ‘BBC News’
12 February 2015 Last updated at 00:51
The untold story of the Maidan massacre
By Gabriel Gatehouse
BBC News
A day of bloodshed on Kiev's main square, nearly a year ago, marked the end of a winter of protest against the government of president Viktor Yanukovych, who soon afterwards fled the country. More than 50 protesters and three policemen died. But how did the shooting begin? Protest organisers have always denied any involvement - but one man told the BBC a different story.
It's early in the morning, 20 February, 2014. Kiev's Maidan square is divided - on one side the riot police, the protesters on the other.
This has been going on for more than two months now. But events are about to come to a head. By the end of the day, more than 50 people will be dead, many of them gunned down in the street by security forces.
The violence will lead to the downfall of Ukraine's pro-Russian president, Viktor Yanukovych. Moscow will call 20 February an armed coup, and use it to justify the annexation of Crimea and support for separatists in Eastern Ukraine.
The protest leaders, some of whom now hold positions of power in the new Ukraine, insist full responsibility for the shootings lies with the security forces, acting on behalf of the previous government.
But one year on, some witnesses are beginning to paint a different picture.
Download Flash Player now
You need to install Flash Player to play this content.
"I didn't shoot to kill"
"I was shooting downwards at their feet," says a man we will call Sergei, who tells me he took up position in the Kiev Conservatory, a music academy on the south-west corner of the square.
"Of course, I could have hit them in the arm or anywhere. But I didn't shoot to kill."
Sergei says he had been a regular protester on the Maidan for more than a month, and that his shots at police on the square and on the roof of an underground shopping mall, caused them to retreat.
There had been shooting two days earlier, on 18 February. The 19th, a Wednesday, had been quieter, but in the evening, Sergei says, he was put in contact with a man who offered him two guns: one a 12-gauge shotgun, the other a hunting rifle, a Saiga that fired high-velocity rounds.
He chose the latter, he says, and stashed it in the Post Office building, a few yards from the Conservatory. Both buildings were under the control of the protesters.

How events unfolded on 20 February 2014
Under attack, the police retreated from their position near the front line in the square, falling back along the street on the north side of Hotel Ukraine.
Protesters then advanced towards the police, where they were shot by retreating security forces and snipers from surrounding buildings.
More than 50 people were killed, the heaviest death toll of the clashes between protesters and security forces in the Maidan.
When the shooting started early on the morning of the 20th, Sergei says, he was escorted to the Conservatory, and spent some 20 minutes before 07:00 firing on police, alongside a second gunman.
His account is partially corroborated by other witnesses. That morning, Andriy Shevchenko, then an opposition MP and part of the Maidan movement, had received a phone call from the head of the riot police on the square.
"He calls me and says, 'Andriy, somebody is shooting at my guys.' And he said that the shooting was from the Conservatory."
Shevchenko contacted the man in charge of security for the protesters, Andriy Parubiy, known as the Commandant of the Maidan.
"I sent a group of my best men to go through the entire Conservatory building and determine whether there were any firing positions," Parubiy says.
Meanwhile the MP, Andriy Shevchenko, was getting increasingly panicked phone calls.
"I kept getting calls from the police officer, who said: 'I have three people wounded, I have five people wounded, I have one person dead.' And at some point he says, 'I am pulling out.' And he says, 'Andriy I do not know what will be next.' But I clearly felt that something really bad was about to happen."
Andriy Parubiy, now deputy speaker of the Ukrainian parliament, says his men found no gunmen in the Conservatory building.
But a photographer who gained access to the Conservatory later in the morning - shortly after 08:00 - took pictures there of men with guns, although he did not see them fire.
<後略>

2. 英国‘Morning Star’紙
Eu Must Back Off From Kievー「EU はキエフから引き下がらねばならない」
FEB 2015 Friday 13TH
posted by Morning Star in Editorial
TIME alone will decide whether the deal hammered out in Minsk will bring a lasting peace and reconciliation for the people of Ukraine.
Thousands of people have perished needlessly in the past year as a direct result of the European Union and the US having meddled recklessly in the situation there.
Both remain stuck in the cold-war era and are determined to isolate Russia.
This means reneging on past agreements not to extend the sway of Nato to the borders of Russia while drawing as many former Soviet republics as possible into the grip of the EU.
Trading links between Ukraine, with its heavy industries in the east of the country, and Russia remain substantial, although threatened by the determination of the EU to absorb Ukraine and weaken its historical links with its eastern neighbour.
When former president Viktor Yanukovych declined to sign a document of association with the EU for fear of losing Ukraine’s relationship with Russia, Brussels encouraged not only mass demonstrations but a violent revolt.
Global mass media dismissed Yanukovych’s claims that the supposedly peaceful Euromaidan occupation was accompanied by well-organised armed units that opened fire on police and also on anti-government demonstrators to induce chaos and provoke more protests.
Estonian Foreign Minister Urmas Paet told EU foreign policy head Catherine Ashton at the time that this was widely spoken of in Kiev, but neither the EU nor US took it seriously.
BBC journalist Gabriel Gatehouse has belatedly provided an alternative narrative to the global media fairy tales, having interviewed a self-confessed Maidan sniper.
As protests and chaos grew, Yanukovych fled the country and a new leadership took over, emboldened by EU and US backing.
  <後略>

3. 仏『リベラシオン』紙 ー「全ての方面から見限られたウクライナ」
L’Ukraine lâchée de tous les côtés
HÉLÈNE DESPIC-POPOVIC 19 FÉVRIER 2015 À 19:46
ANALYSESans grand espoir, le président Porochenko en appelle à l’ONU, qui se défausse sur l’OSCE.
REPORTAGE
«Nos soldats sont juste de la chair à canon» Par Sébastien Gobert
A ECOUTER
Ukraine, l'épuisement
Humilié par les prorusses, qui lui ont arraché la poche de Debaltsveve au mépris du très récent cessez-le-feu conclu à Minsk sous l’égide du tandem franco-allemand, le président Petro Porochenko veut encore croire à une internationalisation du conflit qui secoue l’est de son pays depuis un an. Mercredi, il a annoncé que l’Ukraine demanderait un contingent de soldats de la paix pour surveiller la frontière ukrainienne - qu’elle ne contrôle plus depuis des mois et par laquelle entrent équipement militaire, soldats et volontaires russes - ainsi que la ligne de démarcation entre forces en conflit. Ce serait «la meilleure option […] pour garantir la sécurité, dans une situation où le cessez-le-feu n’est respecté ni par la Russie ni par ceux qui la soutiennent», a dit Porochenko. Sans convaincre personne. Le chef de l’Etat ukrainien cherche à «détruire les accords de Minsk», s’est insurgé l’ambassadeur russe à l’ONU, Vitali Tchourkine, alors que les séparatistes ont d’entrée de jeu dénoncé une proposition qui, selon eux, serait «une violation des accords».
Illusoire. Sans l’aval de Moscou, qui dispose du droit de veto au Conseil de sécurité, il est illusoire de croire qu’une opération de la paix puisse être parrainée par l’ONU. L’envoi d’une mission policière de l’Union européenne sous mandat onusien, considéré par Porochenko comme «le meilleur format», est donc condamné d’avance. La diplomatie européenne ne s’est pas pressée pour s’emparer du projet. Le déploiement d’une mission de police européenne dans l’est de l’Ukraine pour surveiller la frontière avec la Russie est du ressort de l’OSCE, a-t-elle souligné. «A ce stade, l’objectif est la mise en œuvre des accords de Minsk», qui ne prévoient rien de tel, a même fait remarquer une porte-parole de l’ONU, Catherine Ray, en s’empressant de citer d’autres engagements pris par les signataires, notamment «le respect du cessez-le-feu» ou «le retrait des armes lourdes».

Théorique. Ces derniers engagements impliquent un contrôle par l’OSCE, qui dispose d’observateurs sur place. Un monitoring plus que théorique car leur présence n’a jamais été tolérée que sur un faible nombre de passages frontaliers entre la Russie et le Donbass. Ils ont notamment été empêchés d’entrer à Debaltseve alors que des combats se menaient pour le contrôle de cette poche dans les jours suivant l’annonce de la trêve de Minsk.

La chute de cette position ukrainienne avancée n’a fait que dévoiler l’ampleur du déséquilibre des forces armées entre les prorusses et les loyalistes. Et la faiblesse des négociateurs franco-allemands, qui n’avaient pas insisté pour que Debaltseve figure en toutes lettres dans l’accord du 12 février. Si Minsk a sauvé Kiev d’une grave défaite, il ne lui a épargné ni la honte de se faire grignoter de nouvelles miettes de son territoire ni le risque d’en perdre d’autres à l’occasion de ce processus de retrait des armes lourdes. Sans armes et sans protecteurs, l’Ukraine se retrouve bien seule au monde.
# by shin-yamakami16 | 2015-02-15 22:47
Isis 「日本人殺害」;「生命価値」至上としない日本首相の「鈍さ」_f0166919_10412386.jpg


                  イスラム世界

「テロ対策・強化」も、安倍氏の言う「普通の国」資格条件か?


                                  山上 真
 
 今朝起きてみると、故後藤健二氏と共に、テロリストのサジダ・リシャウィ死刑囚との捕虜交換を語られていたヨルダン軍パイロットのムアズ・カサースベ氏が、1月3日に焼き殺されていたという衝撃的映像が公開されていた。
 *Isis の残虐性が重ねて語られることになるだろう。(*Isis=Islamic State in Iraq and al-Sham:「イスラム国」・イラク・シリアで活動する武装勢力)

 先日(2月1日)5時半頃起きて,いつもの様に先ずBS・TV のチャンネルを幾つか点けて、続いて’NHK 1’を視たところ、常にないニュース番組をやっていて、字幕を見ると、後藤健二さんが「殺害されたというvideo が流された」という第一報を報じていた。

 日本民放では未だ普通番組をやっていたが、外電の ’BBC World’ は既に字幕と共に、男性キャスターが
‘Video appears to show IS militant beheading Kenji Goto’ —「ヴィデオはイスラム国・戦闘員がケンジ・ゴトーを斬首しているのを見せている」
という、一歩進んだ形の述べ方をしていた。
 6時近くになると、どこのTV局も一斉に、「後藤さん・殺害」可能性を報じ始めた。

 遂に恐れていたことが起きてしまったという、遣り切れない思いに襲われた。先ず、最後まで後藤氏の生還を切望していた御親族の悲しみが察せられた。やっぱり、先の湯川さんの時に続いて、悲劇は避け得なかった。如何なる「理由」があるにせよ、Isis には、「人間としての感情」は全く通じない様だ。

 幾つかの映像などの「証拠」から見ると、後藤氏はどうも、湯川氏「救出」という目的の外、「有志連合」空爆下のIsis 支配地域での状況を実見しようという目的で、敢えてアレッポ周辺に向かったと思われる節がある。ひょっとするとIsis に捕らえられて、万事休すという「覚悟」もあっただろう。


 安倍首相が6:40頃に現われて、いつもの調子の「テロを非難し、ヨルダン側の協力を感謝する」旨の談話があった。「一連の対応に問題があったとお思いでしょうか?」という問いかけが報道陣から飛んだが、どういう訳か、TV・Asahiは直ぐに画面をスタジオへと変えてしまった。ここでも、「非常時」に備えての、政府側のメディア対策が看て取れる。とにかく、出来る限り、政府への批判を逸らせようという「作戦」だ。「政府として全力で対応した」というが、具体的に何をして来たのか、甚だ疑問だ。
 
 BBC World 東京特派員Rupert Wingfield-Hayes氏は、2月1日午後、悲劇に至った事件の概要を述べて、後藤氏の母の遣りようのない悲しみの様子を紹介した後、「日本人はテロとの戦いを訴えるアベ首相を支えるだろうか、それとも、二人の死を招いたアベ氏の対応の仕方を咎めるだろうか?」と結んだ。

 さて、ここに至る迄、「イスラム国」を巡って、世界の状況はどういう経過を辿ったのだろうか。大筋を追うと、次の様になる。

 *この数か月、アフリカ・ナイジェリアを中心にして、Isis 近親「ボコ・ハラム」がテロ攻撃を続け、幾度か数百人規模の殺戮を行う。

 *2015年1月7日、パリ’Charlie Hebdo’ (週刊誌)事務所で編集会議中に自動小銃を持った男らが乱入、同紙編集長と編集関係者、風刺画家、警官2人の計12人が死亡し、約20人が負傷した。 犠牲者には、この事件に続いてモンルージュ警官襲撃事件、ユダヤ食品スーパー襲撃事件が起こり、多発的なテロ事件に発展したが、特殊部隊により計3名の犯人が射殺された。『エブド』社事件の容疑者は、アルジェリア系フランス人でパリ出身の34歳と32歳の兄弟。イエメン「アルカイダ」でテロ訓練を受けていたという。このうちの1人は2005年にイラクにジハーディストを送り込んだ事件に関連して、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡されていた。
 イスラム教開祖・ムハンマドを戯画的に批判したことが主な原因とされ、「表現の自由」と「メディアの節度」の問題がクローズ・アップされる。
  パリで11日、事件の犠牲者を悼み、「表現の自由」を擁護して連帯を示す為、数十万人の市民が行進に参加した。

*1月16日、事件後もシャルリー・エブドが預言者の風刺画を載せたことに対して、アフリカ各地で抗議デモが発生した。アルジェリアでは数千人がデモに参加し、一部が暴徒化して警官と衝突した。ニジェールではデモの他、キリスト教の教会が襲撃され、フランスの文化センターが焼き討ちにあった。この他、シリア・イラン、パキスタン・カラチ、インドネシア・マレーシア・ロシア南部・チェチェン共和国などでイスラム教徒による数千から百万人規模の「風刺画抗議」デモが展開された。
 まさに、「文明の衝突」の趣だ。

 こうした世界的雰囲気の中、日本首相・安倍氏は1月16日からエジプト・イスラエルなどを訪問した訳だが、日本人二人が「イスラム国」によって拘束されているという情報を知っての上での行動だった。

 そこには、民間人の「不適切な」行動と、その結果によって、政府の外交日程が聊かも縛られてはならない、という「大義名分」があっただろう。
 しかし、これまでにIsisによって何人もの欧米人が人質に取られて,斬首されている事実に照らして、「もし、日本人二人が同様の運命に陥った場合は?」」という「事前想定」を行わなかったのだろうか?
 もし、何も考えずに中東に出掛けたとしたら、一国の運命を担う宰相としては,余りにもお粗末だ。

 しかも安倍首相は、イラク・シリアで欧米など「有志連合」10か国による「空爆」が続くこの時期に、「Isis と戦う為の近隣諸国への2億ドル援助」を表明した。
 安倍首相が、軍事面でなく、民生の為だと主張したところで、資金は周辺国の軍事面に流れて、日本も「有志連合」に加わったと看做されてしまう。それを承知の上での「巨額援助」だろう。

 既に日本人がIsisに拘留されているのを知り乍ら、「Isis名指し」の演説というリスクは考えなかったのか、大いに疑問だ。要するに、「人間の命」を救いたいという観点が脱落していると言わざるを得ない。

 1月20日、Isis の「湯川・後藤両氏を殺害する」と予告する動画が出てからのことだが、何故政府は、初動段階で「具体的な」手を打たなかったのか?
 菅官房長官が言う事は、「連絡を取り乍ら、しっかりとやっております」と言うだけで、実はヨルダン政府におんぶするだけで何もやっていなかったことが、後藤氏が斬首された後で、全て暴露された。

 「生命を救う」ことが至上命令とすれば、米国などの言う「テロリストとは交渉せず」という「建前」を超えて、フランスやドイツの様な「人質生還」の為の手だても「人道上」許されると、筆者は考える。
 「建前」を主張する米国指導部は、「イスラム国」誕生を招く遠因となった自らの「イラク戦争」という甚だしい失敗を考えてみるがよい。

 筆者は今でも、数十万人の人々の命を犠牲にした「イラク戦争」の張本人であるブッシュ・ブレア両人は「戦争犯罪者」として、ハーグの「国際司法裁判所」で訴追されるべきだと思っている。


 後藤氏殺害の際に発せられた「Isis 声明」は、「場所を問わずに日本人を殺りくする」と宣言したことで、世界中の日本人が現実的に脅威に曝される事態となった。’J CAST’ ニュース(2月4日付)に依れば、「安倍首相のせいで日本人がテロの標的になる」と、「NYに住む友人たちがみんな怒りまくっている」という。

「海外で働いている私たちをどうして危険にさらすような演説をしたんだ」

「私たちは平和を貫く日本人だったのに、安倍のせいで狙われる対象になった」

 フォトジャーナリストの豊田直巳さんも、ツイッターで、NHKの取材に答えたと報告したうえで、安倍首相の対応を批判した。「交渉を失敗した安倍政権による敵愾心の煽動が怖い」といい、取材に対し、「彼を殺すことを真剣に止めようとしなかった日本政府に対しても、何をしてきたんだという失望と絶望と憤りを感じます」と話したとした。ただ、NHKサイトのニュースでは、この部分はすべて反映されておらず、代わりに「日本政府はどう交渉していたのかという気持ちです」という表現になっていた。 —‘J CAST’

 
 恐らく、この様な反応が我々日本人の多くが共感しているものだろう。この上更に「人質救出の為の軍事的手段」を口にしたりすることは、「愚の骨頂」と言うべき無謀さだ。


 この拙文の最後に、今度の問題の本質を衝く見解として、MSN・HPに掲載されていた孫崎享氏の「安倍外交がイスラム国テロを誘発した」(1月27日付『東洋経済』オンライン)と題する記事を紹介させて戴く。
             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
MSNニュース掲載
「安倍外交が『イスラム国』のテロを誘発した」— 孫崎享・元駐イラン大使に聞く 12 時間前 内田 通夫  © 東洋経済オンライン

安倍首相は中東歴訪の中でイスラエルを訪問、1月19日にネタニヤフ・イスラエル首相と記者会見
1月20日、「イスラム国」が拘束した日本人二人の殺害を予告、身代金を要求する事件が起き、日本国民に衝撃を与えた。また、1月24日から25日にかけて、人質のうちの一人、湯川遥菜さんが殺害されたとの情報が伝えられる事態に至った。日本政府は直接の交渉のパイプがなく、厳しい状況に置かれている。

 「イスラム国」に標的にされたことの意味や、今後、日本にとって懸念されるリスクについて、孫崎享・元駐イラン大使に話を聞いた。

 ――「イスラム国」が日本に矛先を向けてきた背景をどう見ますか。
 安倍晋三首相は中東歴訪の中、1月17日、エジプトで「イスラム国」対策のため、としてイラクやレバノンに2億ドルを支援することを表明した。2億ドルには難民支援、人道支援という名目が付けられている。しかし、安倍首相は「「イスラム国」の脅威を食い止めるため」、「イスラム国と闘う周辺各国に」としており、利敵行為とみなされる。人道支援や、後方支援といった名目に日本人は惑わされやすい。
 
 戦闘行為、敵対行為の主な部分は、後方支援なのだ。たとえば、アフガニスタンでイスラム原理主義組織タリバンに対する戦闘を担ったのがNATO(北大西洋条約機構)だが、当初はアフガニスタンの経済復興を支援する、との目的を掲げて軍を派遣した。だが、タリバンからみれば、NATOの行動は敵対行為、戦闘行為そのものである。当然、NATO軍の進出に武力で攻撃し、NATO軍も反撃する。こうした戦闘の連鎖により、当初の経済復興支援という看板とは異なり、2014年に終了するまで長期にわたる大規模なアフガニスタン派兵となった。
 
 また、安倍首相は今回、イスラエルを訪問して、イスラエルと日本の両方の国旗の前で、ネタニヤフ・イスラエル首相と両国が連携を強化することを表明した。これまでもイスラエルとの対話はあったが、このような形式をとることはなかった。イスラエルとはサイバーテロや無人機など安全保障関連分野での提携を深めようとしている。イスラム社会の反発は当然、予想されることであり、安倍首相は配慮が足りない。

 「イスラム国」の立場からみれば、イスラエルを含む中東諸国を訪問して、公然と「イスラム国」に敵対する示威行動をしたに等しい。「イスラム国」は今回の安倍首相のカイロでの発言を、宣戦布告と見なし、湯川遥菜さん殺害につながってしまった。安倍首相の中東歴訪と2億ドルの人道支援声明が、残念な結果をもたらしたことになる。

 まごさき・うける●1943年旧満洲国鞍山生まれ。東京大学法学部中退、外務省入省。英・米・ソ連・イラク・カナダ駐在、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。防衛大学校教授(公共政策学科長、人文社会学群長)を経て、2009年に定年退官。著書に『戦後史の正体』、『日本の国境問題』(ちくま新書)、『戦後史の正体』(創元社)、『これから日本はどうなるか――米国衰退と日本』(ちくま新書)『小説外務省-尖閣問題の正体』(現代書館)など著作多数。(撮影:今井康一)

 安倍首相の発言はタイミングも最悪であった。西洋社会とイスラム社会との対立感情はここ数年でかつてなく、高まっている。とくに、今年1月、パリで起きたイスラム過激派による風刺新聞社「シャルリ・エブド」襲撃事件に対し、フランスのオランド大統領が先頭に立って組織したパリ大行進は、「西洋世界対イスラム世界」の戦いを世界に印象づけた。さらに、フランスはシリア沖に空母を派遣し、「イスラム国」との対決を鮮明にしていた。
 
 「シャルリ・エブド」紙が掲載した預言者ムハンマドへの風刺画は、多くの識者が指摘しているように、イスラム教やイスラム世界への風刺といったものではなく、誹謗、中傷のレベル。フランス政府も国民もこれを止めようとはせず、さらに表現をエスカレートさせている。言論、表現の自由にも一定の節度があるはずだ。
 
  それぞれの側で過激な行動に走る人々は少数派だが、イスラム世界は、西洋社会の挑発と迫害が強まったと感じている。

 ――イスラム社会の日本への見方が変わってくるのでしょうか。

 1973年の第1次石油危機後、日本はアラブ・イスラム諸国と良好な関係を築いてきた。アラブ・イスラム諸国も、日本に対して友好的な感情を抱いてきた。アラブ・イスラム諸国との友好的な関係という貴重な財産が、安倍首相の前のめりの外交政策により、毀損されるのではないかと強く危惧する。
 
  わたしが外務省に在職していた1980年代に、イスラエルに赴任する大使に向かって、幹部が「現地であまり仕事をするな」と言ったのを覚えている。日本がイスラエル寄りの国であると思われることにはリスクがあったからだ。そういう感覚は安倍首相にはまったくないようだ。
 
  1979年11月にイランの米国大使館占拠事件があった。その後、そこは、年に1度一般に開放されるが、展示の第1室が「広島・長崎への原爆投下」であり、「日本こそは米国の最初の犠牲者である」とされている。イスラム過激派の心情においても、日本は敵ではない、とされていた。
 国際社会から承認された「国家」ではないとはいえ、「イスラム国」が日本を西洋世界によるイスラム世界包囲網に与する「敵」と見なしたことの意味は大きい。イスラム教やイスラム世界を「テロリズム」と結びつける言説が、世界の大衆の間で広がっている。日本でも今回の湯川さん殺害事件でそうした印象が強まってしまうだろう。

  しかし、イスラム教やイスラム世界を暴力的だと見なす風潮は、欧米メディアの宣伝の結果だ。本来のイスラム教は預言者のムハンマドの出自から明らかなように商人の宗教であり、平和を愛する教義である。西欧列強が介入する前のイスラム社会は、ほかの宗教を信じる人々と共存していた。自らは攻撃しない。しかし、イスラム教は攻撃されたり、迫害されたりした場合には、抵抗し、抗戦する権利を認めている。

 ――安倍首相は昨年、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈を閣議決定し、今年中に、行使を可能にする法改正を行います。


 安倍政権の前のめりの外交政策には、2つの要因があると考える。
 
 第1には、米国の要望に従い、集団的自衛権の行使などを進めて、日米同盟を深めないと、東アジアの危機に際して米国の支援が得られにくいと危惧しているのだろう。東アジア危機とは尖閣問題や北朝鮮有事が念頭にある。しかし、東アジアで米国が何かをしてくれるという期待は幻想に過ぎない。中東などで日本が後方支援をすれば、日本を東アジアの有事から守ってくれるわけではない。

 米国のラムズフェルド元国防長官は、「今後の米国の外交政策は案件ごとの組み合わせで決まる」という趣旨の発言をしている。発言の裏を読むと、「米国は必ず(中国から)日本を守るわけではない」になる。これが本音である。

 第2に、安倍首相はすべての政策においてそうであるが、ある案件、事象について、自分の立場を決めたら、その路線を突き進む。それに伴うリスクを考慮せず、またその立場と違った意見や助言をまったく好まない。例えば、中曽根康弘元首相は、後藤田正晴のような人を官房長官に据えて、違った意見を聞こうとした。安倍首相はそのようなスタイルではない。安倍首相の周囲やブレーンには、安倍首相と考えを同じくする人々しかおらず、苦言を呈したり、忠告をしたりする人がほとんどいない。

 米国の中東政策は米ソ冷戦構造の崩壊以降、歪んでいる。その理由は2つある。第1に軍産複合体の要請であり、第2にイスラエルの存在だ。
 
 1980年代末~90年代にかけては、軍需から民需へ転換する必要があったが、ペンタゴンは軍事力を維持したい。そこで、敵としてイラン、イラク、北朝鮮と言った不安定な国々を想定した。だが、これらの国が自ら米国を攻撃するわけはないから、こうした国々の体制を変えるべきだという主張を持って、「中東民主化」という名目で積極介入していった。
 
 現状でも、国防費は削減する方向にあるが、イラク、アフガニスタン戦費は別枠ということになっていた。しかし、オバマ大統領はアフガニスタン、イラクからの撤退を進め、昨年は軍需産業でも人員整理が行われていた。そこへ、「イスラム国」が台頭してきたことで、軍需産業の株価は暴騰している。  

 今後、集団的自衛権行使の法整備が進み、日本が後方支援という名目で、中東地域に自衛隊を派遣する方向にある。するとどういうことが予想されるのか。今回の事件は教訓になっている。アラブ・イスラム世界と長年かけて築いた良好な関係や、信頼は毀損されていき、日本人が「テロ」の対象になることが懸念される。今回のイスラム国の人質殺害事件がその嚆矢であってほしくない。


            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  
 安倍「中東訪問」に引き続く一連の「イスラム国家」テロ事件で、日本を取り巻く世界的情勢がすっかり変わってしまった。愚かな指導者を戴いた国民は、その「愚かさ」の齎す「ツケ」を払わなければならない運命になるのは、当然至極のことだ。(2015.02.04)


<写真・資料> Wikipedia

                  <参考資料>
1. 2月2日付『日刊ゲンダイ』ー古賀茂明氏が語る「I am not Abe」発言の真意
安倍首相は「有志国連合」の有力メンバーになりたかった
 イスラム国の人質事件では、ほとんどの大メディアが安倍政権批判を控えている。そこにあるのは、「人質が殺されそうなときに足を引っ張るな」という情緒論だが、そんな中、敢然と、しかも痛烈な言葉で安倍首相を批判したのが、元経産官僚の古賀茂明氏(59)だ。
「フランス人は『Je suis Charlie(私はシャルリー)』というプラカードを持って行進したけど、日本人は今、『I am not Abe』というカードを掲げる必要があると思う」
 テレビ朝日系の「報道ステーション」での発言に官邸は激怒、ネトウヨたちは大騒ぎとなった。一方、「よくぞ言った」という支援の輪も広がりつつある。古賀氏が改めて“過激発言”の真意を語った。
――あの発言が出た直後から、大変な反響だったと聞きましたよ。官邸の秘書官筋からテレビ朝日の上層部に抗議の電話が入り、大騒ぎになったとか。古賀さん自身には何かありましたか?
局に対してはいろいろな声があったようですが、僕には直接ありません。でも、誰かが声を上げて、「これはおかしい」と言わなければ、太平洋戦争と同じ状況になってしまう。だから、注目度が高い番組に出た際、考え抜いて発言したわけで、反論は予想通りですし、むしろ反響の大きさに驚いているくらいです。
――戦前と同じ状況というのは、ついに日本も米国と一緒に泥沼のテロとの戦いに引きずり込まれてしまった。キッカケは安倍首相の軽率としか思えない中東歴訪と、イスラム国と戦う国への2億ドル支援表明です。多くの日本人が不安を抱えているのに、声に出せない。そんな状況ということですか?
 今度の人質事件では、いろいろな報道がされていました。でも、必ず最後の方は「テロは許しがたい行為だ」「いまは一致団結して、安倍さんの戦いを支持すべきだ」というところに帰結してしまうんですね。そうなると、あらゆる議論が封じ込まれてしまう。今は戦前のように治安維持法もないし、特高警察もいませんが、安倍政権のテロとの戦いに異論を挟むのは非国民だ、みたいな雰囲気が醸成されつつある。テロリストを擁護する気は毛頭ありませんが、日本が米国と一緒になって世界中で戦争に参加する国だというイメージをつくっていいのか。多くの人が違うと思っているのに、誰も声を出せない。それってやっぱり、おかしいでしょう。
――順番に伺います。古賀さんは安倍総理が中東歴訪以前に後藤さんが人質になっていることを知っていたという前提で話された。「臆測でものを言うな」という批判もありました。一部報道では当初10億円、その後20億円の身代金要求があり、奥さんは外務省に相談していたと報じられたからですか?
 政府はずっと前から知っていたことを認めましたよね。でも、それは官僚だった私から見れば当たり前のことでした。こうした情報に接した官僚が上に上げないということはあり得ません。あとで情報を上げなかったことが分かったら、大変な失態になるからです。大臣秘書官、次官、官房長にはすぐ上げる。同時に官邸の外務省出身の秘書官にも連絡がいくはずです。その秘書官が安倍首相に伝えないということもあり得ない。伝えなければ、大きなリスクを背負うし、伝えて損をすることはないからです。
――だとすると、この時点で官邸・外務省は身代金を払わない方針を決めたのか、「放っとけ」とばかりに無視したのか。右往左往しているうちに時間が過ぎてしまったのか。
 10、20億円程度であれば、官房機密費で払えます。まして、1月には安倍首相の中東歴訪が控えている。身代金を払って解決させる選択肢もあったはずですが、官邸にそういう提案をして却下されたのか、それさえできない雰囲気だったのか。いずれにしても、人命よりも優先させたい事情があったとみるべきです。
――それは何ですか?
 安倍首相は対イスラム国の有志国連合の有力なメンバーになりたかったのだと思います。世界の列強と肩を並べて、認められたい。それが安倍首相の願望であるのは間違いないと思います。そんなときにイスラム国に身代金を払ったことがバレたら、米英に顔向けできなくなる。そんなリスクは背負いたくない。後藤さんの命よりそちらを優先したのです。
―なるほど。そうなると、安倍首相がエジプトでイスラム国に宣戦布告するような言い方で、2億ドルの支援表明をしたのも分かりますね。
 有志国連合として認めてもらうために空爆や武器供与をしたいけど、現行の憲法ではできない。できるのは人道支援くらいです。そこで、イスラム国を名指しして、そこと戦うためのお金であると聞こえる言い方をした。他にもテロ組織はたくさんあるのに、イスラム国にだけ言及したのは不自然ですし、本来、人道支援というのは武力紛争にはかかわらず、どちらにも加担せずに、政治的意図を排除して、人道主義の立場から行うもので、日本はいつもそれを強調していた。ところが、あの演説は人道支援というトーンを弱めて、軍事的政治的意図を込めた支援であるような言い方をした。この発言を米英は歓迎したようですが、身代金を取れずに焦れていたイスラム国にしてみれば、これで交渉の余地なしとなった。「宣戦布告された」となったのだと思います。
<後略>
▽こが・しげあき 1955年、長崎県生まれ。東大法卒。通産省へ。行政改革などにかかわり、改革派官僚として名を馳せる。2011年に退職、評論活動へ。「日本中枢の崩壊」(講談社)が38万部のベストセラー。近著は「国家の暴走 安倍政権の世論操作術」(角川oneテーマ21)。
# by shin-yamakami16 | 2015-02-04 10:40